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第148話 ダンジョンアリゲーター

 


「リオ!気をつけて!」


 オレが先頭のリオに警告を発するとほぼ同時にそいつらは現れた。ダンジョンアリゲーターか。まんま大きなワニやんけ。


「ド、ドラゴン!」


 リオが慌ててそう叫んだ。いや、違うから。親戚なのかもしれんけど。おそらくリオは冒険者ギルドで見た絵に似ているからそう言ってるんだろう。


「いや、違うって!ワニだよ!」


 慌てているリオを落ち着かせた。そしてオレ達は一斉に剣を抜いた。湿原から現れた二匹のダンジョンアリゲーターはその大口を開けて威嚇をしながらゆっくりと道の上に上がって来た。


「なんだか、動きが鈍いね。そんな動きじゃリオ様の敵じゃないよ。」


「いや、リオ。だまされないで。こいつらはいざと言う時の瞬発力が凄いから。」


 オレは昔テレビで観て知っている。ワニの瞬発力を。


「じゃあ、オレとリオで斬りつけるから、サオリとセナはフォローして!行くよ!」


「「「おう!」」」


 オレとリオは目の前で大口を開けて威嚇しているダンジョンアリゲーターにそれぞれ斬りかかるべくじりじりと距離を詰めた。あともう少しでオレとリオの剣の間合いに入ると言う所で、二匹のダンジョンアリゲーターは凄いスピードでオレとリオに突進してきた。


 オレは思わず、ジャンプしてそれをかわした。オレの後ろにいたサオリが上段から斬りつけた。うまい。しかし、思った以上にダンジョンアリゲーターの皮膚は硬かった。


「アメリ!剣がはじかれるわ!」


 ダンジョンアリゲーターから距離を取ったサオリが叫んだ。


「さすが、ワニってところね。じゃあ、やっぱりこれね。サンダー斬り!」


 オレは剣にサンダーを流して斬った。その凄い物理耐性に比べて魔法耐性は低いようで一発で光の球になった。後にはダンジョンアリゲーターの皮がドロップしていた。


 すかさず、リオ達の助太刀にまわった。リオとセナもダンジョンアリゲーターの硬さに手こずっていた。


「リオ!離れて!サンダービーム!」


 サオリが無詠唱の魔法でとどめをさした。こちらのドロップ品はダンジョンアリゲーターの肉だった。


「こいつらは剣にはめっぽう強いけど、魔法にはてんで弱いみたいよ。もちろん、水の属性の魔物だからサンダー関係にね。」


 オレはドロップ品のダンジョンアリゲーターの皮を見せながらみんなに説明した。


「こんな硬い皮じゃ私の剣も通らないわけだ。」


「うん。リオでも斬れないなんてこいつは強敵よ。それにあの牙攻撃。もし魔法を使えなかったら全滅してたかも。」


 ダンジョンアリゲーターの皮をいじりながらリオとセナが言った。たしかに魔法も使えない低ランクパーティなら一発で全滅だっただろう。門番が立っていた意味が改めて実感できた。


「ところでさっきの魔物ってドラゴンの子供じゃないの?私が冒険者ギルドで見せてもらった絵にそっくりだったんだけど。」


 やっぱり、リオはドラゴンの絵を見てたのか。ドラゴンってたしかワニやトカゲを参考にした想像上の魔物。じゃあ、あながち間違いでもないんだ。


「うん。ワニって見たことないか。あれはオレとサオリのいた世界にいたワニそっくりなんだけど。」


「え?あんなのがいたなんてアメリ達の世界も結構物騒だったんだね。」


「いや。どこにでもいたわけじゃないんだけど。ドラゴンもワニをもとに作られた想像上の魔物だから。もしかしたら近い種類かもしれないね。まあ、詳しくは冒険者ギルドで聞けばいいよ。」


「なんだかよく分からないけど。私の得意なサンダーソードの出番ってわけね。」


「いや。それも。反撃を受けるかもしれないリスクを考えると、サンダーかサンダービームで攻撃した方が良いんじゃない。動きが遅いから当てやすいし。」


 得意なサンダーソードを使うなと言われてリオはしょぼんとした。


「リオの剣が必要な時もじきに来るよ。今回はサオリとセナの後衛組に頑張ってもらおうよ。オレ達は魔力の温存ね。」


「お。おう。」


 オレがフォローするとリオは渋々従った。


 しばらく歩くとオレは魔物の存在を再び感知した。


「リオ!止まって!セナ!二匹いるから道に上がったら魔法を撃って!」


 オレはリオとセナにそれぞれ指示した。


「え?今撃ったらだめ?」


 セナが聞いてきた。


「今撃ったらドロップ品をぬかるみの中に取りに行かないとだめでしょ。道の上に上げてしまえば、簡単に拾えるじゃん。」


「さすが。アメリ。あったま良い。」


 リオが感心していた。脳筋に感心されてもな。戦闘は何手も先を読まないと。もちろん戦闘後の事も読んで行かないとね。


 そんなやり取りをしていると、先頭のリオを二匹のダンジョンアリゲーターが襲って来た。


「サンダー!」


 セナの魔法がリオごと二匹のダンジョンアリゲーターを襲った。ダンジョンアリゲーター達は光の球になって消えた。ダンジョンアリゲーターが消えた後には肉の塊が残されていた。


「やったー。」


「ちょっとお、やったーじゃないわよ。」


 魔法を撃たれたリオがセナに文句を言った。


「リオ。あんた。電撃は私には効かないと言ってたじゃない。」


「確かにサンダーは私には効かないわ。だからと言って痛くないわけじゃないのよ。」


 そう言ってリオはセナに抱き付いた。


「ギャー!」


 セナは悲鳴をあげた。そう。リオはセナから受けた電撃を体にため込んでいてセナにお返ししたのであった。


「ちょっと何遊んでいるのよ。」


「遊んでないもん。」


 サオリの苦言に涙目のセナが抗議をしていた。まあ、リオ達のやりとりはともかくオレ達は順調に進んでいた。木でできた道は今の所一本道で迷う心配もない。ダンジョンアリゲーターを10数匹倒した所で、約束の時間よりもまだまだ早いが戻る事にした。


「サオリ。ワープはできるかな?」


「わからないけど、やってみるわ。みんなつかまって。」


 オレ達が早く戻るわけはワープポイントを使わなくても、サオリのワープでタイタンの町へ戻れるか実験したかったからだ。もし、駄目だった時の事を考えて、早めに戻る事にしたのだ。


「ワープ!」


 オレ達は湿原から町の片隅に出た。どうやら、心配なくサオリのワープは使えるみたいだった。ワープポイント以外はワープできないと言う事はないみたいだ。オレ達は待ち合わせ場所の冒険者ギルドの出張所でアーリン達の帰還を待った。テーブルに着いて飲み物を飲んで待ったが、約束の時間をとうに過ぎてもアーリン達は帰って来なかった。


「遅いわね。」


 リオがイライラして言った。確かにちょっと遅いな。


「まさかとは思うけど、心配だから見に行くか?」


「そうね。このままここで待ってるのも時間の無駄だし、なにより退屈だわ。アーリン達が困ってたらかわいそうだから助けに行こう。」


 オレがアーリン達の身を案じて捜査に行こうと提案すると、リオが賛成した。


「他のみんなはどうする?」


「初めてのダンジョンだから、何かアクシデントがあったかもしれないわね。わたしも行くわ。」


「私も行く。」


 サオリとセナも賛同した。オレ達は行き違いになったら困るので、冒険者ギルドの職員に言付けを頼んで霧の草原に向った。




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