第170話 告白
「昨日、私がいないときに何があったの?宿の女将さんに思いっきり小言を言われたんだけど。」
私達(美少女戦隊)の泊る部屋に早朝から出勤してきた村娘が私に聞いてきた。
「ああ。毎度の事だけど。お風呂で羽目を外し過ぎて宿の人にきついお小言をいただいたんだよ。」
「その割にはうれしそうな顔してるじゃない。まるでなにか良い事があったみたいな。」
「お小言たってアメリさんが言付けを払う事で解決したしね。それより、エイミーは男の人のあそこを見たことある?」
「あそこっておちんちんの事?弟のなら見たことあるけど。」
「私、昨晩ついに見ちゃった。」
「え!それ本当?詳しく話して。」
ぐいぐい食いついてきた村娘に私は昨晩の事を話した。この世には男と女しかいない。なんだかんだ気取ってみても、異性の事が気になる。特に思春期の私達は。
「そ、それでどうだったの?」
「うん。凄いの。股間にオーガがいたわ。」
「オーガ?」
「うん。あんたの弟のそれがゴブリンだとしたら船長のはオーガよ。」
私は村娘の弟のそれを見たこともないのに言った。
「それって大きいって事?」
「大きさもあるけど、狂暴さが違うって事よ。オーガの子供を見てゴブリンと間違う人はいないでしょ。」
「狂暴さって?」
「凄い大きくてグロテスクなのが立ってるの。これ以上は私の口からは言えないわ。」
言ってて私は恥ずかしくなって真っ赤になってしまった。
「えー。立つって?」
「私もアメリさんから聞いて初めて知ったんだけど、男の人は興奮するとあそこが立つんだって。」
「そ、そうなの。」
村娘も真っ赤になってしまった。
村娘と食堂に行くと、男女が最上級の謝罪である土下座をしていた。誰にかってもちろん骨に対してである。
「いくらわしの主人だからって、あれはないんじゃないですか?」
「すまん。まさか。臨戦態勢とは。思わなかったんだ。」
「わしだって今更女の裸を見ていちいち興奮しないですよ。でもね。好きな子に全裸で迫られたら別ですよ。」
「え!?」
「ええ。そうですよ。わしはアメリさんの従魔になった時から身も心もささげてるんですよ。惚れるのは当たり前ですよ。」
骨の思わぬ告白を聞いた男女は真っ赤になって固まっていた。私も他人事ながら顔が真っ赤になった。
「ごめんなさい。オレは自分でも男が好きなのか女が好きなのかわからないんだ。それに船長の事はそんな色恋の対象として見れないよ。」
「ああ。別に良いですよ。わしが勝手に惚れてるだけですから。それに魔物が人間に惚れるって言うのもおかしいですしね。」
骨が弱々しく言った。
「いや。おかしくないよ。おかしいのはオレだよ。女なのか男なのかはっきりしない。」
とんだ告白劇を目撃した私と村娘は二人に気づかれないようにそっと食堂を出た。
「「おはよう」」
後から来た脳筋と黒髪にビックリしたが、挨拶を返すと一緒に食堂に入った。
「おはよう!みんな!元気!」
男女と骨は何もなかったかのように元気な挨拶をみんなにしてきた。
「おはようございます!」
私も何も見なかった事にして明るい挨拶を返した。このことは誰にも言ってはいけないような気がした。ああ。村娘にも後で口止めしとかなくっちゃ。
「みんな。ご飯は食ったね。じゃあ、ダンジョンに行こうか?」
「あ。その前に昨日の事について何かないの?」
出発しようとした男女に脳筋が足止めした。
「あー。その事か。みんな。すまん。ちょっと羽目を外し過ぎた。これからはやっぱり船長とは別々に入浴するよ。」
「謝る相手が違うんじゃないの?」
男女の謝罪に脳筋は骨に謝れと言った。
「アメリさんには既に土下座してもらいましたから、わしの方はもう良いですよ。それにわしもみなさんの裸が見れたから、ヒフティヒフティですよ。」
アメリの謝罪を遮って骨がもう済んだことだと言った。そういうわけでサオリのワープでダンジョンへの出発であるが、骨に手を握られた脳筋も黒髪も顔を真っ赤にしていたのを私は見逃さなかった。
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