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第100話 一網打尽

登場人物紹介


・アメリ 主人公、体は女心は男よりの女。まさに性同一障害。


・リオ  力も魔法も超一流。ただし頭は三流。


・サオリ チート技の持ち主。こっちが主人公?


・セナ  賢者のはずが剣を鍛えさせられた魔剣士。


・エイハブ 元転移者。魔物に転生してただのおっさんになった。


・ファントムボア イノシシの魔物の幽霊。風魔法が得意。


・ファントムホーン ウサギの魔物の幽霊。風魔法が得意。


・ファントムモンキー サルの魔物の幽霊。風魔法が得意。


 



 やばい。やばすぎる。周りは数えきれないくらい多数のファントムボアとファントムホーンに囲まれ、しかも頭上にも数え切れない多数のファントムモンキー。ここは引きの一手だ。


「みんな!ここは一旦引くよ!オレの後に続いて!」


 オレはサオリから鉄の盾をもらうと両手からサンダーを出し、右手の剣と左手の盾に電気を帯びさせると、魔物の群れの途切れている所をめがけて走り出した。オレの後には同じくセナから盾をもらったリオが続いた。もちろんリオは全身に電気を流していた。オレとリオで活路を開き脱出する作戦だ。側方と後方は、言わなくてもセナとサオリが走りながら魔法を撃った。できるやつらだ。


 最初に前方からファントムボアが来た。オレはあえて体当たりを受けた。体当たりをしてきたファントムボアが消し飛ぶ。衝突の衝撃をオレは耐えた。追いついたリオが左前方から来た二匹のファントムホーンを切り伏せた。その間も風魔法の矢が雨のように降り注いだ。補助魔法で防御力を上げていたオレ達は風魔法はあえてよけなかった。もう一匹ファントムボアをオレが切り伏せたところで群れの切れ目に出た。リオが先を走る。


「ぎゃ!」


 先を走っていたリオが突然はじけ飛んだ。危険を察知したオレは走るスピードを緩めた。とたんに鈍い衝撃がオレを襲った。そこには見えない壁があった。どうやら、見えない壁が周りを覆っているようだった。いつの間にか閉じ込められてしまっていたか、ならばワープだ。


「サオリ!ワープよ!みんな、サオリをつかんで!」


 オレはみんなに指示を出すとサオリの手を握った。リオとセナもサオリをつかんだのを確認したサオリが呪文を唱える。


「ワープ!」


 しかし、何も起きなかった。さらに、


「ワープ!ワープ!ワープ!」


 サオリが連呼したが何も起きなかった。


「ダメみたい。この見えない壁に阻まれてるのか。ワープできないわ。」


 サオリが見えない壁を叩きながら青い顔をして言った。なにー!サオリがワープできないのは、初めてだ。たぶん、サオリの言う通り、オレ達は異空間にでも閉じ込められているんだろうか。オレは小石を拾うと思いっきり上に投げた。何もないはずの上空で、小石が何かに当たって砕けた。間違いない、オレ達は閉じ込められたな。


「どうやら、これは戦うしかないみたいね。白兵戦は得意よ。よし。サオリはオレと組んで、リオはセナと組んで。二組に分かれて敵を殲滅するよ。風の矢が鬱陶しいけど、木の上のサルはとりあえず無視して、ウサギと猪からやっつけよう。」


「「「おう!」」」


 みんなは答えると剣に魔力を流しながら走り出した。リオは全身に流していた。


「サオリ!オレの後ろに隠れて!」


 しばらく魔物を倒しながら走ったあと、見えない壁を背にしてオレとサオリは戦う事にした。これで、後ろから襲われる事はなくなった。前方からファントムボアとファントムホーンが二匹ずつ突っ込んできた。最初に突っ込んできたファントムホーンを盾で受けて、次のファントムボアを剣で切った。二匹のファントムは光の球になって消えた。残りのファントムホーンとファントムボアはサオリがサンダービームでやっつけた。しかし、新手がどんどんやってくる。きりがなかった。


「サオリ!オレが土魔法で堀と砦を作るから、その間援護して!」


「わかった!」


 オレから盾を受け取ると、サオリが前に出た。サオリはサンダービームで魔物を次々とやっつけた。さすが無詠唱で魔法を唱えられるサオリであった。その間にオレは周りの地面を魔法で掘って掘を作った。掘った範囲が広いうえに短時間の作業であったので、せいぜい深さ一メートルほどの堀であった。そのぶんこちらのいる土台を高くした。さらには水魔法で堀に海水を満たした。たかだか一メートルほどの深さの堀である。魔物達は気にせず侵入してきた。しかし底上げした土台に阻まれてオレ達には迫れなかった。魔物達は悔し気に風の矢を撃ってきた。それこそ、雨のように。


「いた。痛いー!」


 いくら効かないからと言って痛くないわけではない。サオリが悲鳴をあげる。


「アメリ!何とかして!」


「わかった!アースウオール!」


 オレ達の前に土の壁ができた。そして、土の壁で土台を囲んだ。土壁でできた砦の完成である。風の矢はさすがに壁を越えては飛んでこなかった。やれやれである。オレは一息つくと言った。


「サオリ。悪いけど、リオとセナを救出してきてくれない?」


「え?どうやって?」


「サオリスペシャルのワープがあるじゃない。」


「え!まさか。」


「たぶん、外には出れないけど、この中なら大丈夫だと思うよ。やってみ。あと、できたらでいいけど、リオの所の魔物もこっちに連れてきて。」


「そう?ワープ!」


 訝し気にサオリがワープを唱えた。今度はうまくいったようでサオリの姿がかき消えた。


 サオリが救出に向かってる間にオレは土魔法で壁に穴を開けた。そうこうしているとリオとセナを連れてサオリが帰ってきた。二人はボロボロになって憔悴しきっていたが、幸い大ケガはしてないようだった。


「リオ、セナ、大丈夫?」


「オッケー。まだいけるよ。」


「もう、だめ。」


 オレが心配して声をかけると、リオは元気に、セナは息も切れ切れに答えた。


「よし。大丈夫だね。」


「え!大丈夫じゃないよ。」


 不満顔のセナを無視して説明を始める。


「見て、オレ達がここに籠ってるからこの部屋のファントムボアとファントムホーンがみんなここに集まってきたね。」


 さっき開けた穴から外を覗いてオレは言った。オレに続いてみんなが外を覗いた。そこには右往左往する魔物であふれていた。まさに地獄絵図であった。


「どうしてこいつらはここにたまってるの?」


「うん。穴にはまってるんだよ。オレ達を攻撃することしか考えてないから後ろに引く事もないんだよ。じゃあ、みんなで最高の電撃をプレゼントしてやろうじゃない。みんな、サンダラの呪文を唱えて。」


 リオの疑問に答えたあとにオレはみんなに呪文を唱えさせた。


「じゃあ、せーのでやるよ。」


「せーのっ!」


「「「「サンダラ!」」」」


 オレ達の最高の電撃魔法が一遍に炸裂した。巨大な雷が堀にはまった魔物達を襲った。雷に当たった魔物はともかく当たらない魔物も全部いっぺんにかき消えた。まさにオーバーキルであった。


「え?どうなってんの?雷が当たってない魔物もみんないっぺんで消えちゃったじゃない。」


 リオがビックリして言った。


「ふ、ふ、ふ。謎を解いてあげようか。秘密は堀に満たした水よ。電気の通りやすい海水で満たしたからね。当たっていない魔物もみんな海水を通った電気で感電死したってわけよ。」


「さすがアメリ。そんな罠をあらかじめ仕掛けておいたんだ。やっぱり卑怯な技は超一流ね。」


 オレが得意になって説明をすると、リオが変な褒め方をした。リオを小突いていると、


「アメリ、見て!」


 セナが大声を上げた。


 あろうことか殲滅したはずのファントムホーンとファントムボアの群れがこちらに向って来るのが見えた。



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