第200話 シーナ加入(仮)
「ちょっと待って。わたしは弟子を取れるほどの優れた人間じゃないわ。それにわたし自身がメアリーと言う人の弟子だし。」
「私もですよ。」
黒髪と私は弟子なんかとんでもないとお嬢様に伝えた。
「じゃあ。そのメアリーさんを紹介してよ。メアリー師匠に私も弟子入りするから。」
すると今度は鬼に弟子入りしたいとな。
「無理よ。メアリー師匠が住んでるのはセシルよ。セシルまで何日かかると思ってるの?」
そう言ってる本人はワープで一瞬で行くんだけど。
「それにシーナさんには学校があるでしょう。学校を休んでまで私達の真似事をするのはばかげてるわ。」
「わ、私も学校を休みたくないわ。だからそのビリビリだけをちょっとだけ教えて欲しいんだけど。」
「ビリビリをちょっとって私がこの魔法を習得するのにいったい何年かかったと思ってるんですか?」
魔法が字や歌を覚えるように簡単に習得できると思っているお嬢様にちょっとむかついた。
「よし。わかったわ。シーナ、あなたも美少女戦隊に入りなさい。」
そう言って黒髪はポンと手を打った。
「「え?」」
今度は私とお嬢様がハモった。
「わたし達の仲間になれば気兼ねなく魔法を教えてあげれるわ。それにわたし達の仲間になるからって別に冒険者になる必要はないわ。学生さんや商人の美少女戦隊がいても良いんじゃない。」
「まあ。別に良いですけど。美少女戦隊って冒険者パーティですよね。冒険者以外の人を入れて、シーナさんは何をするんですか?」
「そうよ。私は何をすればいいのよ?」
「別に何にも。」
「「何にも?」」
再び私とお嬢様はハモッた。
「何もしないと言っても今はね。でも将来的には働いてもらうよ。シーナが大商人になったら商人として美少女戦隊を支えてもらうわ。」
「ふーん。先行投資ってわけね。」
「まあそう言う事。わたしもアメリもただの冒険者で終わるつもりはないわ。アーリンあなただってそうでしょう?」
「わ、私はそんな事考えてもなかったです。」
「ばかね。アーリン。少しは将来の事を考えなさいよ。いつまでも危険な冒険者をしているわけにはいかないでしょ?恋もしたいし結婚もしたいでしょ?おばあちゃんにも楽させてあげたいでしょ?」
「は、はい。」
そうか黒髪と男女は冒険者引退後の事も考えていたんだ。かって私は生活のためにお金を稼ぐために冒険者をやっていて、その日その日を生き延びるのに精一杯でたしかに先の事まで考える余裕がなかったわ。でも今は黒髪や男女達頼もしい仲間がいるんだわ。死ぬ心配もお金の心配もなくなったわ。将来の事を少しは考えてみてもいいかもね。将来かー。やっぱり私も素敵な彼氏を見つけて恋をして結婚したいな。そして子供を作って・・・・・
「アーリン。何にやにやして赤い顔してんのよ。とにかく冒険者なんていつまでも続けられないわ。冒険者引退後に大事なのは冒険者以外の人とのつながりよ。だから冒険者じゃない仲間も必要ってわけ。」
「そう言う事なら喜んで仲間に入れてもらうわ。よろしくね。」
「私もシーナさんの参入に賛成です。でも私達だけで決めていいんですか?」
「ああ。それね。じゃあ今からボスのアメリを呼んでくるよ。」
「アメリって?キンリーにいるんでしょ?どうやって?」
何をバカな事を言ってるんだとお嬢様が聞いた。
「それは、ひ・み・つ。シーナが正式に仲間になったら教えてあげるよ。じゃあちょっと行ってくる。」
そう言うと黒髪はお店のドアを開けて外に出て行った。
しばらくして黒髪が男女と一緒に店に入ってきた。黒髪のチート能力であるワープを知っている私は別に驚きもしないがお嬢様は違った。
「アメリ?なんで?どうして?」
「久しぶり。シーナ。細かい事は後で説明するわ。それよりあなた達三姉妹になったんだって。オレも入れなさいよ。」
「ええ。もちろん私に異論はないわ。」
「やった。じゃあ今日は四姉妹で桃園の契りじゃなくて飯店の契りを交わそう。」
男女まで黒髪みたいな事を言い出した。四姉妹の契りも大切な事だけどそれよりも大事な事が今はあるだろう。
「あのう。シーナさんの美少女戦隊加入はオッケーなんですか?」
「あ。それね。三つの誓さえ守ってくれれば良いよ。」
「三つの誓って何ですか?私も知らないんですけど。」
「それはね。一つ、仲間を裏切らない。二つ、秘密は守る。三つ、オレの命令を聞く。だよ。」
「それって・・・・・・」
絶対に今考えたろ(笑)とにかくボスの男女は賛成みたいだ。よかった。
「どう?シーナ守れる?」
「もちろんよ。三つめは怪しいけど(笑)。」
「よし。今日からシーナも美少女戦隊だ。魔法を覚えたいんだって?ならオレが手取り足取り教えてやるよ。オレが教えれば誰かみたいに何年も何年も修行することなく簡単に覚えられるよ。」
ぐっ。それは私に対する当てつけか。でも確かに幽霊や犬女はあり得ないほど短期間で魔法をマスターしているので何も言い返せない。
「じゃあ。キンリーに戻って今からシーナの入団祝いと4姉妹の契りのパーティだ。久しぶりにオレが料理を作ろう。」
やった。久しぶりに男女の異世界料理が食べれる。私はごちそうを想像してもうお腹が鳴った。喜んでいる私に対してお嬢様はきょとんとしていた。
この後、お嬢様はおそらく人生で一番びっくりする体験をすることになるだろう。かっての私もそうだったから間違いない。
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