4月 入学式4
カーテンの隙間から、少年の金色の爆発した髪に向かって入ってきた朝日。
その光は決して温かいものではなく、鋭くまぶしいものであった。
その光はだんだんと髪から顔へと移動し、丁度瞼へと差し掛かる。
「......ん......」
もしかしたら起きるのではないか。などという淡い期待を持ってはいけない。
金髪少年はとっても寝起きが悪いのだから。
時計は今、午前9時を指している。
今日は入学式。
3年生である彼には関係のない行事だと思われると思うが、そうでもない。
なぜなら彼は、仮にも生徒会の役員である。入学式は9時30分に始まる。普通なら、生徒会役員はもう学校にいなければならない。
だが、彼はぐっすりと夢の中。......遅刻だ。
――――――――ピルルルルル――――――――
ふと鳴りだす、ベットの脇の携帯。
すぐ真横で大音量で鳴っているはずの携帯。
その音にも全く反応しない少年。
さすがとしか言いようがない。
鳴り続けている携帯には"七海夕映"と表示されている。
彼女は霧ノ森高等学校2年生の女子である。
少年と幼い時に出会ってから、それなりに仲良くしてくれる男性恐怖症の女の子。
彼女の両親はデザイナーの社長・副社長兼モデルをしており、夕映自身も小学3年生頃から偶にモデルをしている。少年が小学6年生の頃、夕映は小学生向けのファッション雑誌のモデルをしており、その時相手役を探していた。彼女の母親が相手役をネットで募集し、そのとき少年が応募し、夕映の相手役として選んだことから仲良くなったのだ。
ぐうぅ、と寝苦しそうにしながらも少年の瞼は閉じられたまま。
この少年、愁魁零鳴は寝つきの良さ目覚めの悪さに関して光一だ。もはや遅刻は免れない。
電話の向こうの少女夕映もそれを感じ取り、早々に電話を切ることにした。
「…もう、先に行ってしまいましょう……」
颯爽と二つに結った髪を風に流しながら、ぱりりとノリのきいたプリーツスカートを翻す。
こうして零鳴は、入学式に大遅刻したのであった。




