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第125話 ア-リーン参戦

 


「な、なにー!」


 翌早朝、オレ達はサオリのワープで宿からア-リーンの家へ来た。ア-リーンは待ちきれない様子で、家の前に出ていた。そこへオレ達が突然現れたものだから腰も抜かさんばかりに驚いていた。


「おはよう。ア-リーン。」


「お、おはようございます。」


 オレが挨拶するとア-リーンは慌てふためいて挨拶を返した。


「あ、あのー。今のは?」


「あー。これね。これはわたしのギフトのひとつのワープよ。」


 サオリがどや顔で答えた。


「ギフトって何ですか?」


「わたしとアメリは異世界人なの。」


「異世界?」


「あなた達が今住んでるこの世界とは別の世界があるの。」


 サオリは地面に地図を書いて説明した。しかし、こっちの世界の人に異世界の事を説明するのは難しい。アーリンはわかったのかわからないのか、あいまいにうなずいていた。


「とにかく遠い所からわたし達二人は来たのよ。そしてこっちの世界に来る時に神様から異能力を授かったの。それがギフトよ。」


「まあ、オレとサオリはこの世界じゃ異端児って事ね。あと、この事は他人に言わないでね。」


「わかりました・・・」


 とにかくオレとサオリが特別な存在でそのため少しだけ人と違った能力を持っていることをア-リーンに説明できた。うん、できたと思う。


「それで古城のダンジョンはどこまで進んだ事あるの?」


「はい。一階の大広間の所までです。」


 意外に進んでないな。オレはオレ達が階段を上り上の階を攻略して、さらに地下まで行っているのを説明した。


「え!もうそんなに進んでるんですか。」


 ア-リーンが目を丸くした。


「まあ、オレ達は腐ってもA級だからね。それで、ア-リーン。あなたならいきなり地下に行っても大丈夫だと思うの。オレ達と一緒に行く?」


「え!大丈夫なの?」


 サオリが口を挟んだ。ア-リーンに合わせてもう少し浅い階層で経験を積むのも良いが、深い階層でより大きな経験値を得る方が良いとオレは考えた。



「大丈夫。リオと互角の勝負ができるんだもん。実力は申し分ないわ。それにオレが全力でサポートするからア-リーン、安心して。一緒に行こう。」


「わ、わかりました。」


 オレは最初の言葉をサオリに言って、後の言葉をア-リーンに言って安心させた。ア-リーンは返事をしたが、いきなりの地下行に緊張をしていた。


「あと、オレ達は剣も魔法もこの国で一番になるつもりだから、これを装備して。」


 オレはアイテムボックスから予備の剣と盾を取り出すとア-リーンに渡した。


「えっ!今、何もない所から剣と盾を出しましたよね?」


 オレのアイテムボックスも知らない人にとっては驚愕の事か。


「ああ、これもギフトの一つでアイテムボックスって言うの。これぐらいで驚いてたら、サオリのワープで腰を抜かすよ。」


「そ、そうですか?」


「ところで、剣はやった事あるの?」


「いえ、まったく。」


「ふーん。じゃあ、慣れるまでしばらくは魔法で攻撃して。」


「は、はい。」


「じゃあ、そろそろ行こうか?サオリさん。ダンジョンの地下までお願いします。」


「ラジャ!ア-リーン。わたしの手を絶対に離さないで。」


「わかりました。」


 サオリはア-リーンに注意するとその手を握った。オレ達もサオリにつかまった。


「じゃあ。行くよ。ワープ!」


 サオリの掛け声とともに景色が歪んだ。そして、その景色がダンジョンの地下の物になった。


「あわわわ・・・」


 ア-リーンはさすがに腰は抜かしはしなかったが、目を白黒させて口をパクパクさせていた。


「どう?今のがわたしのワープよ。さっき突然現れたのはこういうわけよ。」


 サオリがア-リーンにどや顔で説明した。


「ショックなのはわかるけど気を引き締めて。ここはもうダンジョンの中よ。」


「はい!」


 オレが注意するとア-リーンが元気よく答えた。


「みんな聞いて。今までオレとサオリ、リオとセナの組で主に戦ってきたけど、ア-リーンが新たに加わったからオレとサオリでア-リーンの面倒を見るわ。それでみんなは今まで通り魔法剣で戦って、ア-リーンは魔法でみんなをサポートして。」


「「「「おう!」」」」


 オレが作戦を告げるとリオを先頭に通路を歩き始めた。通路は鉱山の坑道のように地面を掘ってできた道みたく狭く薄暗かった。怖がりのリオはびくびくしながらも進んでいた。怖がりな分、用心深いから先頭を任せるにちょうど良かった。


「リオ。前方にスケルトンナイトが二匹。昨日のボスほどレベルは高くないけど気をつけて。」


「おう!」


 鑑定で暗闇に潜む二匹のスケルトンナイトを確認したオレは先頭のリオに告げた。それを聞いたリオは呪文を唱え始めた。ア-リーンも呪文を唱え始めた。


「「キシャー!」」


 奇声を上げて二匹のスケルトンナイトが剣を振りかざしながら向かってきた。


「サンダーソード!」


 剣に雷の電気を流しリオが向かい討つために走り出した。


「サンダー!」


 リオがスケルトンナイトに斬りつける寸前で範囲魔法のサンダーがリオとスケルトンナイト二匹を襲った。突然のフレンドファイアーに打たれ強いリオもさすがに動きを止めた。オレは反射的に飛び出し、リオの代わりに動きを止めているスケルトンナイトを斬った。


「ちょ、ちょっと。何やってんのよ。味方がいるのに魔法なんか撃っちゃだめじゃない。」


 サオリが止めに入ったが、パニックに陥ったア-リーンは二度目のサンダーを撃った。


「サンダー!」


「「ギャー!」」


 今度はオレまで被爆した。オレとリオは初期魔法のサンダーぐらいは平気だが痛い物は痛い。痛みで動きが止まる。


 さらに三度目のサンダーを撃とうと呪文を唱えるア-リーンをサオリが叩いた。


「しっかりしなさい!」




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