第278話 美少女戦隊全滅
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「えー!逃げろって!」
「正確には落とし穴の所まで戻れって事らしいよ。」
「わかった。じゃあ早速逃げましょう。」
「おう!」
私と幽霊は踵を返す事にした。と言ってもそれはそう簡単な事ではない。なぜなら敵に背を向けて逃げ出せばたちまち敵に魔法や矢を背後から撃たれてしまうからである。前面の敵と対峙しながらじりじりと後ずさるしかない。
「サンダー!」
「ファイアー!」
今まで通り全体魔法で牽制しつつ、魔法の壁をすり抜けてきた敵を斬りつけるしかない。
一方リリス側は降伏勧告に従わない我々二人に総攻撃をかけて全滅させる作戦に出た。
「みんな!どうやら降参する気はないみたいだから一気に片をつけるよ!残りはあと二匹よ!総員総攻撃!」
「おう!」
幽霊軍団が雄たけびと共に雪崩のように押し寄せてきた。こうなるとサンダーやファイアーの魔法の壁は意味が無くなった。一人やられたら次の一人がやられた仲間を押しのけて殺到したからである。
私と幽霊は背後から撃たれる危険性も顧みずに敵に背を向けて走り出すしかなかった。案の定背後からはファイアーボールや矢が雨あられのように降り注いできた。何発かもらったがこれぐらいでは私も幽霊も足を止められる事はない。
このまま落とし穴まで走り抜けようと思っていたら突然目の前が暗くなった。しまった。脳筋二人が嵌った罠に私と幽霊も嵌ってしまった。落とし穴の上空に飛ばされてしまったのだ。
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「ふ。散々手こずらせてくれたけど、これでお仕舞ね。でも心配しないであんた達は優秀だから死んでも幽霊にして私の部下として使ってあげるから。」
落とし穴の上空に囚われの身になった私と幽霊の最期を見届けるべく幽霊軍団全軍が落とし穴の前に集結していた。
「ふん!何言ってんの!私達美少女戦隊は誰の手下にもならないわよ!死んでもね!」
私は敵の総大将に毒づいてやった。
「アーリン。あなたリリスの言ってる言葉よく分かるわね。」
「へ?全然分かりませんよ。最後だからカッコよく見栄を切ってやっただけですよ。」
「ふーん。じゃあ私も。私を殺したかったらドラゴンでも連れてきなさいよ!あんたらじゃ役不足よ!」
「なんかごちゃごちゃ言ってるけどイーラム語じゃないから分からないわね。」
「大方命乞いでもしているんでしょう。」
勝者の余裕で敵の総大将は幹部(幽霊)と談笑していた。
「私はね。余裕を見せつけて逆転されるなんて間抜けな事はしないわよ。殺すと決めたらさっさと殺すわよ。じゃあさよなら。」
「「きゃー!」」
突然足元が抜けた。落とし穴に真っ逆さまである。
「「ぎゃー!」」
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