第174話 きも部屋
その部屋は大きな大きな部屋だった。そして大きな部屋いっぱいにゴブリの群れがいた。何匹いるんだろうか。数え切れないが、30は間違いなくいる。そしてゴブリンの群れの中心には何匹かのオークが固まっていた。そのオークの中でも一際大きいオーク。あれがボスか。それにしてもキモイ。オークはともかくゴブリンは単独でもキモイのに、それが何匹いるんだ。私でなくても女の子なら絶叫してしまうだろう。案の定、犬使と子犬が絶叫して吠えている。ちょっとうるさい。
「エイミー!ロボ!ちょっと静かにして!まず、私とマームさんで魔法をぶっ放して雑魚を減らすから、船長とエイミーは前に出て向って来るゴブリンから私達を守って!」
私の指示に呼応するかのように、向こうもボスが一声吠えた。するとゴブリンの群れが一斉にこちらに向って来た。
「ギャー!ファイアーボール!」
「ファイアー!うわー!」
半分パニックになった幽霊と私の炎攻撃がゴブリンの群れを迎撃した。炎の球と炎の壁がゴブリンの数を減らすだけでなく、その突進を止めた。
「ファイアーボール!」
前衛の骨まで魔法を撃った。後は私達も声をからして魔法を撃ち続けた。
気が付いた時にはあれだけいたゴブリンが5~6匹にまで減っていた。他は3匹のオークとボスのオークキングだけである。
「よし!今だ!ボスに切り込むよ!」
「「おう!」」
私の命令と同時に二組の前衛組は走り出した。
「ファイアーボール!」
私は援護のファイアーボールをボスのオークキングに撃ち込んだ。私のファイアーボールごときでボスを倒せるとは思っていない。ボスの注意をそらせれば良いのだ。私のファイアーボールで顔をかばったオークキングに真っ先に飛びついたのは子犬だった。腕に噛みついた子犬を振りほどこうとしたオークキングに達人の剣が襲い掛かった。達人の骨がオークキングの首を落とすと、ようやく追いついた犬使が怯んだオークの一匹に斬りかかった。オークが反撃に出ようとする前に主人のピンチに駆けつけた子犬が首筋に噛みついてとどめをさした。ボスを失った兵は烏合の集と言っても良い。残りのオークは骨と犬使コンビの前衛組が蹴散らし、ゴブリンの残党は私と幽霊の後衛組が魔法で駆逐した。
「やったね。船長とロボのコンビネーションも良いじゃない。」
私が一人?と一匹を褒めていると大きな魔石とともに地下に抜ける階段が現れた。ドロップ品をかき集めて、背負った鞄に詰めた私達は階段を下りた。
階段下には男女達1軍が待っていた。
「ゴブリンがいっぱいいたでしょう。大丈夫だった?」
「たくさん固まっていたおかげで、魔法が当てやすいからかえってやりやすかったですよ。」
男女が心配して聞いてきたが、実際にきもいだけでそんなに手こずりはしなかった。
「じゃあ、帰ろうか?」
私達2軍の無事を確認した黒髪のワープで美少女戦隊は帰路に就いた。
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