第139話 王都キンリー到着
所変わってここは船の上。
「いやー。儲かったね。セナ。」
「うん。まさか、あの魔物がお金になるとはね。魔法で凍らせといて良かったよね。」
リオとセナはご機嫌だった。フライングホーンをダメもとで、最寄りの港であるハイクの町の港の市場に持って行ったら、思いのほか高値で売れたのだ。それで、当面の旅の路銀ができたのだった。もちろん私だってご機嫌だ。王都キンリーの港に入るのだって、ただってわけにはいかないのだ。文無しの私達美少女戦隊はお金が無いために、海で放浪するところだったのだ。まさに九死に一生を得たって所だった。フライングホーンに襲われた後は魔物に襲われることもなく順調に進んだ。そして、海しか見えない景色に飽きてきたころに骨が大声をあげた。
「キンリーの町が見えてきましたぞ!」
船を操る骨の声で私は船室から甲板に出た。はるか遠くに町らしき物が見えた。あれが王国一の大都市王都キンリーか。いつか行ってみたいと思っていた憧れの都キンリーが間近に迫っていた。
「あれがキンリーか。やっと着いたね。長かった。」
「うん。ダンジョンに行ったりして道草食ってたからね。」
リオとセナも甲板に出てきて言った。リオ達が道草食ったおかげで、私も幽霊も仲間になれたんだけどね。
「それで、キンリーに着いたらどうします?」
「そうね。まずは活動の拠点を移すために冒険者ギルドに行こう。そしてそこで宿とか紹介してもらおう。もちろんキンリーの情報も教えてもらおう。」
私がこれからの事を聞くと、リオが答えてくれた。脳筋だと思ってバカにしていたが、リオもこれからの事をどうするか考えているみたいだった。頼りにしてますぜ。リーダー。
やがて船はキンリー港に着いた。サークルアイ港と比べるのもおこがましいほど大きな港であった。もちろん、港から見えるキンリーの町も大きかった。というか、大きすぎて全部は見えなかったが。港に入ると監視の小舟が近づいてきた。監視の小舟に入港料を払って、船を指定された場所に停めた。船を降りて港を出て、町の門をくぐるといよいよキンリーだ。門番の兵に冒険者プレートを見せると私達はキンリーに入った。門番の兵に書いてもらった地図を頼りに冒険者ギルドを目指した。キンリーの町の道は入り組んでいた。地図が無ければとてもじゃないが、冒険者ギルドにたどり着けなかっただろう。冒険者ギルド自体は大きな建物で見つけやすかった。
冒険者ギルドで手続きを済ました。これで私達はキンリーの町の冒険者になった。サークルアイの冒険者もキンリーの冒険者も冒険者に変わりはないが、キンリーの冒険者と言う事でなんかあか抜けた気がする。これで私達も都会の一員だ。
宿は冒険者ギルドで紹介してもらったほどほどに良い宿にした。フライングホーンのおかげでお金に余裕があったが、長い滞在になるかもしれないのであまり贅沢な所にはしなかった。宿に荷物を降ろすと、食事と町の探索を兼ねて夜の町に繰り出した。サー飲むぞと、リオとセナが張り切っていた。なんか嫌な予感がするんですけど。
***
さらにところ変わってこちらはアメリとサオリの陸上組です。カラクの町を出ると一気に山を駆け下り、途中トラブルもなくキンリーに到着しました。
「これがキンリーか、大きいね。」
「うん。さすが王都だね。」
キンリーの門でオレとサオリはキンリーの印象を語り合っていた。オレとサオリはアデルに雇われた冒険者と言う事で、アデルが都に入る手続きをしてくれた。アデルとシーナと別れた後、オレとサオリはカイン一行の案内で冒険者ギルドに向った。さすがは王都の冒険者ギルドだ。セシルの町の物より、圧倒的に大きくて立派な建物だった。中も広く受付のカウンターもいくつもあった。まるで市役所だった。オレとサオリは開いたカウンターに向った。キンリーに活動拠点を移す事を告げ、手続きをした。
「はい。これで転入の手続きはすべて終わりましたので、今からすぐでも依頼を受けられます。それで何か質問はありますか?」
「はい。オレ達は美少女戦隊っていうパーティに所属してるんですけど、何か知らないですか?」
受付嬢のエルナにオレはリオ達の消息を聞いた。
「え!?美少女戦隊!」
エルナはびっくりしたようで大きな声をあげた。それどころか、周りの冒険者達もざわついた。
「知ってるんですか?」
「知ってるも何も。冒険者ギルドに関わりある者は職員も冒険者もみんな知ってますよ。」
みんな知っているってリオ達はいったい何をしたんだ。オレは周りを見渡した。冒険者達は皆、オレとサオリに注目していた。
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