表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/373

第23話 ゴブリン殲滅

 翌日、早朝。今日はダンジョンでなくて町の近くの山にオレ達は来ていた。昨日、冒険者ギルドに寄ったら、受付のアリシーから、悪さをされてる麓の村の要請があるのと、薬草採集に向かう低ランク冒険者の安全のために、山に住み着いたゴブリンを退治してくれと頼まれたからであった。


「ねえ。ゴブリンって何?」


 サオリが聞いてきた。


「レベル3の魔物で人型のいわゆる小鬼ってやつね。」


 オレが答えると。


「レベル3ってレベル5のホーンラビットより弱いじゃん、楽勝じゃん。」


「いや。ゴブリンは厄介だよ。」


 オレはゴブリンが知性を持っている事、そのために罠をはったり、武器や統率した動きで攻撃してくる事などを説明した。


「だから、誰もやりたがらないで、うちらにお鉢が回ってきたんだね。」


「まあ。そういう事ね。」


「知性を持った人型魔物?アメリは大丈夫なの?魔物と言え、小さな人でしょ。」


「うん。覚悟はできてる。冒険者になると決めた時からね。サオリは嫌ならやめてもいいのよ。」


「わたしもある程度の覚悟はできてるから。」



 サオリが覚悟を述べた。


 今までのような単なる魔物じゃない、魔物と言えど知的生命体である。感情のある生き物の命を自分たちの都合で奪ってしまう事の罪深さは、考えれば考えるほど怖い。しかし、かわいそうだと思ってはいけない。やらなければやられる。襲ってくれば、機械的に駆除するのみだ。いずれは人だって、そうしなければならないときが来るかもしれない。


 オレ達は時折襲ってくるホーンラビットやスライムを倒しながら山道を登った。冒険者ギルドの受付のアリシーにもらった簡単な地図によると、そろそろゴブリンのテリトリーであった。オレは鑑定を発動した。


 向こうに見える洞穴に多数のゴブリンの反応があった。どうやら、ここが住処らしかった。


「みんな、止まって。向こうの洞穴が住処みたいよ。」


 オレは向こうに見える洞穴を指さした。


「あれね。それでどうする?」


 洞穴を見てリオが聞いてきた。


「うん。そうね。とりあえず、あの見張りのゴブリンを倒しましょ。サオリ。頼むわよ。」


 オレは日本語で支持を出した。


「ラジャ。」


 サオリは槍をライフル銃のように構えた。


「サンダー。」


 槍から出たいかずちがゴブリンを撃った。サオリの必殺技、サンダービームであった。


「よし。わたしが先頭でリオが真ん中、サオリがしんがりで突入するわよ。リオはわたしと一緒にゴブリンを切り伏せて、サオリは後ろから魔法で援護よ。」



 オレは二人に指示を出した。


「オッケー。」「ラジャ。」


 オレを先頭に洞穴に突入した。


 洞穴は思ったよりも奥行があり、ちょっとしたダンジョンのようであった。しばらくすすむと広場のような空間に出た。広場には武装をしたゴブリンが十匹近くいた。武装と言っても魔物の骨や木の棒を構えただけであったが。オレ達は一斉に襲い掛かって来たゴブリンたちを切り伏せた。


「ゴブリンなんて何匹かかってこようとわたしの愛剣エクスカリパーが切り伏せてくれるわ。」


 リオが興奮して叫んだ。


「え?エクスカリバー?そんな凄い剣だったの?」


 オレがビックリして聞くと。


「エクスカリバーじゃなくてエクスカリパーよ。」


 リオが答えた。


「なんだ。まがい物か。」


「まがい物って何よ。エクスカリパーはエクスカリパーよ。全財産はたいたんだから。」


 エクスカリバーについて知らないみたいだから。黙っておくか。それよりもサオリだ。


「サオリ。大丈夫?」


「うん。もっと、罪悪感や嫌悪感があると思ったけど、全然平気。わたし、もう、この世界に毒されてしまったんだわ。」


「わたしもよ。リオみたいに叫びたい気分だわ。でも、こうして手を合わせるのは忘れてないわ。」


「わたしも手を合わせておこう。」


 サオリも手を合わせて祈った。


「ところで、ゴブリンはもういないのかな?」


 サオリが聞いてきた。オレはずっと鑑定を続けていたが、近くにゴブリンの反応はなかった。


「近くにはいないみたいよ。でも、まだ奥があるから、気を付けて。」


 オレは答えて、再び歩き出した。


 次の広場には一人の少女がつながれていた。


「あなた、大丈夫?」


 リオが少女に駆け寄った。


「あっ。だめ。」


 オレが叫んだが遅かった。リオは落とし穴に落ちてしまった。


「ぎゃ。痛い。」


 リオが落ちるとほぼ同時にサオリが矢で撃たれた。


「さ、サオリー。」


 オレが振り返ると、そこには弓を構えるゴブリンが三匹いた。それどころか、魔法を詠唱している魔法使いポイのまで三匹いた。その後ろにはボスと思しき一回り大きなゴブリンがいた。ボスの周りには戦士ゴブリンまでいた。しまった。後ろまで鑑定で索敵してなかった。


 サオリがオレをつかんでワープするのとほぼ同時に、矢と魔法の火の玉がオレ達を襲った。


「キアリー。」


 広場の片隅で、オレの解毒魔法でサオリは一命をとどめたが、もう戦闘は無理だろう。それくらい、矢に塗られた毒は強力だった。


「サオリ。つらい所、すまないけど、ワープであの子とリオを助け出して、この洞穴から外に逃げて。」


「え?アメリはどうするの?」


「わたしは大丈夫よ。近づいてきたわ。早く。」


 サオリがリオと少女を抱えてワープするのを見届けると、オレは向かってくるゴブリンに対して身構えた。


「もう。駄目かも。でも、ただでは死なないわ。お前らは道連れよ。」




 ***************************************







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ