第105話 サオリVSカミラ
サオリ視点です。
わたしはサオリ。美少女戦隊一の頭脳派よ。わたしは今猛烈に感動しているわ。セナの相手のリリアは剣士としては、セナより格段に格上の相手だったわ。目をくらまされても突きを避けれるなんて、わたしらでも無理だわ。そんな格上の相手を、自らの身を囮にしてまではめるなんて。アメリに似た戦い方だったわ。泥臭い勝ち方、セナらしくないわ。でも、わたしは好きだわ。感動したわ。リオがハイヒールをかけているから傷も残らないみたいだし、よかった。
セナに感動しておいてこんな事を言うのもなんだけど、わたしは瞬殺するわ。だって、反撃されて切られたら痛いもの。痛いの嫌だもの。悪いけど全力で戦わせてもらうわ。そのためにはまず、アメリの説得ね。
「アメリ。悪いけど全力で戦わせてもらうわね。相手にわたしのチート技がばれても、ここはダンジョンの中、外に広まる心配はないわ。」
「え?このながれでそういう戦い方をするの?」
「そうよ。だって、わたしだって後衛組だから剣技は苦手だし、リリア以上に強い敵だったらわたしだってやられるもの。」
「わかった。あれをやる気ね。全力でかましてやって。」
「そう。あれよ。」
アメリの了承も得た。100パーセントのサオリ様を見せてやる。
わたしは剣を抜くとアメリの前に出た。
「わたしは美少女戦隊一の下っ端。サオリと申す者よ!次はわたしが出るよ!そっちは誰が相手してくれるの!」
わたしはゾンビ剣士二人に向けて名のった。
「よし。わしが相手しよう!」
ゲランの横にいた、もう一人のゾンビ剣士が前に出た。
「わしの名前はカミラ!まあ、わしも親衛隊の下っ端じゃ!」
老剣士が名のった。カミラはいかにも達人と言う雰囲気の老人だった。いや老ゾンビだった。
審判もいなければ試合開始の合図もない決闘である。名乗り合えば即試合開始だ。わたしは距離を詰める事なく、右へ右へと歩を進めた。わたしに釣られて、カミラも向って右へ右へと移動した。
これくらい離れればもう充分か。正々堂々の勝負を気取っているゲランが助太刀をするとは思えないが、念には念を入れた。横から切られたら、さすがのわたしでもなすすべがないからね。
距離を確認したわたしはおもむろに呪文を唱える。
「ワープ!」
「カミラ!後ろ!」
ゲランの怒声が響く。
「遅い!」
わたしは無警戒のカミラを後ろから切った。もちろん首をね。かわいそうに、カミラは何が起こったかもわからないうちに絶命して光の球になったわ。
何が起こったかわからない人に説明すると、得意のワープでカミラの背後にワープしたの。さすがに横で見ていたゲランはすぐに気づいたみたいだけど、背後を取られたカミラ自身は気づかなかったみたい。達人と言えども、後ろから突然切られたら、なすすべがないみたいね。
え?卑怯だって?卑怯、けっこう。けっこう毛だらけ。卑怯技はアメリもわたしも得意なのよ。だいたい、わたし達の師匠のメアリーも卑怯技を推薦しているしね。正々堂々と殺されるくらいなら、卑怯な事をしてでも勝って生き延びろってね。
でも、さっきのリリアもそうだけど、こいつらすごく腕が立つみたいだし、大将のゲランにはわたしが出れば良かったかな。まあ、アメリが絶対に譲らんと思うけど。
「なにー!なんだ今の技は!突然消えて、突然現れた!わしの目でも追えないなんて!」
あっけにとられていたゲランがようやく正気を取り戻して大騒ぎをしていた。
「今のはワープ戦法と言うのよ。詳しくは秘密よ❤」
わたしはゲランに投げキッスをした。
「さあ、アメリ。勝利のたすきを渡すわよ。」
ワープでアメリの元に戻ったわたしはアメリとハイタッチをして言った。
「うん。確かに受け取った。リオのど根性。セナの命がけの頑張り。サオリの卑怯技。全部受け取ったわ。これでオレが負ける要素は無くなったわ。」
アメリは決意も新たに剣を抜いた。
「さあ、前座試合は終わったわ。最後は真の実力者同士で死合いましょう!」
アメリが最後に残ったゲランに言った。
「おう!親衛隊はわし一人が勝ち残ればいいのよ!わしが剣の極意と言う物を教えてくれようぞ!」
二人の大将はゆっくりと歩き始めた。
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