第128話 スケルトンロード
翌早朝、オレとサオリとセナは幽霊船にリオ達を迎えに行った。
「おはよう。リオ。良く眠れた?」
「おはよう。アメリ。幽霊たちがうるさかったけど、快適で良く眠れたよ。」
オレが挨拶するとリオは眠そうに目をこすりながら言った。まあ、リオの怖がりは害が無いし、幽霊船でも平気みたいだし、意地悪はやめてやるか。でも、ちょっとからかってから。
「よく眠れたみたいなら大丈夫ね。リオの住処は海賊船に決定ね。」
「えー。冗談じゃない。狭くて嫌だよ。」
リオが口をとがらせて抗議する。その姿がかわいいので、笑ってしまう。
「あははは。冗談、冗談。今晩からオレ達と一緒に宿でお泊り復活よ。」
「もう何よー。アメリの意地悪。」
リオに背中を叩かれながら、アーリンの方に向った。
「おはよう。アーリンもよく眠れた?」
「あ、はい。おはようございます。よく眠れました。」
アーリンの言葉と裏腹にアーリンの表情はすぐれなかった。眼の下のクマが睡眠不足を物語っていた。
「うーん。アーリンの方はまだ、船暮らしが必要みたいね。まあ、じきに慣れるから。」
アーリンに挨拶した後、エイハブとマームの方に向った。
「おはよう。船長。マーム。朝から元気ね。」
「おはようございます。わし達幽霊は夜眠らなくても平気ですからの。がっはっはっ。」
「おはようございます。私は人間ですから、夜はぐっすりと眠りまして元気です。」
二人は剣を素振りしながら挨拶した。オレはマームのボケには突っ込まず無視した。
そして、オレ達はサオリのワープでまずはセシルの東のダンジョンに向った。エイハブとアーリンとマームをそこに降ろした。冒険初心者のマームのレベルアップのために比較的初心者向けの東のダンジョンで修業してもらうためである。帰りの待ち合わせの時間と場所を決めて、オレ達残りの4人はサークルアイの古城のダンジョンへとワープした。
ダンジョンの地下の通路に到着するとさっそくスケルトンナイト2匹のお出迎えである。オレとリオは呪文を唱えながら走った。
「サンダーソード!」
スケルトンナイトと対峙する前に呪文を唱え終わったオレのサンダーソードが完成した。スケルトンナイトと交錯しざまにオレは剣を横に払った。オレの剣がスケルトンナイトの胴をとらえ、剣から流された電流によってスケルトンナイトは一瞬動きを止めた。その隙を逃さず、オレの後に続いてきたリオがスケルトンナイトを袈裟斬りにした。スケルトンナイトが光の球となって消えた。オレとリオが一匹に集中したためにフリーになったもう一匹のスケルトンナイトがリオに斬りかかった。
「サンダービーム!」
サオリの魔法でスケルトンナイトが動きを止めた。
「そして、サンダー突き!」
そこにセナのサンダーソードによる突きが決まった。セナに突かれたスケルトンナイトも光の球になって消えた。
「やるじゃん。サオリとセナのコンビネーションも良いね。」
オレはサムズアップして二人を褒めた。
「まあ、アメリ達の取りこぼしを掃除するのはわたしの仕事だし。」
サオリは当然だと言ったが、まんざらでもないようで、照れ笑いをしていた。
「・・・・・・」
セナのほうは無言でどや顔であった。
しばらく歩くと今度は4匹のスケルトンナイトが現れた。
「みんな、今度はタイマンで勝負するよ。サンダーソードを発動させて。」
「「「おう!」」」
オレの指示で、4人の剣が電気を帯びて光だした。オレ達は横に広がりスケルトンナイトを迎えた。オレの思惑通り、スケルトンナイト達もばらけてオレ達に向ってきた。
オレは自分に向かって来たスケルトンナイトに突きをかました。オレの剣先から電流が流れ、スケルトンナイトの動きを止めた。そのチャンスにオレは剣を引くとスケルトンナイトの胴を斬った。二度の電撃斬りでスケルトンナイトは光の球になって消えた。スケルトンナイトを倒して余裕のできたオレは隣のセナの助太刀に入った。セナとつばぜり合いをしているスケルトンナイトを横から斬りはらった。無防備な頭にオレの電撃斬りを受けたスケルトンナイトは光の球になって消えた。さらに助太刀に行こうと周りを見渡すと最後の一匹がサオリの剣を受けて消える所だった。
「みんな、大丈夫?」
「「「おう!」」」
オレが声をかけると元気な返事が帰ってきた。みんな無事のようだった。オレ達は先を急いだ。途中であと二組のスケルトンナイト達を斬り伏せながら進むと、扉のある部屋にたどり着いた。
「これはどうやらボス部屋みたいね。」
そう言ってリオが扉の前に立つと扉が自動で開いた。
「よし。入るよ。」
「ちょっと待って。サンダーの呪文を唱えながら入ろう。」
リオが入ろうとしていたのを止めさせて、みんなで呪文を唱えた。もちろん魔物と対峙した時にすぐにサンダーソードを発動するためにだ。
最後のセナが入ると部屋の扉が自動的に閉まった。これでボスを倒すか、オレ達が全滅するかしないと、扉は開かないわけだ。
オレ達が緊張しながら前を見ると、そこにはボスのスケルトンロードとスケルトンナイトが二匹いた。
「「キエエエー!」」
二匹のスケルトンナイトが奇声を上げてオレ達に突進してきた。オレとリオでこれを迎え撃った。
残りのボスのスケルトンロードにサオリとセナがサンダーソードで斬りかかった。図らずも白兵戦となってしまった。だが、こういう混戦はオレ達の得意分野である。全員が魔法剣士のオレ達は守ったり守られたりがない。全員が攻撃に専念できるわけだ。
オレは自分に向かってきたスケルトンナイトに斬りかかった。オレの剣はスケルトンナイトの盾で防がれたが、それで十分だった。オレの剣から流れた電気が盾を伝ってスケルトンナイトに流れた。感電したスケルトンナイトは一瞬動きを止めた。その隙を逃さず、オレは面、胴と連撃を与えた。スケルトンナイトが光の球になったのを確認するとボスのスケルトンロードと戦っているサオリとセナの助太刀に入った。
スケルトンロードはさすがボスである。サオリとセナの二人を相手に全く負けていなかった。というよりHPが高すぎて一回や二回斬られたぐらいでは死なないと言った方が良かった。
「セナ!下がって!魔法を撃って!」
オレはセナを下がらせると、代わりに剣による戦闘に加わった。スケルトンナイトを倒したリオも加わり、四人の剣と魔法によるサンダー総攻撃でさすがのスケルトンロードも力尽きて光の球になった。
オレ達が魔石を拾っていると部屋の扉が開いた。扉の先には階段が下へと延びていた。次に来る時のために階段を少しだけ降りると、セシルの東のダンジョンへとワープした。
待ち合わせの地下一階層のボス部屋の前にマーム達は待っていた。
「マーム。どう?初めてのダンジョンは?」
「ええ。絶好調です。」
オレの問いにマームが元気いっぱいで答えた。まあ、一階は動きの遅いスライムしかいないからな。
「あ。順番が回って来たみたいね。頑張って。気を付けて。」
オレ達はマーム達をボス部屋に送り出すとその出口で帰還を待った。
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