第108話 動物タイプ
登場人物紹
・アメリ 主人公、ボスゾンビを倒すも、負傷中。
・リオ 力も魔法も超一流。ただし頭は三流。
・サオリ チート技の持ち主。こっちが主人公?
・セナ 自分の身を囮にして敵を倒した。
ゾンビ剣士ゲランに切られてから三日後、ようやくオレとセナの防具が直る。オレとセナはもうとっくに体の方は回復していた。防具屋で鎖帷子と革鎧を受け取るとさっそくダンジョンへとワープした。オレはゲラン達ゾンビ剣士との再戦を希望したが、全員一致で反対された。そのためにサオリはもう一階層上にワープした。
この階層は先日に見た通り、大草原であった。リオを先頭に草原を進むと一匹のホーンラビットが現れた。
「なんだ。ホーンラビットか。」
リオがすかさず切った。しかし、切られたホーンラビットはひるまずリオに体当たりをしてきた。縮地でかろうじてかわしたリオが叫ぶ。
「こいつ、もしかしてゾンビ?」
「そう。ゾンビホーン。弱点は人型と一緒で首をはねるか燃やし尽くす事ね。」
鑑定をしたオレは冷静に言った。
「この野郎!」
リオが首をはねてやっとゾンビホーンが光の球になった。残された魔石をオレに投げ渡してリオが言う。
「今度は動物タイプのゾンビが襲ってくるのかな?」
「うん。どうやらそうみたい。」
オレは新たに現れた四匹のホーンラビットを鑑定して言った。
「ちょとお、冷静に鑑定してる場合じゃないよ。不死身の魔物が四匹も相手だったらいくらわたしでもてこずるよ。」
「はい。わかりましたよ。」
オレはリオの助太刀に走った。
動物タイプの魔物は総じて動きが速い。それが首をはねないと死なないなんて、人間タイプのゾンビよりも始末が悪い。オレは切りまくって動きを止めてやっとの事でとどめをさした。残りの三匹はリオ、サオリ、セナがそれぞれなんとか仕留めた。
「これは、人型ゾンビよりも厄介ね。スピードが速いから、なかなか首をはねれないよね。」
「アメリもそう思った?わたしもよ。」
リオが賛同すると、うんうんとサオリとセナもうなずいた。
「でも、修行中のオレ達にとって剣の技を磨く絶好の機会じゃない。」
オレはリーダーとして前向きな事を言ってみんなの士気を高めた。
「よし、頑張るぞ!」
脳筋戦士のリオだけ雄たけびを上げた。
「サオリー!セナも!気合入れていくよ!」
「「「おう!」」」
オレ達は気合を入れなおして進んだ。
「今度はボアかよ。」
戦闘を歩くリオが叫んだ。
「リオー!頑張ってー!」
セナが叫んだ。
「お前も頑張れよ!」
そう叫ぶとリオは剣を抜いた。
大方の予想道理ゾンビボアは一直線にリオに突進してきた。リオはひらりとかわすと、ゾンビボアの足を切った。うまい。足を切られたゾンビボアはもんどりうって倒れた。倒れたゾンビボアの首をセナがはねた。
「リオー!頑張ったよー!」
「なによ。美味しい所だけかっさらってー。」
セナにリオが悔しがった。
「まあ、まあ、オレ達はチームなんだからチームプレイは大切だよ。それにしても、今のリオの攻撃は良かったよ。動きの速い魔物は動きを封じればいいんだから。」
オレは悔しがるリオをフォローした。
そうこうしていると四匹のゾンビボアが現れた。オレ達は一対一でそれぞれがゾンビボアと対峙した。リオの戦法でそれぞれがゾンビボアを倒した。
剣は鍛えられるけど、魔法は鍛える機会がないなあと思っていたら、
「ねえ。ゾンビは火で燃やせばいいんでしょ?毛皮もあるし火魔法をぶっつければ良く燃えるんじゃない?」
セナが提案してきた。
「うん。オレも魔法も鍛えたいなあと思ってたんだ。じゃあ、次出たらセナとサオリで
燃やしてみる?」
「よし。やっと私の出番ね。」
「うん。でも、なんかひっかかるんだけど・・・」
張り切るセナに対してサオリは乗り気でなかった。
しばらく歩くと都合よく二匹のゾンビボアが現れた。さらに都合の良い事に二匹はこっちには気づいてないようだった。
「じゃあ、右のは私がやるから、左のはサオリ、お願いね。」
セナはそういうと呪文を唱え始めた。無言でうなずいたサオリも呪文を唱え始めた。
「「ファイアーボール!」」
ほぼ同時に撃たれた二つの火の玉が二匹のゾンビボアを襲った。
ファイアーボールを受けた二匹のゾンビボアはたしかに良く燃えた。
「やったー!」
セナがさけんだ。
「いや!来る!」
オレは叫んだ。二匹の巨大な炎の塊がオレとリオを襲った。
「セナのバカー!」
叫びながらオレは巨大な炎の塊をかろうじて避けた。後ろのサオリは大丈夫か?
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