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第207話 敵出現



「昨日と打って変わって今日は釣れないわね。」


オレ達4人は早朝から昨日のポイントに船で繰り出した訳だが、サオリの言う通り釣れるどころか当たりすらなかった。


「これは来てますね。」


オレが言うと、タロウはしばらく考えてから言った。


「ああ。俺もそう思う。良し!みんな!戦闘準備だ!船長!錨を上げて!アメリ!竿をかたづけて!サオリ!後ろを監視して!俺は前を監視する!」


「「「おう!」」」


やっとタロウがリーダーらしくみんなを仕切った。


錨を上げても船は潮に流される事なくその場に留まっている。幽霊船ならではの自立走行だ。船の事はエイハブと仲間の幽霊船自身に任せてオレ達はシードラゴンの発見に集中する。


「あ!みんな!後ろを見て!」


後ろを警戒していたサオリが大声をあげた。


その声に振り返ると大小様々な魚が水面に向って飛び出してきた。


「船長!船をまわして!」


「おう!」


オレの指示にエイハブは舵を思いっきり右に回した。それに合わせて船もバックした。まるで車のバックスピンのように大きな船が180度向きを変えた。


「な!帆船の動きじゃねえ。」


タロウが目を見開いてビックリしている。かく言うオレもビックリした。まあ、そのおかげで海面の異常を正面にとらえる事ができた。


「来るぞ!みんな呪文の用意!」


タロウの指示でオレ達は魔法の呪文を唱えた。


大小様々な魚に続いて飛び出したのはなんと巨大なサメの魔物だった。この前苦戦したメガロシャークだ。この前の個体ほど大きくはないが強敵のメガロシャークには違いない。


「なんだ。メガロシャークかよ。」


巨大サメの魔物を鑑定したタロウががっかりしたように言った。


「いや!油断しないで!メガロシャークは強敵よ!この前も言ったけどオレとサオリで陸の上に上げてやっと勝てたんだから!」


「そうだった!メガロシャークは強いんだ!これはシードラゴン戦の前座としては相手にとって不足はないと言う事か!」


オレとタロウが話し合っている間にもこちらを認識したメガロシャークはどんどん向って来ていた。


「よし。十分に引き付けてから魔法攻撃だ!」


「「「おう!」」」


タロウの指示にオレ達は答えた。


「よし!この距離なら良いだろう!サンダガビーム!」


船との距離が20メートルを切った頃合いでまずタロウが魔法を撃った。


「「サンダガビーム!」」


オレとサオリも続けざまに撃った。ちなみにエイハブは船の操縦に専念しているので直接の戦闘には参加していない。


弱点の雷魔法のそれも最上級を三発も受けたらさすがのメガロシャークもただではすまない。腹を上にしてぷっかりと浮かび上がった。


「やったの?」


「いや。まだだ。気絶しているだけだ。でもチャンスだ。船長。船を近づけて。」


サオリの問いにオレはメガロシャークを鑑定して答えた。そしてエイハブに指令を出した。


「近づいて何をする気だ?」


「それはこれですよ。」


タロウの問いにオレはアイテムボックスから一本の銛を取り出して答えた。


船が気絶したメガロシャークに横付けしたと同時に、銛を思いっきりそのどってぱら目掛けて投げつけた。銛は見事にその腹に突き刺さった。


「念のため。」


そう言ってオレはもう一本銛を投げた。もちろん銛にはオレ様特製のロープが付いている。


「さすがアメリ。銛でメガロシャークのHPを削っていく作戦かい?」


「まあそう言うところですよ。」


タロウの問いにオレが答えるとそれに答えるかのように目を覚ましたメガロシャークが海中へと姿を消した。


「あ!やばい!海の中に逃げられた!」


「タロウさん!大丈夫!」


海の中に逃げられるのは経験済みだ。対策はしてある。


「みんな!ロープに気をつけて!」


銛に結ばれた2本の特性ロープが勢いよく海の中へと消えていった。


「そろそろショックが来るよ!みんな!船につかまって!」


オレがみんなに注意するやいなや大きな衝撃が船を襲った。船が傾き海に投げ出されそうになった。あらかじめ船の手すりにつかまっていたおかげで助かった。オレの注意のおかげで誰も海に投げ出されずに済んだ。さすがのメガロシャークも自分より大きな船は海中に引きずり込む事はできなかった。


「やった。メガロシャークを捕まえた。」


「タロウさん。安心するのはまだ早いですよ。」


オレが言った通り、下に潜るのが不可能と知ったメガロシャークは今度は横に走り始めた。


「引っ張れ!引っ張れ!その体力が尽きるまで引っ張れ!」


オレははやし立てた。


船が物凄いスピードで引っ張られたがエイハブの操舵テクニックと船自身の推進力で向きを変えれるので転覆の心配は無い。さらにメガロシャークの引く力に逆らって船を進ませているのでだんだんと引っ張られる事も無くなってきた。


すると今度は小刻みに船を引っ張り始めた。ロープを緩めたり引っ張ったりしているんだろう。ロープと言う物は瞬間的な力に弱い。サメのくせに中々頭が良いじゃないか。


「アメリ!」


「大丈夫ですよ!このロープにはメタルボールの体液をしっかりとしみ込ませてあるからそんな簡単には切れませんよ!」


オレはタロウを安心させるために説明した。


「いや!そうじゃなくて揺れがきつくて!」


タロウもサオリも真っ青な顔をしていた。船に酔ったんかい。


「しかたないな!もう少し遊んでもらおうと思ってたのに!じゃあ!タロウさんはもう一本のロープを掴んで!サオリはオレのロープを掴んで!」


「「おう!」」


二人はオレに言われた通りにロープを掴んだ。


「じゃあ!サンダガの呪文を唱えて!」


「「おう!」」


「じゃあ!いちにのさんでロープに電気を流してやりましょう!行くよ!いちにのさん!」


「「「サンダガ!」」」


再びメガロシャークは腹を上にして海面に浮かび上がった。


「やった!でも何でだ?」


「よろしい。謎解きをしてあげよう。先程言ったようにこのロープにはメタルボールの体液を染みこませてありますからね。超電導状態なんですよ。海の中に逃げても電気が通るほどにね。」


オレはタロウに得意げに説明していた。これがオレとしたことが油断に繋がった。気絶しているとは言えまだ死んではいない。メガロシャークから目を切ってはいけなかった。


突然の水の塊がオレを襲った。油断していたとは言えこれしきの攻撃でやられるようなオレではない。しかし甲板の上から海に落とされてしまった。


海の中にはいつの間にか集まったのかマッドシャークの大群がいた。マッドシャークはメガロシャーク程でないにせよ大きなサメの化け物だ。やばい。海の中ではさすがのオレでも分が悪い。襲い来るマッドシャークの牙をなんとかかわす。


「ワープ!」


突然現れたサオリがオレを掴むと船の上に戻してくれた。


「サオリ!サンキュー!」


「アメリ!油断禁物よ!」


オレが礼を言うとサオリは親指を立てて答えた。サオリ素敵。惚れちゃうぜ。


「魔法も持ってるのか。こいつは?」


「魔法って言うかドラゴンのブレスみたいに口の中から水を撃ってきてますね。」


「タロウさんもアメリものんびりと敵の分析してる場合じゃないでしょ!来るよ!」


またもやオレを狙って撃ってきやがった。しかし油断していた先程と違って今度はちゃんと見ていた。楽勝だ。オレは軽々と避けた。しかし水の球は一発ではなかった。なんと連発してきやがった。二発目を喰らってしまった。なんとか踏ん張って甲板の上にとどまった。そして伏せて三発目、四発目をかわした。


しかし今度はタロウが海に落ちてしまった。


「ワープ!」


再びサオリがワープを使いタロウを救った。


「ありがとう。サオリちゃん。でも、これはちょっとやばいね。」


タロウの言う通りだった。ものすごい数の水の塊が船を襲っていた。これでは船の上に立つことができない。それどころかこのままでは船自体が持たないだろう。




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