第19話 もじゃ、もじゃ、つるつる
リオを交えての初めてのの稽古だったが、負けず嫌いのサオリのせいで、ワープ戦法まで使った異能力バトルになってしまった。
はたして、リオはこんなオレ達に付いてきてくれるか?
稽古の後はメアリー師匠がお茶を淹れてくれた。オレ達の土産のパンケーキを食べながらの女子会であった。
「ねえ。リオは今日の稽古はどうだった?」
メアリー師匠が聞いた。
「どうもこうも、凄すぎです。師匠に鍛えてもらったら、わたしもアメリやサオリみたいになれますか?」
リオが目を輝かせて答えた。
「いや。絶対に無理でしょう。この二人は特別だから。リオは勇者様って知ってる?」
「勇者様は知ってますけど、それが何か?」
「目の前の二人がそうよ。」
「えー!」
リオが大きな声をあげた。
「いや。違う。」
オレがあわてて否定すると。
「さっきのサオリの攻撃を見たでしょ。あれは目にもとまらぬ速さで動いているんじゃなくて、本当に瞬間移動しているのよ。あと、無詠唱の魔法といい、こんなことできるのは勇者様だけよ。」
「うそ。わたし、勇者様に仲間にしてもらったの。」
「わたし、魔王に何の恨みもないのよ。勇者じゃないから。」
オレは口をはさんだ。
「まあ、勇者はサオリだからね。」
「サオリもありませんよ。」
「勇者って自分で名乗るものじゃないでしょ。他の人が認めたら勇者よ。本人が否定しても。」
メアリー師匠が勇者論を言った。
「勇者って自分を犠牲にしてまでも、人族のために戦う人ですよね。わたしは人のためでなんか戦いませんよ。戦うのは自分のため、お金を得るためですよ。」
オレも勇者論で返すと。
「残念な勇者ね。」
がっかりしたようにメアリー師匠が言った。
「アメリは残念勇者。」
リオまでなんか言ってきた。
(アメリは残念勇者の称号を得た。)
って違う。オレは勇者なんかする気ないぞ。いつものメアリー師匠の勇者いじりをそろそろ終わらして、本題に入らないと。
「わたしたちの事はおいおい知ってもらうとして、リオ。あなたの事を話してよ。」
「そうね。普通は新参者が先に自己紹介するものね。」
メアリー師匠も賛同してくれた。
「えー。わたしですか?」
リオはとつとつと身の上話を始めた。それによると、リオは近くの村の娘で、町に住み込みで働きに来たが丁稚奉公が性に合わず、やめてしまい。冒険者の真似事をしながら、食いつないできたらしい。冒険者と言っても、薬草採集や町の何でも屋みたいな事をしてきたので、剣の腕も魔法もさっぱりだと言う事だった。ちなみに冒険者ランクは最近やっとEランクになったので、ダンジョンに潜り始めたらしい。わずかな蓄えは背中に担いだ長剣に使ったので、防具を買うお金もなかったらしい。
「あなた、仲間とかいなかったの?」
メアリー師匠が聞いた。
「わたしみたいな低ランクの冒険者は一人でもできる仕事をしていますから。それで、ダンジョンの浅い階層で腕を磨いて有名パーティにスカウトしてもらうのが夢だったんです。」
「じゃあ、夢がかなったじゃん。あなたたちのパーティは絶対に有名になるわよ。」
「それはそうなんですけど、わたしが足を引っ張るんじゃないかと。」
「大丈夫。わたしが勇者様のパーティメンバーにふさわしい実力にしてあげるから。」
「し、師匠。顔が怖いですよ。」
オレが突っ込むと、メアリー師匠は高笑いをした。
「メアリー師匠は王国一の師匠よ。師匠についていけば絶対に強くなれるわ。鬼より怖い師匠についてこられればだけど。」
「ちょっと、アメリ。それは誉めてるの?けなしてるの?」
「もちろん。両方です(笑)。」
「わたし、剣を買うのにお金をほとんど使ってしまって、その上、防具を買うためにアメリたちに借金までしてしまって、もう、後がありません。死ぬ気で頑張りますのでよろしくお願いします。」
あらためてリオが決意を述べた。
言質を取った。これで、逃げはしないだろうけど、一応念を押しとくか。
「メアリー師匠の稽古は、さっき、リオも経験した通り、気絶も当たり前の地獄の特訓よ。それでも、やる?」
「や、やるわ。」
ちょっと、躊躇があったがやってくれそうだ。サオリの強化魔法をかけてもらえば、気絶しないですむと思うが、今日はリオの決意を見るために、あえて強化魔法は使わなかったのは内緒である。
お茶の後は、夕食である。オレ達は、メアリーを手伝って夕食の下ごしらえをした。
オレとサオリが手際よく野菜の皮をむくのを見てリオが言った。
「アメリもサオリも料理が上手ね。わたしなんか全然だめだわ。」
「わたしは料理屋の看板娘だからね。サオリも最初はへただったんだけど、わたしへの対抗心からがんばってすぐに上達したのよ。」
「わたしも頑張る。」
「うん。料理は覚えて損はないわよ。」
四人で楽しい夕食をとった後、オレ達三人でリオの家で飲むことになった。リオの家は裏通りのボロアパートの一室だった。
「汚い。ボロアパートでごめんね。」
「しかも、何にもない部屋ね。失礼だけど。」
「うん。食べるだけで精いっぱいだから。」
「まあ、これから揃えて行こうよ。ダンジョンで稼いで。」
「うん。頑張る。」
部屋の隅にタライがあるのを見つけた。
「ねえ。体はあのタライで洗ってんの?」
「うん。外に水くみ場があるからそこで。」
「お湯はどうしてるの?」
「いや。水で。」
「えー!寒くないの?」
「寒いに決まってるでしょ。真冬でも外で水よ。悪い?」
「わ、わかった。お湯を出してあげるから、わたしとサオリも体を洗わせて。」
「そんなことができるの?」
「楽勝よ。あっという間に熱いお湯でみたしてあげるわよ。サオリがね。」
水くみ場の横に板で仕切ったスペースがあった。アパートの住人はここで体を洗っているとのことだった。そこにタライを持ち込んで、バケツで水を汲んでである。水をためるだけでも大変なうえに、寒くて困るだろう。
「ホットウオーター。」
サオリの掛け声とともに、あっという間にタライはお湯で満たされた。
「凄―い。なんて便利な魔法。さすがは勇者様ね。」
リオがビックリして言った。
「いや。これくらいの生活魔法は、勇者じゃなくてもできる人たくさんいると思うよ。わたしはできんけど。」
入る順番はじゃんけんで決めた。オレ、リオ、サオリの順で入る事になった。湯加減はサオリが水を足して調整してくれたから最高であった。肩までつかりたいものであった。
この世界でも石鹸はあり、それで頭と体を洗うとリオと交代した。
「わー。あったかーい。いい気持。アメリ。サオリありがとう。」
リオが感謝してくれた。
「どういたしまして。お背中流しましょうか?」
オレは仕切りの中に戻った。もちろん、リオの裸を見るためだ。思った通り、リオはいい体をしていた。しかも、あそこは立派な大人であった。
「いや。そんないいよー。一人で洗うから。」
「そんな、水臭い。女同士、裸でお付き合いしましょうよ。」
オレがリオの巨乳を洗うというか揉んでると。
「ちょっと、アメリ。あんた、何してるのよ?」
サオリが裸で中に入ってきた。
「え?リオの体を洗ってるんですけど。何か?」
「あんた男じゃない。」
「失礼ね。見た通り女の子よ。」
「都合の良い時だけ女になるのね。体を流すのはわたしの仕事よ。」
「ねえ。サオリは何て言ってるの?」
サオリの剣幕に驚いてリオが聞いてきた。
「わたしも混ぜてくれって。」
オレがリオに答えると。
「ごちゃごちゃ言ってないで、貸しなさい。」
オレの手からタオルを奪い取ってサオリを洗い始めた。
サオリもリオには負けるがなかなかの巨乳であった。もちろん、あそこは大人であった。
「サオリ。あんた、わたしに見られても平気なの?」
「全然平気よ。減るもんじゃないし。だいたいあんたみたいなお子様に見られても、平気よ。つるつるちゃん。」
「きー。悔しい。もじゃもじゃもじゃこのくせに。」
「もじゃもじゃで悪かったわね。つるつるつるこちゃん。」
「えーん。リオお姉さま。」
オレはリオに抱き付いた。
「ちょっと、アメリどうしたの?」
「サオリがわたしの事を子供だってバカにするの。」
オレの体をしみじみと眺めて。
「まあ。すぐに生えるよ。おっぱいも大きくなるよ。ドンマイ。」
く、悔しいので、サオリとリオの乳を同時に揉んでやった。三人が狭いタライでくんずほぐれつしたので、オレとリオはしりもちをついてしまい。もう一度体を洗うはめになった。ドンマイ。
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