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第101話 巨木

登場人物紹介


・アメリ 主人公、体は女心は男よりの女。まさに性同一障害。


・リオ  力も魔法も超一流。ただし頭は三流。


・サオリ チート技の持ち主。こっちが主人公?


・セナ  賢者のはずが剣を鍛えさせられた魔剣士。


・ファントムボア イノシシの魔物の幽霊。風魔法が得意。


・ファントムホーン ウサギの魔物の幽霊。風魔法が得意。


・ファントムモンキー サルの魔物の幽霊。風魔法が得意。





 


「え!どうなってるの?無限に湧いて出てるって事?」


「きりがないじゃん。」


 リオとサオリも新たに湧いた群れを見て驚愕の声をあげた。このままパニックに陥るのはまずい。オレは冷静になれと、自分に言い聞かせて魔物の群れを見た。砦を高くしたおかげで魔物の群れ全体を見渡せた。どうやら、魔物達は大木の根元から湧いてるようだった。風がこちらに吹いてきてることからしても、次元の穴でも開いてるんだろう。


「あの木の根元を見て。」


 オレは大木を指さして言った。


「あ。あそこから出てきてるね。」


 リオが答えた。


「うん。どうやら、あの木を攻略しないとだめみたいね。木の攻略と言ったら、燃やすに限るね。特大の火魔法をお見舞いしてやろう。みんな、ファイガボールの呪文を唱えて。」


「「「おう!」」」


 オレがみんなに指示をすると、みんなはファイガボールの呪文を唱え始めた。


「ファイガボール!」


 サオリのファイガボールを皮切りにして四つの特大火の玉が大木を襲った。


 しかし、巨大な火の玉が轟音と共にはじけても大木は燃え上がるような事はなかった。


「だ、だめみたいよ。」


「うーん。さっきのサンダーと言い、魔法が効かないみたいね。」


 リオが力なく言うとオレは冷静に状況を分析して言った。


「アメリ。どうしよう?」


「大丈夫。まだ手はあるよ。」


 セナが不安げに言ったので、オレは力強く答えた。


「オレとサオリであの木の上に上るから、リオとセナはサンダービームで援護して。」


「「「おう!」」」


 オレは新たな作戦を指示すると、サオリにワープを頼む。


「じゃあ、サオリ。木の上までよろしく。」


「わかった。ワープ!」


 オレとサオリは木のてっぺんに着いた。さっそくファントムモンキーが大挙して押し寄せてくる。大量の風の矢がオレ達を襲う。


「サオリ!サルを頼む!」


「わかった!サンダービーム!」


 サオリが近づくファントムモンキーを次々と撃破している間にオレはアイテムボックスから大きな瓶を取り出して中の液体を木にぶちまけた。瓶三杯もぶちまけたところでサオリに指示を出す。


「サオリ!戻るよ!」


「ラジャー!ワープ!」


 サオリのワープで砦に戻った。


「みんな。今度は近よってファイガで燃やすよ。」


「え?さっき、火魔法が効かなかったけど。」


 セナが聞いてきた。


「うん。だから今度は火の玉をぶっつけるんじゃなくて、近くでじっくり燃やすの。」


「わかった。」


 セナがうなずいた。


「じゃあ、サオリさん。お願いします。」


「ラジャ!ワープ!」


 オレ達は大木の近くにワープした。


「セナとサオリでファイガの呪文を唱えて、オレとリオはサンダーブレードで敵を切るから。」


 オレは襲い来るファントムボアとファントムホーンを切りながら指示を出した。


「「ファイガ!」」


 サオリとセナの火魔法が同時に炸裂した。先程の火の玉とは違い今度は紅蓮の炎が燃え続けた。


「あっ。木が燃えた。」


 リオが声をあげた。


「よし!引くよ!サオリ!お願い!」


 サオリのワープでオレ達は砦に戻った。


 大木はめらめらと燃えていた。


「さっきはだめだったのに、なんで今度は燃えたの?」


 リオが聞いてきた。


「秘密はこれさ。」


 オレはアイテムボックスから瓶を取り出した。


「なにこれ?臭い。」


 のぞき込んだセナが顔をしかめた。


「わかった。石油ね。」


「ご名答。」


 元地球人のサオリは簡単に気づいたが、


「「石油?」」


 異世界人のリオとセナはわからなかった。


「簡単に言うと燃える水よ。暖房に使おうと思ってセシルの町で見つけて買っておいたの。それをたっぷり三杯撒いておいたからね。いくら魔法に強い木でも、物理的に燃えてるからイチコロで燃えたってわけよ。」


「さすが、アメリ。卑怯技の天才。」


 リオが相変わらずへんな褒め方をした。


「さすがアメリって言いたいところだけど、こんな密封された空間で火を燃やして大丈夫?」


 サオリが心配して聞いてきた。


「ああ、一酸化炭素ね。オレもちょっと心配したけど、大丈夫みたいよ。魔物の出入り口に大穴が開いてるから。ちゃんと換気はできてるみたい。」


 オレは大木の根元を指さして言った。すると、大木が大きな光の球になって消えた。あとには代わりに階段が現れた。砦に押し寄せていた魔物達も一斉に光の球になって消えた。見えない壁も消えていた。なぜわかったかと言うと、壁に寄りかかっていたリオが下に落ちたからであった。


「どうやら、あの木がボスだったみたいね。魔石を拾ってから、上に行こう。」


 オレはリオに続いて下に飛び降りた。大小様々な魔石がそこらじゅうに散乱していた。魔石を拾い集めるうれしい作業を終えると、大木のあった所にきた。魔物の出入り口の大穴はなくなっていた。階段を上ると、今度は草原から建物の中に戻っていた。


「あれ?今度は城に戻ったね。不思議。」


「うん。オレのアイテムボックスみたいにどっか別の次元につながってたんだと思うよ。」


 リオの疑問にオレは答えた。実は答えたオレもよく分かってないけど。それよりも、さっそくの敵のお出ましであった。


 敵は剣を構えた凛々しい剣士であった。凛々しい剣士をなぜ敵だと思うかと言うと、その顔色にあった。青黒い顔はとても生者とは思えない。


「こんにちは。」


 剣士を見て、リオがふらふらと近づいた。


「あ!だめ!」


 オレの制止もむなしくリオは切りつけられた。



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