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第263話 水の剣で無双

 




「この食糧倉庫も昨日は開かなかったよね。アーリン。」


「ええ。やっぱり最初からちゃんと順番通りにイベントを進めて行かないとダメみたいですね。リオさん。」


 私達新王国の狼3人は、魔物討伐の依頼を受けて食糧倉庫に来ている所だった。脳筋リオの言う通り、昨日も来てはいるが扉が開かなかったので素通りしていた。


「じゃあ、アーリンが先に入りな。水の剣を試したくてうずうずしているんだろ?」


「わ、わかりました。」


 臆病で用心深い私は、こういういかにもなんかありますと言うような所に先頭で入るのはできるだけ避けてきた。危険な場所に斬りこむのはいつもは男女アメリ脳筋リオの仕事だった。


 私は腰の水の剣を抜くと右手に持って、左手で恐る恐る扉を開けた。


「あれ!魔物どころか何にもないですよ。」


 入り口から中を覗くと食糧倉庫のはずなのに食料らしきものは何もなかった。それどころか退治を依頼された魔物らしき物もいなかった。ただがらーんとした空間が広がっていた。


 安心した私は無警戒で食糧倉庫の中に入ってしまった。油断していたわけじゃないよ。ただこういう事に慣れていなかっただけなんだ。慣れている脳筋リオなら最後の最後まで気を抜かなかったと思うけど、なんせ私の本職は後衛の魔法支援だからね。


 それでどうなったかと言うと、突然黒い塊が天井から雨あられのようにいくつも降って来たんだ。私は声をあげる間もなくいくつもの黒い塊に囚われてしまったわ。


 苦しい。息ができない。どうしよう。早くこいつらをはねのけないとあれが来るわ。私は必死にはねのけようとしたんだけど、ちょっと無理だった。やばい。


「サンダー!」


 遅かった。あれ(サンダー)をついに喰らってしまった。


 脳筋リオが手加減してくれたのか、それとも私の魔法耐性が上がったのか、どうにか気絶は免れたわ。黒い塊たちも魔法を撃たれても消えない所を見るとただの黒スライムじゃないようね。こいつらがファントムスライムに間違いないわ。


 こんな解説を呑気にしている場合じゃないわ。私はまた脳筋リオ電撃攻撃サンダーを受けたのよ。もういい加減頭にきたわ。この怒りはこいつら(ファントムスライム)にぶっつけてやるわ。


 私は気絶しているであろう黒いファントムスライムを体から次々と引っぺがしては水の剣で斬りつけた。幽霊ファントム系の魔物は魔法剣に弱い。面白いように青白い光になって消えて行った。


 30匹は斬りつけただろうか、私の怒りもおさまったが、どうやら魔力も尽きたようだった。


「やってやりましたよ!リオさん!」


 私は肩で息をしながらどや顔で私を怒らせた張本人に勝利の報告をした。


「凄い。あれだけの魔物達があっという間に消滅しちゃった。アーリンと水の剣は最強だ。」


 私とハイタッチをしながら脳筋リオが褒めてくれた。傲慢娘イサキの方は床に転がった無数の魔石を拾うのに夢中のようだった。


「でも変ね。こいつらはちょっとだけ手強いけど、所詮は雑魚魔物じゃない。なんでアメリは新必殺技を繰り出したんだろ?」


「大方マームさんとエイミーに良い所を見せようといきってたんじゃないでしょうか?」


「あー。目立ちたがり屋のアメリならありうるわ。」


 私と脳筋リオは二人で男女アメリの陰口を言いながら笑っていた。本命のボスファントムスライムが天井にまだ潜んでいるとも気づかずに。




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