4月 入学式7
「はぁー。入学式終わったあー」
うーんと大きく伸びをして駿河は自教室へ向かう。
真新しい校舎の綺麗な長い廊下を歩いてさきほどのT字路にさしかかり、左へ曲がる。すると向こう側から見知った顔が歩いてくるのが見えた。先ほど挨拶していた生徒会長だ。
「あれ、駿河くん…?」
「へっ、あっ!麻子ちゃん!?」
突然自分の名前を呼ばれて驚く駿河。よくよく見れば懐かしい幼馴染みの姿が…。
「久し振りね。何年ぶりかしら」
「五年ぶりかな?僕が小学五年生のときに引っ越したっきりだ」
五年間で背が伸びたものね、と麻子が感心して微笑む。
二人は横並びで廊下を歩きながら雑談を始めた。
「あ、そうだわ!」
「ん?どうかしたの麻子ちゃん」
急に声をあげたかと思うと麻子は駿河の手をとり、
「駿河くん生徒会に入らない?あなた昔から企画とか好きだったでしょ!?企画係にピッタリだと思うの!」
と、早口にまくしたてる。その瞳は爛々と輝いて見えた。
「え…?あ、えっとぉ…麻…子ちゃん?」
「放課後生徒会室で待ってるわね。楽しみにしてるから!」
というや否や麻子は「またね!」と廊下の先を走って行ってしまう。残された駿河はただ呆然と立っていた。
「これって行かなきゃいけない的な…?」
ぽつりと呟いた言葉は教室から漏れる騒がしい声にかき消される。今年はなんだか忙しくなりそうだなあ…と駿河はしみじみと感じた。
そこで無情にチャイムが鳴り始める。
「………………あっ」
入学式のあとは初のHRなので教室集合だったのだが毎度おなじみのように間に合わなかった。
廊下の開いた窓から風が吹き、桜の花弁が宙に舞う。ひらりと手のひらにおちたそれを握り駿河は教室へダッシュした。




