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第227話 VSメガロクラブ

 



 サオリのハイヒールでオレは目を覚ました。どうやらメガロクラブのメガトンパンチを受けて気絶していたみたいだ。オレは素早く自分の体をチェックした。咄嗟に盾で防げたようで外傷は無いみたいだった。胸の打撲だけみたいだった。体中が痛かったが幸いにして骨には異常がなかった。胸の打撲もサオリのハイヒールのおかげでじんわりと癒えていった。全身の痛みもどんどん癒えていった。ありがとう。サオリ。


 メガロクラブの追撃はサオリが防いでくれていた。しかしさすがのサオリもメガロクラブのはさみ攻撃に防戦一方だった。オレは素早く起き上がるとサオリとメガロクラブの間に割って入った。


「アメリ!大丈夫?」


「ありがとう!おかげで復活したよ!メガロクラブの攻撃は引き続きオレが一手に引き受けるからサオリは攻撃に専念してくれ!」


「オッケー!」


 サオリはオレから離れてメガロクラブの背後に回った。上手い。メガロクラブの背後から足を斬った。メガロクラブは何事かと目だけをぎょろりと後ろに回した。おっとお前の相手はオレだぜ。オレは前からサオリの斬ったのと同じ足を斬った。やはり硬い。だが少しずつであるが表面の貝が削れてきていた。


 オレの攻撃に目を正面に戻したメガロクラブは再び左ばさみで突いてきた。オレは難なく避けた。さらには大きな右ばさみがオレを突いてきた。このパターンはもう見ているんだぜ。オレはかがんでかわすと同時に先程からサオリが削っている左の一番下の小足、泳ぐのに都合よくうちわ状になっている小足を斬った。


 バキバキバキーィ!


 メガロクラブが大ばさみをすり合わせていやな音を発した。


「アメリ!やったの?」


「いや!貝が削れただけだ!それで怒ってるみたいだな!」


 メガロクラブの小足は表面の白い貝が削られて本来のメガロクラブの色である赤い色が少しだけ見えていた。


「どんどん斬ってくれ!」


「オッケー!サンダーソード!」


 オレの指示でサオリも同じところを斬った。これには堪らず横に走ってメガロクラブが初めて自分から距離を取った。そして大ばさみを前に出して盾のように構えた。


「チャンスじゃないの?追撃しようか?」


「いや!待って!」


 剣を構えて走り出そうとしたサオリをオレは慌てて止めた。そして代わりに盾を構えてじりじりとメガロクラブとの距離を詰めた。


 あと2メートルと言う所で突然メガロクラブが横向きに体当たりしてきた。速い。トラックが突然ダッシュしてきたようなものだ。避けれないと判断したオレは盾を両手で構え、自ら後ろに飛んだ。またもや派手にぶっ飛ばされた。しかし前回と違って今回は不意を突かれたとは言え十分に反応できたので気絶は免れた。オレは素早く立上がり、サオリに無事をアピールした。と言うよりもメガロクラブの追撃に備えた。


「サンダガビーム!」


 サオリの魔法攻撃でメガロクラブが一瞬固まった隙に縮地で距離を取った。危ない。一人だったらメガロクラブの体当たりから大ばさみで突くコンボ技にやられていただろう。タイマンだったら今ので終わっていたな。しかしオレにはサオリと言う頼もしい味方がいるんだぜ。


「アメリ!大丈夫?ハイヒールいる?」


「大丈夫!体当たりまで有るとはちょっと厄介だな!でもサンダガで一瞬固まるのはチャンスだな!」


 メガロクラブは大ばさみで自らの体を隠し半身になって構えていた。必殺の構えと言う事か。いつでも体当たりをかませるってわけか。面白い。


「サオリ!サンダガビームを撃って!」


「オッケー!サンダガビーム!」


「よし!」


 サンダガビームを喰らってメガロクラブが固まった一瞬にオレは縮地でメガロクラブの左側の懐に入った。そしてまた左の小足を斬った。気が付いたメガロクラブは左の小ばさみでオレを突き飛ばそうとした。オレは左手の盾でそれを受けると再び同じ足を斬った。さらに大ばさみを振り下ろしてきた。オレはそれを避けると縮地で距離を取った。小ばさみは受けれても大ばさみはオレの力じゃ受けきれないからね。


「サンダ・・・」


 サオリが追撃を撃とうとした刹那、メガロクラブは横っ飛びで海に飛び込んだ。そしてそのまま海の中に消えて行った。


「あ!逃げた!追いかけようか?」


「いや無理だろう。あのうちわみたいな足をサオリも見たろ?あっちは泳ぎも専門家だぜ。」


「じゃあ。どうする?」


「まあ。ひとまずは波打ち際に近づかないで警戒を解かない事かな。」


「うーん。逃がしたか。ちくしょー!」


「まあ。仕方ないよ。S級の魔物を二人で討伐は無理だよ。あと一人。リオかセナがいてくれたらオレも攻撃に専念できたから絶対に負けないんだけど。」


「リオね。ワープで連れてこようか?」


「いや。止めとこう。リオは今頃ダンジョンに潜ってるだろうから捕まらんよ。それに迷惑じゃない。」


「そっか。そうだよね。残念。」


 サオリは砂を蹴って悔しがった。


 それからオレ達は海岸線に近づかずに島の中央部の木陰で火を焚いて先程取った貝を焼いて食った。ハマグリみたいな二枚貝は醤油をたらして食うと美味かった。メガロクラブに襲われてとんだ休日だったがこうやって木陰でのんびりできて良かった。ヤシの木みたいな木もいっぱい生えていた。実はたっぷりのジュースが入っていて美味しかった。もちろんアイテムボックスにいっぱい収納したさ。


「うーん。メガロクラブに襲われたけど綺麗な海で泳げて良かったねアメリ。」


「うん。良かった。どうやらメガロクラブももう襲ってこないみたいだし。良い休日だったよね。そろそろ帰ろうか?」


「よし!また対岸の島まで競争する?」


「いや。やめとこう。海で襲われたら絶対に敵わないよ。」


「そうか。わたし達が海に入るのを今か今かと待ち構えていそうだものね。じゃあ。帰る前にきれいな貝殻を取って行こうよ。」


「きれいな貝殻?うわ。なんか乙女チック。」


「そうよ。わたしは誰かと違って乙女なんだからね。アメリも手伝うのよ。」


「はい。はい。わかりましたよ。お嬢様。」


「はいは一回だけって習わなかったの?」


「お母さんから習ったよ。それぐらい。じゃあ。今度はどっちの方がきれいな貝殻を集めるかで勝負しない?」


「出た。また勝負?良いわよ。女の子らしい事でわたしがアメリに負けるはずないもの。」


「よし!勝負だ!」


「おう!」


 この小島の砂浜は打ち上げられたサンゴや貝のかけらからできていた。なので色とりどりのきれいな貝殻も大量に落ちていた。オレとサオリは貝殻を夢中になって拾った。その結果オレとサオリはちょっと離れてしまったんだ。決して油断していたわけじゃないんだけど。オレが近くにいれば鑑定で見抜けたんだけど。


 サオリは突然砂浜に空いた穴に落ちてしまったんだ。


「サオリー!」


 大声で叫んだがサオリの姿は砂浜の中にかき消えた。




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