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第11話 親ばれ

 翌日、オレ達はスライムとの戦いをなるべく避けて、先を急いだ。スライムは遅いので、逃げるのは簡単だった。ボス部屋もスルーして、地下二階に来た。


「今日のわたしは一味違うわよ。」


 サオリはやる気満々だ。サオリは調子に乗りやすいタイプだ。ここは少し気を付けさせないと。


「サオリ。リベンジに燃えているのはわかるけど。気を付けてね。」


「わかってるよ。昨日のつては踏まないわ。」


「よし。それで、どういう作戦で行く?」


「そうね。わたしのサンダー(サオリバージョン)で遠距離から数を減らすから、そのあとアメリが踏み込んで。」


「わかったわ。でも、わたしが前に出てるときは撃たないでね。味方に後ろから撃たれるなんて間抜けすぎるもん。」


「わかった。」


 しばらく歩くと、さっそく四匹のホーンラビットが隠れているのを鑑定で見つけた。


「見つけたわ。四匹いるわ。」


 オレが指さすとサオリが前に出た。


「まかせて。」


 オレの指さした方にサオリが槍を向けた。槍をライフルのようにして目の前に構えていた。


「サンダー。」


 槍先からいかずちがビームのように発射された。まるでレーザーガンのようであった。レーザービームは轟音とともに草むらの壁に穴を開けた。


 堪らずに四匹のホーンラビットが飛び出した。飛び出したうちの一匹に、サオリはスナイパーのように構えて狙いをつけた。


「サンダー。」


 レーザービームがホーンラビットを射抜いた。


「サンダー。」「サンダー。」


 二匹目。三匹目もレーザービームが射抜いた。


 最後の一匹はサオリの前まで走りこんできたところを


「ファイアーボール。ついでに突きー!」


 オレの必殺技の火の玉突きでやられた。魔法も突きも見事に当たった。さすがに脱帽である。


「お見事。わたしの出番も少しは残しといてよ。」


「へへん。どんなもんよ。」


 どや顔でサオリは答えた。


「でも、魔力には限りがあるから、魔法はいざというときのために取っておこう。次は魔法なしで、戦ってみようか。」


「うん。わかった。」


 しばらく歩くと今度は、通路にホーンラビットが二匹いた。


「アメリ。草むらに隠れたのはいる?」


「いえ、いないわ。」


「じゃあ、わたしが向かって左のを相手にするから、右のをお願い。」


「了解。」


 サオリは槍の長いリーチを生かして突いた。しかし、当たらなかった。サオリの槍を避けたホーンラビットが、サオリに角から体当たりをしようと、大ジャンプをした。オレは咄嗟にそのホーンラビットを切ってサオリをかばった。おかげでオレの担当のホーンラビットの攻撃を受けてしまった。幸いにも着込んだ鎖帷子が角から守ってくれたが、体制をくずして膝をついてしまった。第二段をかまそうとホーンラビットが距離を取った。オレはサオリに助けを求めた。


「サオリ!」


 ホーンラビットが飛ぶよりも早く。サオリのファイアーボールが炸裂した。サオリは槍を投げ捨てて魔法を撃っていた。


「サオリありがとう。」


「アメリ。大丈夫?」


「うん。鎖帷子のおかげね。」


「ケガしないで良かった。原因はわたしが突きを外したからだよね?槍は遠くを攻撃できて良いけど、懐に入られると無防備になっちゃうね。槍を捨てて、魔法に専念したのは良い判断だったでしょ?」


「うん。ナイス判断。至近距離からのファイアーボールはかわせないしね。でも、魔法は凄かったけど、槍はだめだめね。今日はやっぱり、魔力が尽きるまで魔法でいきますか?」


「うん。それが良いみたいね。」


 サオリが遠くからサンダー(サオリバージョン)で狙撃をして数を減らし、残ったのをオレがやるという作戦でいった。順調に進み、ボスを倒したところで、サオリの魔力も尽きてきたので引き返した。帰りはオレの温存していた魔法を使いながら、何とか無事に地下一階まで来れた。地下一階は動きの遅いスライムをサオリが槍で倒した。スライムなら何とか倒せるみたいだった。こうして、何とか無事に帰還できた。


 冒険者ギルドで捌いたホーンラビットの肉を分けてもらい、酒屋でエールを買って、師匠のメアリーの家に向かった。


「アメリ。今日はどうだった?」


 メアリーが今日の出来を聞いてきた。


「ええ。なんとかボスのホーンロードを撃破して帰ってきたんですけど、サオリの槍が下手すぎて、魔法を使わないと戦力にならないです。」


「そうね。たとえ魔法使いだとしても、自分の身ぐらいは自分で守れないとね。じゃあ、今日から特訓ね。」


 そう言って、一本の長い棒を渡された。なんでも本物の槍の刃先を取ったもので、刃の代わりに防御する物が付いていて当たってもケガしないようになっていた。


 というわけで、サオリと稽古することになったが、サオリはまるで駄目だった。つい最近まで平和な日本で只の中学生だったのでしかたのない事だが。見かねたメアリーが珍しく手取り足取り教えていた。オレが家の手伝いをしている時間も、メアリーがサオリを教える事になった。サオリは稽古用の槍を孤児院に持ち帰って家でも練習すると言った。サオリは根性があった。オレのようにどうしても強くなりたいわけでもないはずなのに。


「どうして、そんなに熱心なの?わたしみたいに親の仇を討ちたいとかないのに。」


「うーん。ヒーロー願望かしら。異世界転移はわたしの好きだったネット小説の定番だしね。異世界転移者は強くないと始まらないじゃん。」


「え?そんな理由で?」


「ダメ?」


「いや。良いです。」


 厨二病患者かよ。でも強くなってくれるのは大歓迎だし、ダンジョンや魔物とのバトルに抵抗がないのは良い事だ。


 稽古後はいつものように夕食をごちそうになって、家に帰った。


 家に帰ると、珍しくおばのソフィアが出迎えてくれた。




「お帰り。アメリ。ご飯は?」


「ただいま。ソフィアおばさん。ご飯は外で食べてきたからいいです。」


「そう。じゃあ、話があるからここに座りなさい。」


「はーい。話ってなんですか?」


「アメリ。あなた冒険者をしてるの?」


 やばい。とうとうばれたか。ごまかしてもばれるだろうし、ここは正直に言っとくか。


「はい。でも、冒険者と言っても昼ご飯食べた後に、ちょこっとダンジョンに潜ってるだけです。」


「やっぱり、そうなの?お父さんとお母さんを魔物に殺されたのに、そんな危険な事をして。あなたまで魔物に殺されたらどうするの?それにあなたまだ13歳よ。」


 もうすでに一回殺されてるんですけど。なんて口が裂けても言えないな。


「すみません。隠してたわけじゃないんですけど、言うのが遅れまして。」


「いや。黙ってたのを怒ってるんじゃないの。冒険者をするなと言ってるの。」


「父と母が殺されたからこそ、冒険者をしているんです。仇を討つために

 。」


「そんなことを言って自分も殺されたらどうするの。」


 おばは危険だからやめろの一点張りで、オレは養ってもらっている以上はおばに逆らえず、しばらくはダンジョン行を止めさせられた。





 ***************************************



生まれて初めて小説という物を人前にさらしています。初心者ですので、生暖かい目で見てやってください。それで、良かったらブックマークをお願いします。あなたのそのひと手間で底辺作家のわたしが救われます。

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