第245話 バーベキュー
「もう完敗だな。さっきはごねて悪かった。約束通り俺達砂漠の狼5名は美少女戦隊の子分になるよ。いや。子分にならせてください。」
砂漠の狼の5人はリオに正座させられて頭を地面にこすりつけてるじゃないの、これって土下座だよね。
「もう。リオったら。みなさん。頭をあげて足も崩して楽にしてください。」
そう言ってアメリが砂漠の狼の土下座を止めさせた。
「オレ達美少女戦隊には上下関係はありません。みんなただの仲間なんです。だから子分を作るなんて考えられません。みなさんは子分じゃなくてオレ達美少女戦隊の友達になっていただけませんか。」
「え!そんなんで良いのか?俺達はなんでも命令を聞く覚悟だぜ。」
あっけにとられたアリが言うようにそれでいいのか。もし負けたのが私とリオだったらこいつらは間違いなく私らを下僕にしていただろうに。甘い。甘すぎるんじゃないのか。意見を言いたいが新参者の私は異論を言える立場じゃないわ。私はぐっと我慢した。
「それでこれからオレ達は夕食にしようと思っているんですけど、親睦を深めるために砂漠の狼の皆さんも一緒にどうですか?」
「もちろん喜んで参加したいけど、俺達の持ってる食料何て干し肉や干からびた野菜しかないぞ。」
「あ、ご心配なく食材と調理はこちらで用意させていただきます。みなさんはそこでくつろいでいてくださいな。」
そう言うとアメリは自分達のテントに戻って行ってしまった。
「あの。生意気な態度をとってすみませんでした。」
「私もすみませんでした。」
アーシャとサリーが私に謝りにきた。
「いや。謝らなくても良いですよ。勝負が終わったら、アメリも言ってたけどもう友達ですよ。」
そう言って私は二人と握手した。
話してみると二人は良い奴そうだった。サリーが一つ年上の15でアーシャが同い年だった。年も近いし本当に友達になれそうだ。
アリを始めとする男性軍はサオリ、リオ、アーリンと話していた。リーダーのアリが20でアッサムとハーリドは19なのね。女の歳はどうでも良いけど、この3人の歳は覚えたわ。イーラム人って彫が深くて浅黒くってなかなかのイケメンぞろいなんだもん。こちらこそお友達になって欲しいわ。
しばらくしてアメリが呼びに来たので私達は私達のテントまで来た。テントの前にはコンロが二つ置かれ、その中では炭が燃えていたわ。
「砂漠の狼の皆さん。宗教的に食べられない肉とかありますか?」
「いや。そう言うのは無いけど。」
コンロに網を敷きながらアメリが聞くと砂漠の狼のリーダーのアリは答えた。
「それは良かった。じゃあどんどん焼いていきますから。」
そう言ってテーブルの上に置いた大皿から肉を取って網の上に並べ始めた。
「イサキ。何をぼーっとつっ立っているのよ。もう一つの網はイサキが焼くのよ。」
そう言って私に大皿を渡した。大皿には魚や貝、エビ、カニなどの海の幸がてんこ盛りだった。
「お、おう。」
返事をした私は魚介を箸で取っては網の上に並べた。焦げた魚が良い匂いを発した。
「バーベキューね。私もジパンではよくやったわ。」
「やっぱりジパンでもバーベキューはあったのね。ほらリオもつっ立ってないでみなさんにお皿とフォークを配って。」
そう言ってアメリはリオに食器を配らせた。どうやら私とリオにみんなの世話をさせて砂漠の狼との確執を取り除こうって言うのね。
「テーブルの上に塩でもたれでも醤油でも調味料はなんでもあるからお好みでつけて食べて。」
アメリはそう言うと今度はエールを配り始めた。
「はい!まずはダンジョン牛の舌が焼けたよ。アリさんから順番に皿を出して。」
そう言って一人ずつ皿に盛っていった。
「これはその果物の絞り汁を付けて食べるとさっぱりとしてうまいよ。」
私の方はまず貝が焼けてぱっかりと口を開けた。私はそれに醤油をたらした。
「はい。こちらは貝が焼けたよ。ほら良い匂いがするでしょ?」
うーん。たまらん。私が真っ先に食いたいくらいだ。
「イサキ。ちょうだい。」
なんと一番に来たのはリオだった。お前は今日はホストに徹しろよとも思ったけど、気前よく皿に盛ってやった。
エビやカニなどの比較的に早く焼けるものをどんどん焼いて、時間のかかる魚が焼ける頃にはサオリが代わってくれた。
さあ、私も肉食うぞ。砂漠の狼のイケメン達とお話するぞ。
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