表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/373

第208話 海賊砲発射

 


 ものすごい数の水の球が船の上にいるオレ達を襲って来た。一発でも当たれば海の中に落とされてしまう。これでは立つ事もできない。それどころかオレ達の乗っている船自体が危ない。いくら頑丈にできている海賊船と言えどこのままでは大破してしまうだろう。はっ。海賊船?この船は紛れもない海賊船?と言う事は当然あれを装備しているわけだ。


「船長!この船には大砲はあるの?」


「もちろん!」


 オレの問いに答えたエイハブが何かのレバーを引いた。すると船首から砲台が一台出現した。


「弾はワシのオリジナル製品です。この世界ではまだ火薬と言う物が普及しておりませんから苦労しました。狙いをつけたら砲台に魔力を流してやってください。船が弾を発射してくれます。シードラゴン用に開発した秘密兵器です。どうぞお試しあれ。」


 こんな良い物があるなら初めから出せよって事だ。オレは無数に飛んでくる水球に当たらないように匍匐前進で砲台に向かった。


「良いねえ。これでこそ海戦ってもんだよ。スコープまで付いてるんだ。さすが船長。やるねえ。」


 オレはスコープで狙いを付けると砲台に魔力を軽く流してやった。


 ドッゴーン!


 強烈な発射音と共に大砲は弾を弾き出した。しかし惜しいかな弾はメガロシャークの背びれをかすめただけであった。うーん。やはり簡単には命中しないか。当たらないなら当たるようにするまでだ。


「タロウさんとサオリ!ロープに電流を流して!」


「「おう!」」


 オレの指示でタロウとサオリは匍匐前進でロープに近づくとロープに魔法で電流を流した。


 三度メガロシャークは気絶して腹を上にして浮かび上がった。


「チャンス!船長!船を近づけて!」


「おう!」


 オレの指示でエイハブは船をメガロシャークに向って進めた。この距離なら目をつぶっても外さない。オレは再び砲台に魔力を流した。


 ドッゴーン!


 今度は大当たりだ。メガロシャークのどてっぱらに風穴を開けた。しかし残念ながら一発ぐらいでは致命傷にはならない。


 大砲の弾が当たった事により目を覚ましたメガロシャークは海中に潜り始めた。


「逃すかよ!サンダガ!」


 タロウが無詠唱でロープに魔法を流すとまたもやメガロシャークはぷっかりと浮かび上がった。


「ナイス!タロウさん!それ!発射!」


 ドッゴーン!


 今度も当たりだ。この調子でメガロシャークをハチの巣にしてやる。


「それ!もう一丁!」


 再度オレは砲台に魔力を流した。しかし弾は飛ばなかった。


「あ!言い忘れてたけど!弾は三発です!」


 えー!なんだって!そう言う大事な事は最初に言えよ!弾がなかったら攻撃できないやんけ。


「よし!なら魔法だ!サンダガ!」


 目を覚ましかけたメガロシャークはタロウの魔法でまたもや気絶した。


 しかしながらタロウの魔法もまったく致命傷にはならない。一瞬気絶させるだけだ。しかしながら今はこれしか攻撃方法が無い。オレ達は順番に魔法を撃った。メガロシャークが目を覚ます。魔法を撃つ。メガロシャークが気絶する。メガロシャークが目を覚ます。魔法を撃つ。このループが延々に続くかと思われたがそうはいかなかった。


 ドッゴーン!


 突然の衝撃が船と船の上のオレ達を襲った。


 そうだった。敵はメガロシャーク一匹だけじゃなかった。マッドシャークも無数にいるんだった。オレ達がメガロシャークにやられて海に落ちるのを待ち構えているんだ。


「タロウさん。メガロシャークは任せて良いですか?」


「おう!」


「サオリはオレとマッドシャーク退治だ!」


「おう!」


 タロウがメガロシャークにロープを伝わせてサンダガを撃って、暴れ出さないようにしている間にオレとサオリは船首から海上の無数のマッドシャーク目掛けてサンダガを撃った。幸いな事にマッドシャークは海上に大きな背びれを見せながら襲って来る。これなら船の上からでも攻撃できる。オレとサオリなら絶対に外さない。マッドシャークはメガロシャークほどHPは高くない。オレとサオリは次から次へと面白いようにマッドシャークを撃破した。しかしいかんせん数が多すぎるきりがない。


「タロウさん!きりがないっす!ここは一旦引きますか?」


 オレはロープからメガロシャークに電流を流しているタロウに指示を仰いだ。


「いや!続行だ!見ろ!」


 言われてメガロシャークを見ると、さっきの大砲で血を流したメガロシャークに何匹ものマッドシャークが襲い掛かっていた。


 まったくこいつらときたら。血を流す者なら親兄弟でも襲うからな。


「よし!メガロシャークはマッドシャークに任せて俺もマッドシャーク退治に加わるぜ。」


 そう言うとタロウはロープから手を外し、マッドシャーク目掛けて魔法を撃ち始めた。


 タロウも加わった事によってマッドシャークはどんどん数を減らし始めた。このまま三人でマッドシャークを全滅かと思われた時にサオリが言った。


「アメリ!わたしもう魔力がないわ!」


「俺もそろそろやばいな!」


 無理もないか。雷系の最上級呪文の連発じゃさすがに二人とも魔力が尽きるわな。


「わかった!オレはまだ撃てるから二人とも魔力を温存して!」


 そうは言った物のオレの魔力も遅かれ早かれ尽きるだろう。これは何とかしないと。しかたない。マッドシャークにも仲間割れをしてもらうか。


「ウィンドカッター!」


 オレは海上に出たマッドシャークの背びれ目掛けて風の刃を撃った。


「風魔法か!海の魔物には雷系が効くんじゃないのか?」


 オレのウィンドカッターを受けても怯まずに突進してくるマッドシャークを見てタロウが言った。


「まあ!見ててください!」


 オレがそう言うと、血を流しながらこちらに突進してくるマッドシャークを止めたのは他のマッドシャークであった。


「なるほどね!血を流させたってわけか!」


「そう言う事!じゃあ!赤チームと白チームでバトルしてもらいますか!ウィンドカッター!」


 そう言うとオレは海上に見える背びれを目掛けて魔法を撃った。


 血を流すマッドシャークもただではやられない。襲った相手を鋭い牙で噛みついて反撃する。噛みつかれた相手も当然血を流す。血を流せば他のマッドシャークに襲われる。襲われれば反撃する。襲った方も血を流す。恐ろしい地獄の連鎖が始まった。


「ふー!これでマッドシャークの方は何とかなりそうですよ!それじゃあ本命のメガロシャークさんに集中しますか!」


 オレが前方を指さすとマッドシャークをその鋭い牙で次々に撃破するメガロシャークが見えた。


「ほえー。さすがはメガロシャークだな。マッドシャークじゃ束になっても敵わないか。」


 そうタロウが呑気に言った。


「まあ。海の中じゃシードラゴンに次ぐラスボスですからね。マッドシャークチームを援護してやりましょうよ。」


 そう言ってオレはメガロシャークに繋がったロープを握った。


「サンダガ!」


 オレの魔法はロープを伝ってメガロシャークに届いた。メガロシャークは今日何度目か分からない気絶をした。そのチャンスにメガロシャークを取り囲んでいたマッドシャーク達が次々と襲った。


 こうしてあれほどのHPを誇ったメガロシャークも息の根を止めた。残りのマッドシャーク達も共食いでその数をどんどん減らしていった。残り少なくなったメガロシャーク達は殺し合いを止め海の底へと引き上げて行った。


「やったの?」


「うん。もういないみたいね。」


 サオリの問いにオレは海中を鑑定しながら答えた。


「ああ。こっちもいないみたいだよ。」


 同じく海中を鑑定していたタロウが答えた。


「じゃあ。戦利品の回収といきますか。サオリ手伝って。」


「わかった。ワープね。」


 そう答えるとサオリはオレの肩を掴んで海上へとワープした。オレは海上に浮かぶメガロシャークを始めサメの魔物達の死体を次々とアイテムボックスへと入れた。


 オレがマッドシャークの回収に夢中になっているとタロウが叫んだ。


「アメリ!戻れ!」


 戻れと言われてもここは海の上だ。簡単に戻れるわけがない。


「ワープ!」


 サオリがオレを甲板の上に戻してくれた。オレが甲板に戻るのとほぼ同時に海面に大きな水柱が立った。


 現れたのは大きな海竜だ。これは鑑定しなくてもわかる。シードラゴンだ。




 ************************













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ