歩み寄れない日常2
前回からだいぶ期間が空いてしまいました。
すいません!
俺が女装し始めたのは、小学校高学年の頃。
その日は幸の誕生日で、学校帰りにプレゼントを渡して、俺の家で遊ぶつもりだった。
「あれ、幸は?」
昼休みになって、教室に幸がいないことに気がついた俺は、クラスメイトから幸が男子二人に呼ばれて裏庭のほうへ行ったことを聞いた。
それを聞いて、俺は少しだけむっとしたことを覚えている。普段俺以外の男子と話すことなんてない幸がどうして、とか、いつもは幸にかまったりしないくせに、よりによって今日かよ、なんてことを考えていた。
俺は教室を飛び出して、急いで玄関で靴を履きかえて裏庭に向かった。
「やめなさいよ!」
裏庭にある大きな木の向こう側から声が聞こえて、そっちに駆け寄って見ると、気まずそうな顔をした男子二人を前に、両手を広げて怖い顔をした三つ編みおさげの女子が、泣いている幸を庇うように立っていた。
「いや、違くて…」
「何が違うっていうの! 幸ちゃん泣いてるんだよっ?」
今思い返すと、二人はおさげの子の気迫に負けて言いたいことも言えずにいるようにも見えたが、そのときの俺には、ただただ幸が泣いているという事実しか頭に入ってこなかった。
「幸…」
四人に近寄って呼びかけると、三人が驚いたようにこちらを向き、幸は一人流れ出てくる涙を手で拭い続けていた。
「奏斗くん…」
おさげの子がそう言ったのを無視して、俺は幸に手を伸ばした。
「幸、行こう?」
俺の呼びかけに幸は小さく頷くと、右手を俺の伸ばした手に繋いだ。
幸はそのまま早退することになってしまい、誕生日を祝うことができないままその日が終わった。プレゼントは明日にでも渡せばいいだろうと思っていたが、そんな日がやってくることはなかった。




