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第241話 イサキVSアーリン

 



 ひょんな事から傲慢娘イサキと一騎打ちをする事になったけど、やるからには全力を出させてもらうわ。私の全力と言えば魔法ね。魔法の中でも幻影魔法ね。


 でも高度な幻影魔法を相手にかけるにはいろいろと仕込み作業がいるの。例えば相手の潜在意識にこちらに都合の良い暗示を刷り込ませるとかね。ところが傲慢娘イサキとは言葉が通じないもんだから、これが全くできないのよ。さすがの私も通訳の男女アメリを通しての仕込みは無理だわ。さらに言うと、私の得意技の審判に入れ替わって攻撃するって言うのも、今回は誰が審判かも決まっていないので無理そうだわ。何が言いたいかと言うとね。幻影魔法が出来ないのよ。ピンチだわ。


 得意の幻影魔法を封じられている私に対して、傲慢娘イサキの方は絶好調そうね。陰陽術って言うの?自分の分身を私達の目の前で出して見せたよね。私の幻影魔法と違って幻じゃなくて実体みたいだわ。これを使われたら単純に考えて1対2の戦いになっちゃうじゃないの。それに傲慢娘イサキは空も飛べるのよ。それに私の知らないスキルをいっぱい持っていそうだし。それに単純な体術でも敵わないのよ。それにそれにっていっぱい並べたけど、私が勝てる要素が全くないじゃないの。これは詰んだわ。やらなくても分かるわ。私の負けよ。


「あのう。アメリさん。勝負を・・・・・・・」


「アーリン!まさか棄権するんじゃないだろうな?そんな腰抜けはイーラムにいらないよ!」


「い、いえ!が、頑張ります!」


 棄権しようと思ったら、案の定男女アメリに凄い形相で睨まれてしまった。これは絶対にやるしかなくなっちゃった。


 こうなったらしかたない。幻影魔法ができないんならオーソドックスにいつものように戦うしかないわね。私の対人用のいつもの戦い方と言ったらあれよ。男女アメリの必殺技の火の玉突きね。


「あー!ほんならオレが審判を務めるね。ルールはいつものように手足がちぎれたり吹っ飛んだりするような魔法は無し、武器の使用も無し、それ以外は魔法は使い放題。殴り放題。ギブアップするか10カウント数えても起き上がれなかったら負けね。あと、一方的な展開になったらオレが止めるからそれも負けね。

 それじゃあ、始め!」


「ファイアーボール!」


 男女アメリの試合の合図と同時に私は前倒しで呪文を唱えていた魔法を撃った。私のファイアーボールは見事に傲慢娘イサキの顔面を捉えた。


「そして突きー!」


 燃え盛る顔面に私は突きを打った。しかし手ごたえがなかった。


「直突き!」


 逆にカウンターの突きを受けた私は吹っ飛ばされた。


「これもどうせ、一本とはならないんだよね。」


「そうよ。わかっているじゃないの。倒れているアーリンを攻撃しないんなら、カウントを始めるよ。」


 傲慢娘イサキ男女アメリになんか言っていたけど、イーラム語の分からない私には何を言っていたのか分からないわ。


「ワン!」


 男女アメリのカウントが始まったわ。どうやら倒れている私を攻撃しないようね。傲慢娘イサキエイハブみたいにおおかた士でも気取っているんでしょ。ジパンの出身だし。


「ツー!」


 おっと、のんびりと倒れている場合じゃないわ。倒された原因と対策を考えないと。


「スリー!」


 私のファイアーボールが決まったのに逆にカウンターパンチを受けてしまったわよね。たぶんファイアーボールを受けたのがイサキちゃん2号で本体はその陰に隠れていたのね。


「フォー!」


 良かったイサキちゃん2号を前もって見ていて、でなかったら今のからくりは気づかなかったかもしれないわ。


「ファイブ!」


 そしてイサキちゃん2号は火に弱いのよ。なら、詠唱再開だわ。


「シックス!」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「セブン!」


 私は起き上がった。


「大丈夫?まだやれるね?」


 私の顔色をのぞき込む男女アメリに私は無言でうなずいた。


「それじゃあ、始め!」


「ファイアーボール!」


「水の障壁!」


「水鉄砲!」


 私の魔法のファイアーボールは水でできた壁みたいなもので塞がれたわ。のみならずその壁の中から飛んで来た水の弾が私の足を貫いたわ。二人がかりの魔法攻撃ってわけね。


 うずくまる私に傲慢娘イサキは二人がかりで襲って来たわ。私はあっという間に抑え込まれてしまったわ。


「これって抑え込みでしょう。抑え込みも有りにしなさいよ。でないと、私がアーリンを一方的に痛めつける事になるよ。」(イーラム語)


 私を抑え込んでいるのとは別のもう一人の傲慢娘イサキが審判の男女アメリに抗議をしていた。


「分った。抑え込みも有りにしよう。10カウント抑え込んだら勝ちね。じゃあ、ワン!」


 なんですと。そんなん、聞いてないよう。私を抑え込んでいる方の傲慢娘イサキは私が身動き一つできないほどがっちりと抑え込んでいるじゃないの。だからもう一人は審判の男女アメリに抗議する余裕もあるんだけど。


「ツー!」


 このままじゃ、抑え込まれて負けるわね。でも私は気づいているんだ。


「スリー!」


 イサキちゃん2号が火にめっちゃ弱い事に。すぐに呪文を唱えないと。


「フォー!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「ファイブ!」


 よし。唱えた。くらえ。


「ファイアー!」


「あち!あっつい!」


 え⁉燃えない?私を抑え込んでいたのは本体の方なの?燃えなかったけど、手を放してくれたわ。でも、私も限界よ。自分の撃った魔法で自分が丸焼けになっちゃうわ。


 それで二人で仲良く泉に飛び込んだの。大きな水柱が上がったわ。


「来い!2号!」


 すかさず傲慢娘イサキがイサキちゃん2号を泉に呼び込んだの。しまった。いさきちゃん2号も水に入ったら私の火魔法が効かなくなっちゃうじゃないの。阻止したいけど、もう呪文が間に合わないわ。


 とりあえず私だけでも水から出ようとしたら、足をつかまれたわ。水中戦をしようと言うのね。良いわよ。望む所よ。


 水の中では傲慢娘イサキの得意なパンチも蹴りもまるで効かないわよ。まあ、私のもだけどね。


 それを悟った傲慢娘イサキは今度はつかみに来たわ。二人がかりで私を水の底にでも沈めようってつもりね。


 そんな事はさせないわよ。最初につかみに来た一人を私は蹴って突き放したわ。突き放したは良いけど、私の方も深みに足を取られてしまったの。足が着かなくなったので、あわてて傲慢娘イサキに自ら抱き付いてしまったわ。だって泳げないんだもん。


 傲慢娘イサキはがっちりと私をホールドすると、


「どう?もう降参する?溺れるのって辛いよ。」


 と、聞いてきた。もちろん通訳の男女アメリを通してであるが。


「冗談。私にはまだ見せてない魔法があるのよ。」


「じゃあ。かわいそうだけど溺れてもらうか。」


 そう言って傲慢娘イサキかイサキちゃん2号かどっちか知らないけど、私の顔を水の中に沈めた。


 およそ何秒かもわからないけど沈められた水から私は解放された。


 必死で顔をあげて私は呼吸をした。


「ちょっとアメリ!なんで止めないのよ!このままじゃ殺しちゃうかもしれないじゃない!」


「うん。アーリンはまだ諦めていないからね。」


 二人がイーラム語で何か言いあっているけど、おかげで私も呪文を唱えられたわ。


「サンダー!」


 泉の中にちょっと大きめのサンダーが落ちたわ。私自身が耐えられるかどうかギリギリの威力のサンダーよ。


「あ、このバカ。私達が水の中にいるのにサンダーを撃ちやがった。」


「リオ。人の事言えるの。あんたも前に撃ったじゃないの。」


 さすが脳筋コンビ、脳筋リオ男女アメリの二人はまったく平気だった。


「・・・・・・・・・・・・」


 黒髪サオリの方は私と同じく痺れているのね。


 肝心の傲慢娘イサキはどうかと言うと、私をつかんでいる方は黙って手を離したわ。白目を剥いてる所を見ると、こっちが本体みたいね。私の顔を水に沈めてくれていた方は何か一枚の板になっちゃった。


「げほ!わ、私の勝で良いですね?」


「ああ、もちろんさ。良くやった。アーリン。」


 息も絶え絶えに聞く私と気絶している傲慢娘イサキを抱き起しながら男女アメリは褒めてくれた。




 *




「なんかリオみたいな泥臭い勝ち方だったけど、よくやったアーリン。」


「良く言うわね。アメリ。あんたも雷でイサキを破ったじゃないの。」


 そうか男女アメリもこの方法で勝ったのか。やっぱり私のやり方で正解って事ね。


「うん。オレの時は4人がかりで来られたからしかたなかったのさ。」


「え!4人?」


 寝かされていた私はあわてて起き上がった。


「そう。4人。イサキちゃんは最大3体出せるみたいよ。アーリン。あんたが幻影魔法を使わなかったように、イサキも全力はまだ出してないって事よ。」


 え!そうなの。私の場合は出し惜しみをしたんじゃなくて出せなかったんだけどね。私はたった1体で手こずったのに3体も出せるんだ。


「ちょっとイサキさんと話をさせてください。」


「ああ。良いよ。そこでのびてるから、アーリンがヒールかけてあげて。オレが通訳してあげる。」


 私は砂浜でのびている傲慢娘イサキにヒールをかけて介抱した。


「強いね。アーリン。負けたわ。」


「なんでイサキちゃんを3体出さなかったんですか?」


「ああ、3体も出すと魔力をごっそりと使うんだよ。だからこれはいざと言う時しか使えないんだ。」


「私との戦いはいざと言う時じゃないんですか?」


「ああ。まあ、そこまでしなくても勝てると思っていたしね。ごめん。正直なめていたよ。それにアーリンも幻影術を使ってないじゃない。そしたら私だって全力を出すわけにはいかないでしょ。だけど、負けたからには、3体のイサキちゃん軍団で行かせてもらうよ。今度は最初から全力で行かせてもらうから。そっちも全力で来てくれ。」


 傲慢娘イサキには幻影術を見せてないはずだけど、幻影術の事がばれているみたいね。もっとも私の場合は出し惜しみじゃなくて出せなかったんだけど。そんな余計な事はもちろん言わないわ。


「わかりました。今度は幻影魔法を使って全力で行かせてもらいます。」


「私も最初からイサキちゃん軍団3人と全力で行くから、今度こそ負けないよ。」


「今度も負けませんよ。」


 私達二人はがっちりと握手をした。


 それにしても勝てて良かったわ。私は誰よりも脳筋リオ男女アメリの脳筋コンビの電流攻撃を受けてきたから、電流に対する耐性は少々自身があったけど、傲慢娘イサキの能力に関しては未知だったからね。どこまで通用するかは賭けだったわ。傲慢娘イサキ男女アメリにも同じ方法でやられているらしいし、倒す方法がこれしかないって事よ。でも傲慢娘イサキが私みたいに電流を克服したら、無敵って事じゃないの。じきに私達美少女戦隊の中で頭角を現すのは間違いないわ。私も負けないようにもっともっと修行しないと。




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