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第20話 リオVSホーンラビット

 美少女のリオはもじゃ1号だった。子供だと思ってたサオリですらもじゃ2号だった。

今日はもじゃ1号と2号を引き連れての初ダンジョン、頑張るぜ。

 翌朝早く、オレとサオリはリオのアパートを訪れた。リオはもう起きて準備していた。


「おはよう。リオ。朝ごはんは食べた?」


「え?ご飯は夜にしか食べないよ。」


 リオによると、この世界では王侯貴族でもない限り、三食とる人はいなく、リオのような貧乏庶民は一日一食が当たり前であった。もちろん、孤児院にいるサオリも同じである。


「うーん。朝ごはんは、一日のエネルギーのもとだから食べんとあかんよ。」


「あかんよって、ないものは食べられないわよ。」


「まあ、まかして。リオはお湯を沸かして。」


 オレはアイテムボックスから、前もって仕込んでおいた朝ごはんを取り出した。


「そ、それは何?」


「パンと卵焼きとソーセージよ。」


「いや。朝ごはんの内容じゃなくて、今、何もない所から、出したよね。」


 リオは腰も抜かさんばかりに驚いていた。魔法が当たり前のこの世界であるが、サオリのワープやオレのアイテムボックスのような空間魔法は見たことも聞いたこともないからである。


「あ、これね。これはサオリのワープと同様に、わたしだけのオリジナル魔法でアイテムボックスって言うの。もちろん、絶対に他言無用よ。」


「うん。他人には言わないけど。師匠の言った通り、アメリもやっぱり勇者なんだね。」


「勇者かどうかはともかく、冷めないうちに食べよ。リオはお茶淹れてよ。」


 オレ達はリオの部屋で朝食をとった。パンとおかずが出来立てで、ほかほかなのにも、リオは驚いていた。


 朝食後はダンジョンに出発である。


「いい。リオ。絶対にサオリの手を離したらだめよ。それから、ビックリすると思うけど、騒がないでね。」


「う、うん。」


「じゃあ。サオリ。ダンジョンの近くの人気のない所までお願い。」(日本語)


「ラジャ。」


 オレ達はサオリのワープでダンジョンの入り口近くに来た。


 リオは騒がなかった。なぜなら、ビックリしすぎて腰を抜かしていたからであった。


「大丈夫?リオ。」


「うん。わかっててもビックリしたよ。一瞬、目の前が暗くなったと思ったら、わたしの部屋がダンジョンの近くの空き地になってたもんね。」


「うん。部屋が空き地に変わったんじゃなくて、わたしたちが空き地に飛んできたんだけどね。」


「凄い。歩いたら30分はかかるのにあっという間だったね。サオリ様は凄すぎー。」


 オレはサオリに通訳してやった。


「お。リオもサオリ様の凄さがわかってきたな。いい子じゃ。よしよし。」(日本語)


 サオリはリオの頭を撫でた。


「ちょ。サオリは何て言ってんの?」


「リオはいい子だから、よしよししてんのよ。」


「なに、それ?」


「サオリはリオの事を好きになったって事よ。」


「何かよくわからんけど、わたしもサオリの事を好きだから、まあいいや。」


「え?わたしは?」


「もちろん。アメリもよ。アメリは?」


「もちろん。巨乳は好きよ。」


 オレの好きはLIKEよりもLOVEだけどね。


 こんな感じでうだうだやりながらダンジョンの入り口に着いた。


 掲示板に三人の名前を書き、門番に入場料を払っていよいよ入場だ。


 地下一階はリオに経験を積ませるために、オレとサオリは手を出さなかった。リオはスライム相手なら問題なく、長剣で切り伏せた。


 地下一階のボスのスライムロードもリオとサオリで魔法を使うこともなく倒せた。


 そして、いよいよ地下二階である。


「地下二階はホーンラビットってうさぎの魔物が出るわ。うさぎだと思って舐めない事ね。その角で突かれたら、下手したら即死もありうるわ。角をこちらに向けて飛びかかってくるから、注意して。

 基本的にわたしが真ん中で戦うからリオとサオリは左右で戦って。」


 歩きながら、オレは二人に注意事項を伝えた。もちろん、サオリには日本語で。


「わかったわ。」


「ラジャ。」


 二人の元気良い返事を聞いて、しばらく歩くと前方にホーンラビット三匹が現れた。


「ホーンラビット三匹よ。草むらには潜んでないわ。さっきの作戦で行くわよ。」


「わ、わかったわ。」


「ラジャ。」


 二人が答えた。


「うおおおおお。」


 オレが雄たけびを上げながら向かっていくと、三匹はばらけてオレ達三人にそれぞれ向かってきた。真ん中のホーンラビットが飛び込んできたのをオレは切り伏せた。


 向って左側のホーンラビットはサオリが突きさした。


 右のホーンラビットは倒れたリオに向ってとどめの体当たりをかまそうとしているところだった。


「危ない。」


 オレはリオの前に出て、ホーンラビットの体当たりを剣で受けた。うまく受け流すことができた。


 ホーンラビットは着地と同時にサオリの槍で突かれた。


「リオ。大丈夫?」


 オレがリオを抱き起すと。


「腰抜けたー。ちびりそー。でも、うまく避けたから、ケガしてないよ。」


 ギャーギャー騒ぎ出した。でも、騒げる元気があるということは、大丈夫だろう。恐怖で固まってしまって泣き出されなくて良かった。


「サオリに強化魔法をかけてもらってるから、さっきは死ぬとかおおげさに言ったけど、ホーンラビットの攻撃ぐらいじゃケガしないよ。それに、わたしもサオリも回復魔法をかけれるから死なない限り大丈夫よ。」


 オレはリオを安心させた。


「わかった。頑張る。」


「あと、ホーンラビットは最後に大ジャンプして角から突っ込んでくるから、その時が切るチャンスよ。動きの素早いホーンラビットも空中じゃ無防備だからね。」


「ありがとう。戦うコツまで教えてくれて。」


「仲間だから、当然よ。」


 次に現れたのはホーンラビットが二匹だった。


 向って左はサオリが受け持ち、右はリオが受け持ち、オレがフォローすることにした。


 ホーンラビットは例のごとくリオに大ジャンプしてきた。リオは今度はしりもちつくことなく長剣を横に払い、見事にホーンラビットを切り払った。


「何ー!」


 今度はオレが驚かされた。


「何、おおげさに驚いてんのよ?雑魚魔物を一匹倒したくらいで。」


「いや。サオリでさえ、最初は全然歯が立たなかったホーンラビットをもう倒したから。」


「攻撃パターンがわかれば簡単よ。アメリの言う通り空中じゃ無防備だからね。」


「え?でも、動きが速すぎて反応できないんじゃない?普通は。」


「それほど速いとは思わんけど。」


 そういえば、ホーンラビットの最初の攻撃もリオは避けているんだった。リオはホーンラビットの動きが見えるし反応できてるんだ。顔で選んだ美少女剣士だけど、こいつは思わぬ掘り出し物だった。


 オレはあわててリオを鑑定した。


 リオ 

 剣士

 レベル5

 HP i

 MP j

 スキル 長剣技


 いつの間にか剣士見習の見習がとれて、スキルに長剣技がついていた。


「アメリ。どうしたの?ボーとして。」


「いや。リオの上達が早すぎるなと思って。」


「いやあ。わたしだって勇者様に選ばれた人間よ。ただの美少女剣士のわけがないわよ。」


 自分で美少女とか言っちゃうんだ。この人。それになんか、こいつも調子に乗るタイプみたい。


 それにしても、上達が早すぎる。オレとサオリといれば上達が早いのか?これも女神さまの加護の一つか?


 などと、考えながら進んでいると、ダンジョンの壁(草むら)に潜む三匹のホーンラビットを発見した。


「止まって。壁の中に三匹いるわ。」


「え?どうしてわかるの?」


「わたしには鑑定って物の名前がわかる異能力があるの。サオリのワープみたいにね。


 それで、あっちの壁にホーンラビットの名前が三匹分出ているのよ。」


「え!凄い。さすが勇者様。で、どうするの?」


「わたしが壁からあぶりだすから、一人一匹の担当で倒そう。」


 サオリにも日本語で伝えた。


「了解。」


「ラジャ。」


 オレは石ころを拾うと三匹のホーンラビットの潜む草むらに投げた。はじかれたように三匹のホーンラビットが草むらから飛び出した。


 先頭のホーンラビットがオレに向ってきた。後ろの二匹は左右に分かれたから、リオとサオリに向かったと思われる。飛びかかってきたホーンラビットを切り伏せると、左右を見渡した。サオリはともかくリオまでホーンラビットを一刀両断にしていた。


「リオ。凄い。凄すぎる。」


 オレはリオに駆け寄った。


「どんなもんよ。もう、足手まといとは言わせないわよ。」


 ふんぞり返ってる態度がむかついたけど、ここはおだてておこう。


「リオこそ天才よ。さすがわたしが見込んだだけあるわ。」


 リオは褒めて伸びるタイプみたいだった。気をよくしたリオの快進撃でオレとサオリは一度も魔法を使うこともなくボス部屋まで来た。




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