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第158話 幽霊(マーム)の必殺技

 


 黒髪サオリのワープで私達美少女戦隊2軍は昨日幽霊マームの落ちた穴の所まで送ってもらった。本当に黒髪サオリのワープは便利だ。普通なら泊りがけで臨むダンジョン攻略が家から日帰りでできる。その分荷物も減らせるし、魔物との無駄な戦いも減らせる。黒髪サオリに感謝しつつ気合を入れないと。


「昨日は調子に乗り過ぎて失敗したから、今日は慎重に行きましょう。布切れもアメリさんからたくさんもらっていますから、引き続き私が結んでいきます。霧で見通しが悪いから、基本的に魔法はなしで、剣で戦いましょう。あ、私はサンダーソードを使いますけど。」


「ワシは元々剣が専門だからそれでいいですよ。」


「魔法が使えないとなると私のへっぴり腰の剣で大丈夫かしら?」


 自信満々のエイハブに対して幽霊マームの方は弱気だ。


「私の剣もへっぴり腰ですよ。へっぴり腰同志二人で頑張りましょう。船長エイハブの取りこぼしを二人で斬りましょう。」


 幽霊マームを励ましてから出発だ。先頭はエイハブ、二番目はアーリン、しんがりは幽霊マームの布陣だ。周りは相変わらずの霧で最悪の視界だ。敵の気配を探りながらエイハブが慎重に進む。


「何かいます!」


 エイハブの警告で私達は歩みを止めて剣を抜いた。


「「ブギィー!」」


 雄たけびと共に二匹のビッグボアが霧の中から飛び出した。二匹のうちの一匹がアーリンに向って来た。斬りつけたがやっぱりまるで歯が立たない。アーリンはあわてて詠唱を始める。


「サンダーソード!」


 アーリンは自分の剣に電気を流してそれで斬りつけた。ビッグボアが魔法に弱いのはわかっている。ビッグボアはアーリンのへっぽこ剣でも仕留められた。もう一匹はエイハブが斬り伏せた。脳筋リオの十八番のサンダーソードのパクリ技であるが魔法に弱いビッグボアには効果てきめんである。


「すごーい。さすがアーリン。へっぴり腰って言ってたくせに凄い剣技じゃないの。」


「いや。マームさん。私の剣が凄いんじゃなくて、ビッグボアが魔法に弱いだけですよ。」


 私が謙遜して言うと、


「そうね。ビッグボアは確かに魔法に弱いわね。そんな魔物をへっぽこ剣で相手をするのは無理があるわね。やっぱり私も魔法を撃つわ。」


 昨日の反省をしていないのかこの幽霊は。ファイアーボールを視界の悪い中で撃とうとして人間に撃ちそうになったのを。


「え!昨日は人に撃ちそうになったんじゃ?悪視界の中で魔法を使うのは・・・」


「それは大丈夫。昨日アメリさんと特訓したから。」


 男女アメリの名前を出されたら従うしかないな。


「わかりました。任せます。」


 お手並み拝見と行こうじゃないの。


「よし。じゃあ私が二番目にまわるね。」


 幽霊マームは自信満々だけど、これって昨日と同じパターン?なんか悪い予感がするんですけど。


 そうこうしてるうちに、またエイハブが魔物を発見した。またもや二匹のビッグボアでそのうちの一匹が幽霊マームめがけて突っ込んできた。幽霊マームは微動だにしない。危ない。そう思った私は助太刀に行こうとした。その時、


「ファイアーボール!ゼロ式!」


 至近距離からのファイアーボールがビッグボアに炸裂した。


「そして突きー!」


 なんととどめの突きまで繰り出された。これって男女アメリの必殺技のファイアー突きじゃないの。しかも至近距離まで引き付けてるからこの深い霧の中でも誤爆する危険性も外す危険性もない。凄い。男女アメリが考えたとは思うけど、ここは素直に幽霊マームを褒めよう。


「すごーい。マームさんの必殺技の完成ですね。」


「いや。考えたのはアメリさんなんだけど。」


「いやいや。実行しているのはマームさんですから。マームさんの技ですよ。それにしても素晴らしい。至近距離まで引き付ければ誤爆も外す事もないからここでも魔法が使えますよ。さらにダメ押しの突きまでセットだなんて最高です。」


「そう。ありがとう。」


 さっきまで自信がなくて暗い顔していた幽霊マームが自信を取り戻して生き生きしだした。剣も魔法もいまいちの幽霊マームにたった一つの技を教えて、ここまでやる気を出させるなんて男女アメリのリーダーとしての手腕は恐るべきものだ。私も見習わないと。


 幽霊マームの快進撃は幽霊マームのMPが尽きるまで続いた。魔法のレベルが低い初心者冒険者だからすぐにMPが尽きるのは仕方ない。だけど、自分の力でこんな凶悪な魔物を何匹も倒せたのはすごい自信につながるだろう。


 幽霊マームのMPが尽きた時点で今日は引き返す事にする。私のMPはまだまだ余裕があるし、エイハブに至ってはそもそも魔法を一切使ってないから余裕もへったくれもないんですけど、昨日の教訓を生かして今日は無理をせずに引き返す。


 そして、今度は私のターンだ。幽霊マームに遠慮して使ってなかったサンダーソードを全開だ。次々に現れるビッグボアを快調に斬り倒して待ち合わせ場所である落とし穴に向った。私達の背負った鞄はビッグボアのドロップ品の毛皮や肉に魔石でパンパンだった。エイハブ幽霊マームもニコニコだった。もちろん私もであった。


 お迎えのサオリのワープで家に帰った。家で昼食を摂ったら自主練だ。今日の私の自主練の課題はもう決まっている。幽霊マームができるのに私ができないなんてことがあろうか。いや。ない。ファイアー突きをマスターして一日でも早く男女アメリ達一軍に追いつくんだ。頑張るぞー。







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