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理解できない日常2

 ソファに座ってぼけっとしている彼は、あのとき以来可愛らしい恰好で私の前に現れるようになった。まさか学校にもこんな恰好で行っていないだろうが、普通にしていれば俗に言う『イケメン』というやつなのだから、家が隣とはいえ僅かな間でもこの服装で外を歩いているというのは良くないと思う。まぁ、しっかり似合っていて女性にしか見えないから、警察に通報なんてことにはならないだろうけど。

「麦茶ある?」

「勝手にどうぞ」

「おうよ」

 すっと立ち上がると、彼はそのままキッチンへ消えていった。少しして戻ってくると、彼はまたソファに座ってぼけっとし始める。毎日こうして学校終わりに家に来ては、何をするでもなくテレビを眺めていたり、持ってきた本を読んでいたりと自分の家でできるだろうといったことをして、きっちり夕飯前には帰っていく。なんのために私の家に来ているのかが不明だが、来るなと言ってもきかなそうなので何も言っていない。

「顕微鏡で何見てんの?」

 ぼけっとしていたはずの彼が、私の傍らの顕微鏡を指さして訊いてきた。急に話しかけられて少し驚いたが、彼はいつもこうなのでいちいち気にしない。

「ミドリムシ」

「また?」

「可愛いよ」

 私は大好きなミドリムシを想いながら答えた。初めてその姿を見たときの感動と言ったら、今でも忘れられない程素晴らしいものだった。こんなに可愛らしい生き物がこの世に存在していたのかと衝撃を受けたとともに、一体なんなのかさえも分からない彼らのことを知りたいという気持ちが強くなった。それから私は自分の家でミドリムシを眺める生活を送っている。だからといって、ただ眺めている訳ではない。ミドリムシにはこれから先の世の中を変えてしまうくらいの秘密が隠されているのではないかと言われている程、奥深く神秘的な生き物なのだ。

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