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歩み寄れない日常10

05/19後書きを更新

「そういやぁ、思い出したんだ」

 麦茶の入ったグラスを傾けながら俺は言った。

「何を?」

「女装してた理由」

「あれ? 私に会うためじゃなかったっけ?」

「それもあるんだけどさ」


「あれ、欲しい」

 そう言ってスカートを指さしたあのとき、幸に会いたいという気持ちが確かにあった。

 でも、どこかで自分は特別で、女の子にならなくたって、幸は俺と遊んでくれるって思っていた。

 だからあえて、女装という選択をしたんだ。

 学校から早退してしまうまでいくら話しかけても泣き止んでくれなかった幸が、こんな不思議な姿で会いに行ったら、なにやってるの、って笑ってくれる気がして。


「結局失敗だったけどね」

 馬鹿なことしたなぁと苦笑すると、幸もくすくすと笑った。

「なんだ、普通に会いに来てくれればよかったのに」

「だって、男が怖いなんて言われたらさぁ」

「待ってたんだよ?」

 幸が悪戯っぽく笑う。

「奏斗は私の特別だもん」

 俺と幸は随分遠回りをしてしまったけれど、今はしっかり向き合えている。それならそれでいいんじゃないかな、って思えたら、俺たちの勝ちなんじゃないかな?

このお話をもって

幸&奏斗のお話は終わりです!

でも、たまに他の人メインの話で登場するかもしれません。


次はもしものお話。病み要素ありますので、苦手な方はスルーでかまいません。

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