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第146話 迷いの森

 


 そのワープポイントは井戸のような掘った穴の中にあり、有事にはすぐ蓋をして締められるようになっていた。そして本当にキンリーの街中にあった。稲妻のメンバーは門番の兵士に挨拶すると順番に穴の中に降りて行った。オレ達美少女戦隊も後に続いて穴の中に入った。


 穴の底に青白く光る場所があった。光っているその場所こそがワープポイントだと言う事で、シオン達稲妻のメンバーは一人ずつその場所の上に立った。するとその姿はサオリがワープで瞬間移動するときと同じような感じでかき消えた。稲妻のメンバーで最後に残ったシオンがワープポイントについて説明する。


「みんな、びっくりして声も出ないって所みたいね。私達がしたみたいに光っている所に乗るだけで遠く離れた迷いの森の中に行けるから。遠い所に一瞬で行けるだけで何も怖い事ないよ。じゃあ、先に行くから後からついてきてね。」


 そう言うとシオンもワープして消えた。


「サオリのワープが誰でもできるって凄いね。でもサオリのワープと違って一人ずつしかできないみたいね。あと、あまりビックリしないとは思うけど、わざとビックリして。初めてワープした時の事を思い出して。これはもちろんサオリの能力を隠すためよ。特にリオ、わかったね。」


 オレはみんなにわざと驚くように言った。そして馬鹿正直なリオに釘を刺しておくのも忘れなかった。


「じゃあ、オレから行くよ。」


 オレは青白く光っている場所に乗った。サオリがワープするときと同じ感覚が襲ってきた。目の前が一瞬暗くなったと思うとすぐに新しい景色が目に映った。


「うわー!」


 オレは驚きの声をあげた。どうだオレの名演技は、稲妻のメンバーは誰も不自然には思わないだろう。ワープしたことで腰も抜かさんばかり驚いていると思うだろう。


「ぎゃー!」


 その後はわざとらしく大騒ぎしてオレ達美少女戦隊のメンバーが一人ずつ現れた。こ、こいつらは、自然な演技ってものがわからないのか。シオン達は絶対に違和感を持ったに違いない。


「これで全員ワープしたみたいね。お、思った以上にビックリしたみたいね。そんなに驚いてたらこの先にもいくつもワープポイントがあるから体がもたないよ。早くなれる事ね。じゃあ、行こうか。」


 案の定、リオ達の迷演技に違和感を持ったようだが、深くは突っ込まれなかった。オレ達が現れた場所は穴から出るとキンリーと変わらないような町の中だった。


「ここは?」


「ああ、ここはダンジョン迷いの森の中に作られた町、タイタンさ。」


 オレがどこに出たのか尋ねると、シオンがとんでもない事をさらりと言った。ダンジョンの中に町だと。


「え?この町はダンジョンの中にあるんですか?」


「うん。城壁の外は全部ダンジョンだよ。ここには他にもワープポイントがいっぱいあって、それを監視する人の家や、魔物や敵が城壁の中に入ってこないように守る兵士の家、冒険者相手に商売する店なんかが集まっていつの間にか町になっちゃったみたいよ。」


 いつのまにか町になったって、キンリーのダンジョンの凄さに度肝を抜かれた。ワープポイントは魔物とかの敵にとってもキンリーの中に侵入するのに便利な場所だ。それを守るために兵士を多く派遣するのは普通だ。でも、その兵士たちの家で町ができたって。迷いの森のスケールのデカさにオレはビックリした。


 オレ達はシオン達の案内でまずは冒険者ギルドの出張所で地図を二枚買った。一枚はオレとリオ達美少女戦隊一軍用、もう一枚はアーリン達の二軍用だ。それによるとワープポイントは他にもいくつもある事がわかった。そして、一つのワープポイントは一つのフィールドと繋がっている事がわかった。つまり、ワープポイントを通るしかそれぞれのフィールドに行けないと言う事だった。ワープポイントを通らずに無理に行こうとすると、ダンジョンの名前の通り必ず道に迷うと言う事だった。


 そして、町の城壁の外は初心者用のフィールドの霧の草原が広がっていると地図には書かれていた。オレはアーリン達二軍に無理をしない事と帰る時間を良く言い聞かせて、出発を見送った。アーリン達が出て行った門の外は名前の通り霧がかかっていて良く見渡せなかった。文字通り前途多難な出発だがなんとか頑張ってほしい。


 シオン達の案内で一つのワープポイントまで来た。シオンの説明によると、アーリン達が行った初心者フィールドに次いで簡単なフィールドだと言う事だった。簡単だがオレ達A級冒険者の依頼書に書いてあった魔物は出ると言う事だった。シオン達稲妻はそこのフィールドは大方攻略しているので、もっと先のフィールドに向うと言う事だった。その事はいろいろとチート能力を詮索されたくないオレ達にとっては好都合だった。


 オレ達はシオン達稲妻のメンバーに礼を言うと、門番の兵に冒険者プレートを見せて中に入った。なんでもシオンの話によると、門番がいるのは魔物がワープポイントを通って出てくるのを防ぐためもあるが、D級以下の冒険者がフィールドに入って全滅するのを防ぐためでもあるそうだ。霧の草原はアーリン達のようなEランクの冒険者達でも行けるから、このタイタンにはそういった低ランクの冒険者も多く集まると言う事だ。


 ともあれ、そこのワープポイントを通ってオレ達4人は新たなフィールドに到着した。そこは霧の草原と同じく草原だった。違うのはただの草原でなく湿地帯だと言う事だった。湿地帯は背丈の高い草で覆われ、しかも地面がぬかるんでいる事も考えると、道に沿って歩くしかないように思われた。


 道は今の所一本道でそれに沿って歩いていると、さっそくオレの鑑定に反応があった。


「リオ!右前方の草むらに二匹いるよ。気をつけて!」


 オレは先頭のリオに注意を促した。



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