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第191話 オークエンペラー

 


 オレはアメリ。美少女戦隊と言うチームのリーダーだ。美少女戦隊なんて自分で名乗っているちょっと痛い集団なんだけど、みんながかわいいいのは確かだぜ。なんせオレが選んで集めたからね。選考基準は剣の腕でも魔法の腕でもない、ズバリルックスさ。そんな顔だけの集団だから少々ポンコツなのさ。リーダーのオレがいないとまとまるものもまとまらない。そう言うわけで今回も、ダンジョンから帰ってくつろいでたのに、サオリの要請で時間外労働ってわけさ。いろいろ話を聞いてみると、今回の依頼はサオリ達チームBだけでは無理みたい。変な意地を張らずにオレ達チームAの救援を要請したのは賢明だと思う。そこは褒めてあげたい。


 百聞は一見に如かずだ。オレはサオリと一緒にオークの集落を偵察に行く事にした。アーリンも行きたいと言うので3人で行く事にした。


「じゃあ。アメリにアーリン。オークの集落の近くの森に飛ぶよ。しっかりつかまってて。」


 サオリのワープでオレ達3人は森の中に飛んだ。


「二人とも静かに伏せて。ここいらはもうオークの領域よ。」


「ああ。いたるところにいるね。」


 オレは鑑定でオークの存在を見つけながらサオリに答えたが、実際には肉眼でも何匹も見えた。


「奴らはどこに向っているんですか?」


「うん。この先にちょっとした広場があってそこに集結しているわ。」


 アーリンの問いにサオリは向こうを指さして答えた。


「と言う事は、今どんどん数が増えてるって事?」


「まあ、そう言う事ね。」


 サオリはオレの問いにお手上げだと言わんばかりのジェスチャーで答えた。


 これはやばいな。一刻も早く潰さんと。


「その広場はどうやって確認したの?」


「うん。あの大きな木の上から良く見えるよ。今から行くね。ワープ。」


 オレ達3人は大木の幹の上にワープしてすぐに葉の中に隠れた。なるほどここからはオークの集落が良く見えた。集落は粗末な小屋が何軒か建っているだけだがそれぞれの小屋の周りにはオークがひしめいていた。その数はゆうに百を超えていた。


「な、なんでこんなにオークが集まってるんですか?」


 アーリンが青ざめて尋ねた。


「うん。たぶん。オークキングが生まれたんじゃないかな。奴らは元々小さな集落を作る習性があるけど、キングが生まれるとそのもとに集まって大きな軍団を作る習性があるからね。」


 オレが答えるとアーリンはさらに尋ねる。


「その軍団の目的って何ですか?」


「もちろん人間社会への侵攻さ。だから少しでも早く潰す必要があるって事さ。」


 オレ達は顔を見合わせてごくりとつばを飲んだ。



 *********************************



「うん。まだ移動する気配は無いみたいね。」


 夜目の効くオレはオークの集落を見渡して言った。オレ達8人は今サオリのワープでオークの集落を見渡せる大木の上に来ていた。今晩は月もなく夜襲に好都合だった。


「それでどういう作戦でいくの?」


「そうねえ。数が多すぎるし燃やすのはどう?」


 リオの問いかけにオレは答えた。


「アメリ。お得意の火あぶり攻撃ね。」


「そう。火あぶりよ。奴ら外からの攻撃に備えて周りを柵で囲っているじゃない。入り口に見張りの兵を置いて。それで入り口からしか入れないじゃない。それは逆に言うとそこからしか出れないって事よ。」


「じゃあ。私達は入り口で待っていて。あぶりだされたオークをやっつければ良いのね。」


「さすが。リオ。察しが良いわね。」


「でも100匹以上が一気に出てきたら、私達8人で捌けますか?」


「アーリン。あんたにしては察しが悪いわね。あの狭い出入り口から一気に出れる?せいぜい二匹ずつよ。」


「あ!本当だ。さすがアメリさん。」


「うん。アーリン。もっと褒めて良いよ。あと、今真っ暗じゃない。そこに火の手があがるとどうなると思う?」


「え?わかりません。」


「ま昼のように明るくなるのよ。そうするとオークは暗闇に潜んでいるオレ達の姿が見えなくなるし、逆にオレ達はオークの姿がはっきりとわかるって事さ。」


「アメリさん。天才。それでどうやって火を着けるんですか?」


「うん。アーリンもやっとオレの頭の良さが分かって来たみたいね。オレとサオリでワープしながら油をまいてくるわ。」


「油ってあの臭いやつですね。」


「そう。オレのアイテムボックスに売るほど入れてあるからね。それを小屋とか柵とかに撒いて後は火魔法で火を着けるってわけさ。」


「それでパニックになって逃げだしてきたオーク達を待ち伏せていた私達がやっつけるんですね。魔法使って良いですか?」


「外におびき出すためにもオレ達の姿を隠すためにも外は燃えていないほうが良いわね。雷系の魔法も光るし魔法は使わないほうが良いんじゃないかな。今回は剣で斬りまくろう。」


「剣ですか。腕が鳴りますな。」


「私も。」


 剣と聞いてエイハブとリオが生き生きとしだした。


「火を着けるだけでなく中からも攻撃した方が効果的じゃないんでしょうか。中と外で挟み撃ちにして。」


「まあ、普通はそうだけど、中は修羅場よ。多くのオークと火に囲まれて。オレとサオリと一緒に命を懸ける人いる?」


 アーリンの提案にオレは特攻隊の志願者を募ったが誰も答えない。まあ仕方ないだろう。誰もが死にたくはない。


「言い出しっぺだし。私が行きます。」


 しかたなくアーリンが手をあげると、


「まあ、待ちな。こういうのは私の仕事だろ?」


 リオが手をあげた。カッコつけるなら最初から名乗り出れよ。


 結局のところ、オレとサオリとリオで中から攻撃することに決まった。


「じゃあ。まずはあの小屋の影にワープするわよ。アメリとリオ。準備は良い?」


「「おう!」」


 オレ達3人は集落の端の人気(オーク気)のない小屋の影にワープした。アーリン達残りの5人と一匹は入り口の近くに既にワープして潜んでいた。


 オレとリオで油をそこら中にぶちまけると、すかさずサオリのワープで木の上に戻った。


「どうやら気づかれなかったみたいね。」


「ねえ。アメリ。油をまくのはこれで終わり?」


「いや。リオ。気づかれるまでじゃんじゃんまくよ。さあ、サオリ。次行くよ。」


「オッケー!」


 こうやってオレ達3人はオークの集落と木の上を何往復もした。


「じゃあ。そろそろ火を着けるか。まずはオレがファイアーボールで火を着けるから、その後3人で突撃ね。」


「「おう!」」


 オレは大きな炎の塊をイメージして呪文を唱えた。


「ファイアーボール!」


 スピードはないがその分大きくなったファイアーボールだ。その大きな火の玉がゆっくりとオークの集落に向って飛んで行った。


「ワープ!」


 火の手があがると同時にオレ達3人は火のついてない所にワープした。


「オレとリオで斬りまくるから、サオリは火で攻撃して!」


「「おう!」」


 ワープで着地したと同時にオレとリオはオークを斬りまくった。オークなどオレ達にとっては赤子の手を捻るようなものだ。


「ファイアーボール!ファイアーボール!ファイアーボール!・・・・・・」


 サオリはファイアーボールを連発した。無詠唱で魔法を撃てるサオリならばでの技だ。


 突然の迷惑な来訪者に初めは向って来ていたオーク達も周りを火で囲まれてパニックになって逃げ始めた。こうなれば後は楽だ。後ろから魔法攻撃をするだけだ。


「よし!リオ!もう追わなくて良いよ!オレらも後ろからファイアーボールをかましてやろう!」


「おう!」


 こうしてオレ達3人のファイアーボール無双が始まった。


 オークの集団は出口をめがけて殺到した。その集団をめがけて後ろからファイアーボールを撃つだけである。どんどん数を減らしていると、群れの流れに逆らってこちらに向って来る一団があった。


「でかいね。アメリ。あれ何?オークキング?」


「いや。オークエンペラーだわ。初めて見た。オークキングの上位種よ。」


「二人とも何呑気に語ってるのよ。そろそろ逃げるよ。」


「いや。サオリ。最近強いのと戦ってないでしょ。ちょっと戦わせて。」


「私もアメリに同意。」


「もう。脳筋コンビはしかたないわね。火の手も迫ってるし危なくなったらすぐ逃げるからね。」


 オークエンペラーはオークロードを2匹従えていた。ちょうど3対3だ。炎の闘技場で3対3のバトルを楽しもうじゃないか。



 *******************************





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