第180話 オークキング
「どうやらボス部屋に到着したみたいね。さすがにボス相手に魔法の出し惜しみはまずいわね。魔法を解禁するよ。それでフォーメンションもわたしと船長の前衛、アーリンとセナの後衛に戻すわ。わたしと船長は剣で、アーリンとセナは魔法で攻撃して。もちろん状況に応じて臨機応変に攻撃方法を変えて。それじゃあ、決して無理しないように。命大事で頑張るよ!」
「「「おう!」」」
ボス部屋の前で黒髪が作戦を指示した。私達は手を重ねて気合を入れた。
ボス戦か。ボスはどんな奴だろう?当然魔法を使って来るだろうな。今度こそ、私の魔法の出番だ。相手のオークは風魔法を使って来るだろうから、火魔法は相性が悪いなあ。雷魔法で感電させてやるか。私が自分なりに作戦を考えていると、
「よし!じゃあ行くよ!」
サオリが先頭になってボス部屋へと入って行った。
私達は思わず目を見張った。なぜならボス部屋にいたオークの数が半端なかったからである。20いや30はいるか。前にもこんなことがあったけど、あの時はオークじゃなくてゴブリンだった。今度は手ごわいオークか。しかも魔法を使う奴もいるだろう。
「サオリさん!」
不安になった私は思わず黒髪の名前を呼んだ。
「これはちょっとまずいわね。正面からぶつかっても負けはしないだろうけど、手こずるのは間違いないね。よし!みんな!自分に強化魔法をかけて!アーリン!船長の分もよろしく!」
強化魔法?めっちゃ嫌な予感がするんですけど。嫌な予感をかかえながら私はあわてて骨と自分に防御と攻撃の強化魔法をかけた。
「みんな!準備はできたわね!わたしにつかまって!よし!行くよ!ワープ!」
嫌な予感は当たった。サオリにつかまった私達はオーク達のど真ん中にワープした。
突然自分達の目の前に現れた敵(私達)にオーク達は反応できずに固まっていた。
「船長はわたしとボスをやっつけて!アーリンとサオリは雑魚オークを始末して!」
手短に指示をすると黒髪は目の前にいるひときわ大きなオークに斬りかかっていった。簡単に言ってくれる。何匹オークがいると思っているんだ。こんな事もあろうかと思って前もって呪文を唱えておいて良かった。
「サンダー!」
魔法使いらしき装備のオークを狙って魔法を撃った。そのオークに向って雷が落ちた。周りのオークも倒れた。オーク達は一か所に集まっていたのが仇になってしまった。逆にオークの魔法使いは味方に当たる恐れがあるために魔法を撃てない。
「サンダガ!」
私に少し遅れて守銭奴も雷の上級魔法を撃った。私のをはるかにしのぐ威力の雷がオークの群れを蹴散らかした。相次ぐ落雷にオーク達はパニックに陥り逃げ惑う。後は簡単だ。こちらに向って来る数少ないオークを剣で斬り伏せながら、逃げ回るオークに魔法を当てるだけである。守銭奴と二人での魔法無双でオークの数をどんどん減らしていった。黒髪得意のワープ戦法であるが敵の不意を討つには最適だ。特に多人数の敵と対峙した時の特攻技として使える。さすがの私達美少女戦隊1軍でも30匹を超えるオークと真正面から戦えば無事ですまなかっただろう。
最後のオークに私がファイアーボールを当てたところでボス戦は終わったみたいだった。ボスのオークキングはすでに黒髪が首を刎ねてとどめをさしていたらしい。黒髪の話によるとオークキングごときは楽勝だと言う話だった。
「よしっ!みんな、怪我はしてないようね。そこら中に転がってる魔石とドロップ品を拾おう。わたしとセナは鞄を持っていないからアーリンと船長お願いね。」
黒髪の仕切りで私達は戦利品集めのうれしい作業を始めた。さすがにこれだけの数のオークだと落とす魔石もドロップ品の肉も大量だ。背中に背負ったリュックがいっぱいになった。
「大方拾ったみたいね。じゃあ階段を下りますか。」
黒髪に続いて私達は階段を下りた。11階に下りるとすぐに黒髪のワープで男女達2軍の待つ6階に来た。
「10階はどうだった?」
「うん。魔法を使うオークが出てきたけど、魔法を使っても所詮はオークね。楽勝よ。」
男女の問いに黒髪は楽勝だと答えた。
「アーリンと船長はどうだった?」
「うん。大丈夫。誰かさん達より役に立つよ。」
「そう。それは良かった、って良くないわい。ま、まあオレとリオの実力者コンビの力はまだ必要じゃないみたいね。」
「そうね。あんた達は子犬と遊んでいなさい。」
「遊ぶって何よ。オレはねえ、リーダとしてエイミーとマームの指導をね。」
「はい。はい。わかった。わかった。それで二人の実力はどうなのよ?」
「うーん。そうね。しばらくはオーク相手に腕を磨いた方が良さそうね。無理して先に進んで怪我したらつまらんし。」
「そうしたら明日も5階からスタートで良いのね?」
「あっ。私は明日は1軍に戻りたいかな。オークばっかり相手にするのも飽きたし。何より雑魚相手じゃ暴れたりないわ。」
脳筋が1軍復帰を願い出てきた。と、言う事は私か骨のどちらかが2軍に出戻りじゃないか。私が危惧していると、
「じゃあ。わたしと交代しよう。」
黒髪が自ら2軍降格を名乗り出た。て、言うかこうなったら降格とかじゃなくて1軍2軍間のローテーションじゃないの。まあ、良いけどさ。
男女と黒髪の両方がいないのはちょっと不安だけど、明日も頑張るぞ。
******************************




