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第29話 決闘

 

 校舎裏に行くと、驚くことにシンディ先生や校長をはじめ先生方が来ていた。


「せ、先生?」


 オレは思わず、言ってしまった。


「あー。邪魔しないから、気にしないで良いよ。それから、さすがに殺し合いはまずいから、武器の使用はなしね。正々堂々とやりなさい。」


 シンディ先生が答えた。


「先生の前で決闘なんかしていいんですか?」


 オレが納得できずに聞くと。


「良いも悪いも、わたしらは毎年これを楽しみにしてるんだから、しょっぱい試合はなしよ。」


 決闘の黙認どころか娯楽にまでしてやがった。とんでもない、不良教師どもめ。だが、これにのっかるのも悪くないかも。


「わかりました。頑張ります。じゃあ、シンディ先生が仕切ってくださいよ。ルールとか賭けとか。」


 オレは提案した。


「賭けか。それはおもしろそうね。よし、わかった。仕切りはまかせて。」


 シンディ先生はそう答えると、校長たちと相談を始めた。しばらくすると、イザベルチームに銀貨1枚とかの声が聞こえてきた。年下のオレ達に賭ける先生が少なくて賭けがなかなか成立しないようだった。


「おまたせ。それじゃあ、わたしが審判を務めるわ。ルールは武器の使用は禁止、魔法は使い放題。どちらかが参ったと言うか、戦闘不能になったら決着ね。あと、こちらで判断して一方的な展開になった時もね。あと、アメリ達には大金をつぎ込んでいるから死んでも勝つように。」


 シンディ先生は説明したが、私情が入っていた。


「シンディ先生。審判が片方のチームを応援するなんて、どういうことですか。」


 イザベルが当然のごとく抗議した。


「やかましい。あんたらが四つも五つも年下の子をいじめるから賭けが成立しないのよ。それで、わたしが無理やり不利な賭けを飲まされたんだから。うっうっ。」


 シンディ先生は涙目で答えた。


 オレ達はシンディ先生を挟んで向かい合うように横一列に並ばされた。オレは目で皆に合図した。オレの編み出したあの必殺技を4人全員でやるためである。無言でうなずく三人。


「始め。」


 シンディ先生の合図とともにオレ達は走り出した。そして、四人全員で。


「「「「ファイアーボール。そして、突きー。」」」」


 それぞれの向かい合った者にファイアー突きのパンチバージョンが決まった。最初は様子見、良くて魔法の詠唱中のイザベル達はおもしろいようにオレ達の攻撃をくらって倒れた。


「な、なにー。全員無詠唱かよ。それより、回復魔法を早く。」


 シンディ先生はイザベル達「に駆け寄るとハイヒールの呪文を唱え始めた。とどめのファイアーを唱えようとしていたセナをどついてから、オレもハイヒールの呪文を唱えた。


 シンディ先生とオレの他に校長も回復魔法をすぐ唱えてくれたおかげで、イザベル達は全員無事だった。


「何?今のは?無詠唱?」


 シンディ先生が聞いてきた。


「無詠唱なんかじゃ・・・・」


 得意げに話そうとするリオの口をふさいで、オレは答えた。


「今のはわたしの編み出した必殺技でファイアー突きです。本当は剣や槍でやるんですけど。詳細は企業秘密にさせてください。」


「ふーん。まあ、大体は想像つくけど、アメリ達の奥の手を暴くのも大人げないから止めとくわ。それよりも、あんたらのおかげで思わぬ臨時収入が入ったわ。ありがとう。今度なんかおごるね。」


 シンディ先生はご機嫌であった。


「お見事。ここまで一方的な試合はわしでも初めて見たぞ。そんなに強いのになんで、わしらの学校にわざわざ来たんじゃ?」


 校長が聞いてきた。


「実は私らの魔法は魔法剣士の魔法で比較的簡単な魔法しかできません。そこで、一度本格的な魔法使いの魔法を学んでみたくて来ました。」


 オレは答えた。


「ほう。魔法を本格的に習いたいか?良い心掛けだ。明日からの授業が楽しみだのう。」


 校長がにやりと笑って答えた。


「え?校長先生が授業するんですか?」


「ああ。お前らも気づいてると思うけど、魔法を使える者は貴重での。わしまで授業しないと回らんのじゃ。おかげでわしは大忙しじゃよ。がっはっはっは。」


 校長が豪快に笑った。


「良い。これで遺恨は一切なしよ。イザベル達はもうアメリ達に逆らわない事。もし、まだわだかまりがあるなら、その時はタイマンで勝負してね。ただし、放課後にここでね。守らなかったら、あたしが殺すからね。」


 シンディ先生によってオレ達はイザベル達全員と握手させられた。


「いい。あんたらは今日から全員。このリオ様の手下よ。分かった?」


「「「「はい。」」」」


 調子に乗っているリオを残してオレ達は家路に着いた。






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