第144話 アーリン気をつけて
私は美少女戦隊2軍のエース、アーリンさんよ。私は今日の、男女の作った料理に驚いちゃった。小麦粉を練って焼いたものらしいけど、パンとは全然違うわ。パンみたいなパサパサな物と違って、中が本当にしっとりとしていて美味しいの。そして外はパリパリで香ばしいの。そしてなんといっても、このソースね。甘辛くて美味しくて、この料理にすごくあうの。アメリ特製のマヨネーズもこくを出していてすごくあうわ。そして中身の具なんだけど、キャベットを細かく切った物が大量に入っていて、シャキシャキとしていてなおかつ甘くて美味しいわ。もちろん、私の大好きな肉もたっぷり入っていて、凄い旨味を出しているわ。
私らの世界の料理って、ただ単に肉を焼いただけで、それにせいぜい塩をふるくらいだわ。それをこんな手の込んだ、そして美味しい物を作るなんて、アメリって料理の面だけ見ても凄いわ。お店でも食べたことが無いようなこんな美味しい物をいつも食べれるなんて、アメリのパーティに入った甲斐があるってもんよ。
楽しい食事が終わったら、後はお風呂よ。私ら貧乏人は体を拭くだけか、せいぜい行水をするぐらいなもんだけど、ここにはなんと4人でいっぺんに入れる大浴場があるの。なんせ、元宿屋って言うのは伊達じゃないわ。泳げるくらい大きなお風呂って何?大きさだけなら、お貴族様にも負けてないわ。たぶん。お貴族様のお風呂は見たことないけど。立派な個室ももらったし、私、もしかして幸せなんだわ。男女も脳筋も黒髪も年上だけど、別に先輩風も吹かせないし、ましてや私を使用人として扱ったりしないわ。彼女らは何でも平等で公平なんだ。まあ、私は一番年下で新入りだから敬語でしゃべっているけど、それも男女はやめるように言ってるわ。なんでも年長者の骨以外は、いや骨も含めてか、みんな友達なんだって。下っ端としていつもこき使われていた暁とは大違いだわ。私は本当に美少女戦隊に入って良かったわ。おばあちゃん。
お風呂に入ると男女が俄然張り切りだしたわ。私と幽霊の体をボス自ら洗ってくれるの。先輩にそんな事させられないって断ったんだけど、どうしても洗いたいって言うの。男女のいた世界ではお風呂で体を洗い合って親睦を深めるらしい。そんなわけで、申し訳ないけど洗ってもらったわ。
男女の洗い方なんだけど、凄く上手いの。痒いところに手が届くって言うか。私が今どこ洗ってほしいかわかっているというか。すっごいやさしくて丁寧で気持ち良いの。でも、気のせいか、前ばっかり洗ってくれるのよね。そして、あまりの気持ちのよさに恥ずかしいけど声が出ちゃった。そしたら、男女が興奮して私に抱き付いてきたの。私は男女は大好きだけど、精神的に好きで、肉体的なものじゃないわ。いや、精神的にも好きと言うのはおかしいわ。ようするにライクだけどラブじゃないって言うわけよ。
「やめてー!」
私が悲鳴をあげると、服を着たまま乱入してきた黒髪が男女をはたいていたわ。
「ちょっとアメリ。あんたどういうつもり。アーリンを襲うなら、一人で入ってもらうよ。」
「いや。ちょっと、手がすべっただけで・・・。すみません。」
黒髪の前で男女は頭を床に着けて謝っていた。なんでも土下座と言って、男女達の世界の最上級の謝罪だそうだ。
「こいつ、見た目はかわいい女の子だけど、中身は男の変態よ。アーリン、気をつけて。」
「いや。半分は女なんですけど。」
「どっちでもいいわ。」
黒髪が土下座している男女をまた殴った。すると、そのドタバタを今まで大人しく見ていた幽霊がとんでもないことを言った。
「アメリさんて、こんなかわいい美少女なのに中身は男なんですね。私は男でも女でもいけるから、私なら大丈夫ですよ。」
「「「え!?」」」
何が大丈夫なんだ。突然の幽霊のカミングアウトにさすがの男女もひいている。もちろん、私と黒髪はどんびきだ。
おばーちゃん。前言撤回します。ここは変態の巣窟でした。
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