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第237話 リオVSセナ

 



 第一試合は幻影魔導士のアーリンらしい見事に卑怯な勝ち方であった。そうか。対戦相手をKOするだけが勝つ方法じゃないよね。対戦相手を失格になるように導けば良いのか。卑怯はオレの専売特許だと思っていたが、オレ以上の卑怯者じゃないか。やるじゃないかアーリン。オレはますますアーリンが気に入った。なんかアーリンがイーラムに執拗に来たがっていたが、逆にこちらから頼んででも来てもらいたいくらいだぜ。なんにせよ、これでイーラムでのオレ達美少女戦隊のパーティの構成員の一人が決まった。あと残り一人を争ってリオとセナがこれから戦うわけだが、この試合も楽しみだぜ。あ、そう言えば、ナンバー3を決めるトーナメントだったっけ。オレが一位と二位をイーラムに連れて行くと言っちゃったもんだから、当初の目的から外れてイーラム行を賭けての戦いになっちゃった。オレにとったらナンバー3がリオでもセナでも誰でも良いから、どうでも良いか。


 まあ、でも、王国に残ったメンバーの事を考えたらリオとセナの両員が抜けるのはまずいよね。だからあえて二人を一回戦で潰し合わせたのさ。オレが直に指名すればそれで決まるんだけど。それじゃ、選ばれなかった方が納得しないでしょ。自分でイーラム行の権利を勝ち取った形にしないと。そうしたら選ばれなくても負けたんだからしゃあないと納得してくれるからね。


 この戦いはパワー戦士のリオ対魔法戦士のセナの戦いってところね。簡単に言うと。でもリオだって魔法が不得意なわけじゃないし、セナだってパワーが無いわけじゃないわ。オレが二人を隙が無いように鍛えたからね。つまりどっちが勝つかなんて分からないってわけよ。こうなるとベタな言い方かもしれないけど、オレとサオリと一緒に行きたいとより強く願っている方が勝つとしか言えないわ。まあ、能書きはどうでも良いわ。極上のバトルを純粋に楽しもう。


 審判は、一試合終えたばかりで悪いんだけどエイハブにやってもらったわ。なんせ審判エイミーを潰した張本人だからね。


「サオリ。どっちが勝つと思う?」


「うーん。体術だけの単純な組手だったらリオが圧倒的に有利だけど、魔法を使えるからね。魔法の使い方が肝になるよね。魔法だとセナなんだよね。でもこんな接近戦で矢継ぎ早に魔法を撃てないし、やっぱりリオかな。」


「うん。オレもリオ有利だと思うけど、セナには頭もあるから簡単にはリオに勝たせないと思うんだ。」


「そうね。力の強いオークも結局、非力だけど頭の良い人間には敵わないもんね。やっぱりセナの勝ちかな。」


「だ、誰がオークじゃい。人の事を何だと思ってるのよ。もう怒った。」


 オレとサオリの内緒話は地獄耳のオークいやリオには丸聞こえだった。オレとサオリは平謝りをしてお詫びにリオを応援する事になった。


「リオ!頑張れ!」


「ファイト!リオ!」


 にこやかに笑って手を上げて声援に答えるリオに対してセナのほうはぶつぶつと独り事を言い、いや呪文を唱えている。呪文の前倒しか。これは図らずとも体術対魔法の対決が見られそうだぞ。ワクワクして待っているとエイハブが両者を対峙させた。


「それでは始め!」


「ファイガボール!」


「縮地!」


 やはり、エイハブの開始の合図と同時にセナは魔法を撃った。対するリオは縮地で一気に間合いを詰めて、いや縮地を魔法を避ける事に使ったみたいだった。


「突いて来ないの?突かないと火の玉突きにはならないよ。じゃあ、お返しよ!ファイアーボール!そして突きー!」


 渾身の魔法のファイガボールをかわされて呆然としたセナは逆にリオのファイアーボールを顔面に受けてとどめの右ストレートまで受けてしまった。掟破りの逆火の玉突きだ。これでセナが吹っ飛んで万事休すかと思われたが、ふんばったセナがなんとリオのパンチに耐えた。いや、首をひねってうまく受け流したのか。


「や、やるわね。じゃあこれはどう?」


 そう言ってリオは今度は左フックをセナの右わき腹に叩き込んだ。これもきれいに決まった。うずくまったセナにとどめの膝蹴りをかまそうとしたところに。


「ファイアーボール!」


 今度はかわしようのない至近距離からのファイアーボールをリオは受けてしまった。ファイアーボールで目がくらんでしまったリオは今度はセナにいいように殴られた。このままセナがタコ殴りにして終わりかと思ったら、リオは縮地で距離を取った。


「得意の縮地でかわす技も至近距離じゃ無理みたいね。どう?降参する?」


「ふん。そんなこと言って、今も呪文唱えているんでしょ?良いわよ。好きに撃ってくれば良いよ。」


「じゃあ、サンダービーム!」


 今度のセナの魔法は雷だった。雷はいくら縮地を使っても避けられない。


「そして突きー!」


 棒立ちになったリオにセナがとどめの突きを放った。


「「「「なにー!」」」」


 しかし吹っ飛んだのは殴りかかったセナの方だった。


 リオもエイハブと同じように倒れた者に対して追撃を加えなかった。


 あわててエイハブがカウントを取り出した。


「魔法だ。魔法だと言ってもしょせんは目くらましよ。私にとっては。目くらましなら見なきゃ良いのよ。」


 なんとリオは目をつむってサンダービームをまともに受けたのか。オレ達は目が見えなくなっても戦えるように訓練を積んでいる。だから最初から目をつむっていれば目くらましにならないってか。実に素晴らしい作戦だが防御力がずば抜けて高いリオならばでの作戦だった。普通は一発目の魔法で大ダメージを受けるからね。


 エイトカウントでセナが立ち上がった。


「ふん。やるわね。どうやら脳筋さんには魔法が効かないみたいね。良いわよ。リオの得意の体術で相手したげる。かかってらっしゃい!」


「じゃあ。私も得意の縮地は使わないわ。男いや、女らしくこぶしで語り合おう!」


 そう言って二人は足を止めてボクシングのように殴り合った。セナも良く頑張ったが単純な殴り合いだったら、やはりリオの方が強い。セナがだんだん押されて行った。


「じゃあ。これでとどめね。突きー!」


 リオがとどめの全体重を載せた突きを放った。縮地を使わないって言ってたくせに使っているじゃねえか。嘘つき。


 しかしセナは吹っ飛ばなかった。セナも縮地を使って後ろに飛びパンチの威力を逃がしていたのだった。そのままセナはリオの右手をつかみ、飛びついて足を絡めた。セナに飛びつかれたリオはその重さから自然と崩れ落ちた。セナはつかんだ右手を伸ばした。見事な飛びつき腕ひしぎ逆十字じゃないか。そう言えばセナは誰よりも熱心にオレに関節技を習ってたよな。あ、でもエイハブは関節技って知っているんだっけ?


「船長!リオにギブアップするか聞いて!」


 オレの指示でエイハブがあわてて腕を伸ばされたリオに向かった。


「リオさん。参ったしますか?」


「参っただって?冗談でしょ。今がセナを仕留める最大のチャンスなのよ。セナが私を長い時間掴んでいてくれたおかげで長い長い呪文を唱える事ができたわ。超サンダガ!」


 とんでもない威力の雷がリオを中心として落ちた。爆心地のセナとエイハブは白目を剥いて倒れていた。爆心地から離れていたオレ達も無事ではすまなかった。さすがのサオリは気絶しなかったらしいが電撃でしびれていた。だがイサキもアーリンもエイミーもマームも全滅だった。みんな白目を剥いて気絶していた。


「サオリ!しびれている所悪いけど、セナと船長にハイヒールをかけてあげて。オレは残りのみんなに気つけのヒールを賭けて起こすから。」


「わ、わかったわ。」



 *



「うん。見事な戦いだったよ。勝者リオ!」


 オレはのびてる審判のエイハブに代わってリオの手を高々と上げてやった。


「みんな拍手!」


 しかし拍手したのはオレとサオリだけだった。みんなのびていてそれどころじゃないみたいだった。


「あのう。これって審判への暴行に当たるんじゃないでしょうか?」


 エイハブがふらふらと立ち上がって言った。


「却下!」


 オレは即座に却下した。


「じゃあ。アーリン。決勝戦やる?」


「じょ、冗談でしょ。棄権します!」


「あー。アーリン棄権で優勝はリオに決まりました。続いて優勝者のリオとイサキでのナンバー3決定戦ですが。イサキやる?」


「わ、私じゃ敵わないって事が良くわかりました。」


「えー。イサキさんも棄権するみたいだから、ナンバー3はリオで決定ね。あと、優勝者のリオとアーリンは明日からさっそくイーラムに行ってもらうから今日中に準備しといてね。」


 サオリのワープでキンリーの我が家に帰ったオレ達はリオの優勝祝いとイサキの歓迎会を兼ねて夜の町に繰り出した。飲んで騒いで一晩ぐっすり寝て翌朝元気いっぱいでイーラムに乗りこんだらもうすでに夜だった。しまった。時差を忘れてた。


「アメリ。なんか真っ暗なんですけどまだ夜が明けてないのかな?」


「いや。リオ。逆だよ。もう日が暮れたんだよ。」


「ええ!じゃあ。冒険者ギルドは?」


「もう。しまってるだろうね。」


「じゃあ。これからどうするの?」


「リオとアーリンの部屋を取って宿屋で寝よう。」


「えー!また寝るの?今起きたところだよ。」


「じゃあ。仕方ない。夜遊びに行きますか。」


「やったー!」


 そう言うわけでオレ達美少女戦隊イーラム支部の活動一日目は夜の町に繰り出す事となった。




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