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第206話 のんびり釣りしてる場合?

 



「ほう。これはなかなか良い竿だね。」


「でしょう。武器屋に頼んで特注でわざわざ作ってもらいましたからね。このリールも武器屋の親父との共同制作なんですよ。さすがに投げるのは無理ですけど糸を巻くのはばっちりですよ。」


「ちょっと。タロウさんとアメリ。何のんびりと釣りなんか始めてるのよ。今からシードラゴンと一戦するんでしょ?」


「まあ。まあ。サオリさん。焦らないで。タロウさんはともかくオレ達はシードラゴンの事を何にも知らないでしょ。とりあえずは情報収集よ。」


「それで何で釣り?」


「そりゃ海の中の事は海の魚に聞くのが一番だからよ。あ!タロウさん引いてますよ。」


「おう!」


 タロウはおもいっきり竿をあおった。竿が大きくしなった。それを見ていたオレの竿にも当たりがきた。オレも竿を大きくあおって合わせた。


「タロウさん。オレにもきたみたいですよ。」


 このダブルヒットを皮切りに次から次へと釣れた。


「いやー。楽しいね。こんなにたくさん釣ったのは日本も含めて初めてだよ俺。」


「そうですね。タロウさん。ここは良い漁場ですね。シードラゴンを退治したらまた釣りに来ましょうよ。」


「ちょっと。二人とも大漁は良いけどシードラゴンはどうなったのよ?」


 オレとタロウが大漁に気を良くして笑っていると緊張感がないとサオリに叱られた。


「ちゃんと警戒してるよ。魚が釣れてるって事は海の中は安全って事だよ。シードラゴンが来たら魚だって食事どころじゃないでしょ?」


「あ。そう言う事か。」


「さすがのオレも海の中まで鑑定できないからね。こうしてお魚さん達に海の中を監視してもらってるってわけさ。海中から奇襲されて船をひっくり返されたらそれで一巻の終わりだからね。」


「じゃあ。魚が釣れ続ける限り安全て事だ。」


「まあ。そう言う事。サオリは船室で寝てたら良いよ。」


「うん。そうさせてもらうよ。」


 サオリは船室に引っ込んで行った。


 そんなこんなでオレとタロウは日が落ちるまで魚を釣り続けた。


「うーん。今日はシードラゴンさんは出ないみたいだね。夜寝てる所を襲われるのも嫌だし今夜はリームの村に泊めてもらうか。船長。そこのリーム村まで頼むよ。」


 タロウは竿をしまいながら浜辺の村を指さして言った。


「わかりました。サオリ。錨を上げて。」


「おう!」


 サオリが錨を上げると船は風も無いのにひとりでに動き出した。


 リーム村の港に入ると見知らぬ船を見て警戒した村人が近づいてきた。


「おめえ達は何者だ?」


「俺ですよ。タロウですよ。」


 タロウが代表で答えた。


「タロウ?おめえさん。生きてたんか。」


「嫌だな。そんな簡単に死なないですよ。それよりここに船を停めさせてもらいますよ。それと村長に会いたいんですけど。」


「わかった。そこの空いている所に停めてくれ。今村長を呼んでくる。」


 そう言うと村人は走りだして行った。




 *




「タロウさん。生きてたんですか?」


 村長と思われる年配者がさっきの村人と同じ事を言った。


「ええ。生きてますよ。シードラゴンをやるまでは死んでも死にきれませんよ。それよりも俺達4人なんですけど、今晩泊めてもらえないでしょうか?」


「魔物退治に来てくれたんだろう?もちろん大歓迎じゃ、と言いたいところなんじゃがのう。シードラゴンのせいで漁もできんからろくな御もてなしもできないんじゃがそれでも良ければ。」


「村が困ってるのは十分に承知していますよ。これはささやかながら陣中見舞いですよ。」


 そう言ってタロウは先程までオレと二人で釣った大量の魚を差し出した。


「おお。これは久しぶりに今夜はごちそうだ。ありがとう。タロウさん。おい。お前たち。さっそく料理に取り掛かってくれ。」


 村長はタロウに礼を言うと取り巻きの若い衆に命じた。


 そう言うわけでオレ達4人は暖かい寝床と新鮮な海の幸のごちそうにありつけた。




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