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第215話 VSシードラゴン

 



 シードラゴンは頸から上だけを海上に出していた。その姿はまるで巨大なヘビのようでもあった。巨大なヘビが海の上で直立しているように見えるが、見えない海中にはその本体である体があるのである。その巨大なヘビである頭の部分が物凄い勢いで迫って来た。船に体当たりをかますつもりであろうか。このままではまずい。


「サンダガ!」


 ウィンチを巻いていたタロウがロープに魔法で電流を流した。


 あわや激突かと思える距離まで急接近したシードラゴンだが突然動きを止めた。いきなりチャンスだ。釣り針を通してシードラゴンの体内に直接電気の魔法を流し込むオレの作戦が当たったようだ。豊富な体力を誇るシードラゴンはもちろん魔法一発でやられはしないが、どうやら気絶をしているようだ。


「よし!チャンスだ!俺が魔法を流し続けるからアメリは大砲を撃て!」


「おう!船長頼む!」


 タロウの指示を受けてオレはエイハブに大砲を出してもらうように頼んだ。


「わかりました!」


 エイハブが操舵室の中にあるレバーを引くと船首に大砲が飛び出した。


「よし!ゆっくりたっぷりと呪文を唱えた!次のサンダガは特別だぜ!心して喰らいやがれよ!サン・・・・」


 オレが砲座に付く前、タロウが第2弾のサンダガを撃つ寸前に目を覚ましたシードラゴンが船に体当たりをかました。


 ドゴーン!


 大きなそして鈍い音が辺りに響き渡った。オレはあわてて甲板に出た砲座をつかんだ。危ない。砲座をつかまなかったら海に叩き落されるところだった。


「みんな!無事か?」


 タロウがみんなに声をかけた。


「ワープ!」


 どうやら海に落とされたと思われるサオリがワープで戻って来た。


「落ちたのがサオリで良かった!船長!距離を取って!」


「ラジャ!全力前進!」


 タロウの指示でエイハブが船を急発進させた。巨大な船がまるでスポーツカーのように急発進した。人力で漕いでたらとてもじゃないができない芸当である。船自身が生きた魔物であるからこそできる芸当であった。


「改めてお見舞いするぜ!サンダガ!」


 離れ際にタロウが魔法を撃った。さすがS級冒険者だ。抜け目がない。


 再び気絶したシードラゴンが動きを止めた。


「3秒しか動きを止められなかったか、さすがシードラゴンだ。」


 呪文を唱えながらタロウが言った。


「それで魔法は効いているの?」


 サオリが聞いてきた。


「ああ。効いてる。効いてるけど、いかんせんHPが多すぎる。到底致命傷にはならんわ。」


 呪文を詠唱中のタロウに代わってオレは答えた。


「ああ。こうやってHPを少しずつ削っていけばいけば、いつかは倒せるかもしれないけど、それじゃあらちが明かん。アメリ。俺がサンダガで動きを止めるから、大砲を撃って。」


「おう!」


 オレはタロウの指示で砲座に座った。スコープでシードラゴンに狙いを付けた。


「スタンバイ!オッケー!」


「よし!サンダガ!」


 オレの声を聴いてタロウがサンダガを撃った。タロウのサンダガで動きを止めたシードラゴンの頭にオレはスコープの標準を合わせた。


「ファイアー!」


 掛け声とともにオレは大砲に魔力を流した。大砲は先程エイハブに渡した砲丸を発射した。


 ドゴーン!


 やった。命中だ。砲丸は見事にシードラゴンの頭部で爆発した。


 しかし残念ながら竜鱗に覆われた鉄壁の守りのシードラゴンの頭部に風穴を開ける事は出来なかった。


「効いてるの?」


 再びサオリが聞いてきた。


「うん。致命傷には程遠いけど。魔法を撃つよりも効いてはいるよ。」


 オレはシードラゴンを鑑定しながら答えた。


「よし!俺の魔法とアメリの大砲のコンボで行くぞ!」


「おう!」


 タロウに答えるとオレはシードラゴンの頭部に再び狙いを付けた。


「よし!サンダガ!」


 タロウの渾身のサンダガでシードラゴンは再び動きを止めた。動きを止めた的を外すはずがない。オレの撃った砲丸は再びシードラゴンの頭部を直撃した。


 ドゴーン!


 今度は会心の一撃だった。いくら丈夫な鱗で守られていても頭の中は人間と同じでもろいんだ。わかりやすく言うと鉄の入れ物で守られた豆腐だ。鉄の入れ物は大丈夫でも、中の豆腐は大丈夫じゃなかったみたいだ。


「今度のは効いたみたいだよ。HPが大きく減った。」


 オレがシードラゴンを鑑定しながら言うと、


「ああ。そうみたいだな。これはチャンスだ。どんどん行くぞ。」


 同じくシードラゴンを鑑定したタロウが言った。


「あっ!目を覚ましたよ!」


 手持無沙汰で戦闘を見守っていたサオリが言った。


「ふん。じゃあ、もう一度眠ってもらおうか。」


 タロウが呪文を唱え始めた。


「あ!ブレスを吐いた!」


「ばかめ!こんな遠くまで届くと思ってるのか。奴さん。頭をやられていよいよ血迷って来たぞ。」


 勝ちを確信したタロウは呪文を中断してサオリと一緒にシードラゴンを観察し始めた。


「やばい!タロウさん。呪文を早く唱えなおして!」


 同じくシードラゴンを観察していたオレは叫んだ。




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