第109話 モンキーゾンビ
登場人物紹
・アメリ 主人公、負傷から復活。
・リオ 力も魔法も超一流。ただし頭は三流。
・サオリ チート技の持ち主。こっちが主人公?
・セナ 自分の身を囮にして敵を倒した。
「ウォターシールド!」
咄嗟にサオリは水のバリアを張り、難を逃れた。オレは縮地で距離を詰めてサオリを攻撃するゾンビボアの首をはねてとどめをさした。
ちなみにリオは別の燃え盛るゾンビボアの足を切って軽いやけどをした。セナのハイヒールで事なきを得たが。
「なんかごめんなさい。私が余計な事を言ったばっかりにみんなを危険な目にあわせて。」
セナが文句を言われる前に、謝ってきた。それで文句を言おうとしていたサオリも押し黙った。
「まあ、いいよ。オレ達も賛同したんだから、セナだけが悪くないよ。不死身だから燃え尽きるまでは生きてるって事か。それにしても燃やされても向って来る何て、敵ながらあっぱれね。」
「うん。とにかく半端な魔法は使わないほうが良いって事ね。」
オレがセナをフォローすると、サオリが場をまとめて言った。とにかく、魔法は使わないほうが良いと言う事はわかった。
それから、ゾンビホーンとゾンビボアを倒しながら草原を進んだ。幸いな事にファントムと違いゾンビは隠れていても鑑定で発見できたから不意打ちを喰らう事はなかった。しばらく進むと、前方に大きな木が一本見えてきた。ここは古城の中のはずなのに、どこまでも続くかのような草原でなおかつ頭上には空があった。そして、あろうことか太陽までがオレ達を照らしていて、暑くなってきた。
「ねえ。みんな。あそこの木の陰で休んでかない?」
戦闘を行くリオがみんなに声をかけた。
「「「賛成。」」」
なんか違和感があった。デジャブ?木陰で汗を拭きながらオレは思った。
「ねえ。ここって、この前も来なかった?」
オレの横で休んでいるサオリが言った。
「サオリもそう思った?だとしたら、そろそろ来るよね。」
オレ達がお茶を楽しんでいたテーブルが突然はじけた。テーブルの上のコップが飛び散った。
オレ達はテーブルから飛びのいて木の上を見上げた。サルのゾンビが何匹もいた。サルのゾンビは手に持った石を投げつけてきた。
「みんな、木から離れて。」
木から距離を取ったが投石はやまない。ただの石と言えども、当たれば痛い。何発か当てられるとむかついてきた。
「どうする?アメリ?」
リオが聞いてきた。
「うーん。火魔法で燃やそうか。」
「え?魔法?さっきみたいになるんじゃない?」
「なるかもね。でもあんな木の上じゃ戦えないでしょ。」
オレは木を指さした。サルならともかくオレ達ではあんな細い幹の上では自由に動けまい。
「魔法は賛成だけど、火はだめよ。サンダー!」
横で聞いていたサオリがサンダーを撃った。雷が木の上のモンキーゾンビを襲ったがファントムモンキーと違い一網打尽にはならなかった。かわらずにモンキーゾンビは投石してきた。
「ゾンビに雷は効かないわ。やっぱり燃やさんと。ファイアー!」
「ちょ、アメリ!」
サオリの警告を無視してオレは木を燃やした。
「みんなも撃って!」
「わ。わかった。ファイアー!」
「ファイアー!」「ファイアー!」
無詠唱で撃ったサオリを皮切りに三人が連続して火魔法のファイアーを撃った。四つの大きな炎が一つになりさらに大きな炎となって大木を燃やした。そこにいるモンキーゾンビごと。
「じゃあ、逃げるよ!」
そういうとオレは一目散に駆けだした。
「え?」「え?」「え?」
あっけにとられているリオ達の前に燃え盛る木から次々と火の塊が飛び降りて来た。
「え、ええー!」
ようやく気付いたリオ達も逃げ出した。
オレはしばらく走り反転すると、向って来る火の塊を一匹ずつ首をはねてとどめをさした。あらかた仕留めたところで魔石を回収していると、
「ちょっとー。火魔法は撃たないんじゃなかったの?」
同じく魔石を拾っていたサオリが文句を言ってきた。
「時と場合によってよ。今、てこずった?簡単に倒せたでしょ?」
「そういえば。」
「いくら、不死身のモンキーゾンビでも弱点の火をつけられて走らせられれば弱って動きは鈍くなるって事よ。じゃあ、ゾンビボアはどうかって事だけど。奴らは弱る前に突進してきたからね。」
「さすがアメリ。あったま良いー。」
「うん。卑怯技の天才ね。」
セナは素直に褒めてくれたが、リオは一言多かった。もちろんリオの頭は軽く小突いておいた。
オレ達に向ってこないで絶命したモンキーゾンビも多かったみたいで燃え尽きた木の周りも多数の魔石が落ちていた。
「ここ、先日のファントムモンキーに襲われた木と良く似た場所よね。」
「うん。オレもそう思ってた。」
「だったら、次はあそこで戦闘ってわけね。」
リオの指さした方向には一際大きな木が一本立っていた。
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