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勅命強制悪党主人公スカルダー  作者: 桃井ルルール
6/10

6『』

「あっ2号さん、また助けてもらいましたね、ありがとうございます。さすがに10階層も地下へと潜るとダンジョンがつぶれる速度のほうが早いようで埋まってしまいました。で、ここはどこですか」

 うそつけーーお前7階層までで潰れて埋まったではないか。


「ここは宇宙空間、現地まで行くのが大変なので私も派手ですし、たぶん今頃はあの国がメンツをかけて魔の森の奥地を征服しに行くこととなるのでしょう。私も魔王の一派とみなされるのは嫌ですから」



サッパリ分かっていないスカルダーはジタバタしたりモゴモゴしたりするが音は一切出ない。2号さんもそれがわかっていて口に出してみる。彼女は製作者である【我】のイタズラ通り自我が目覚め始めていた。


「あそこに見える天元突破やまの山頂から突き落としてみたいのですが、それでは南半球の大陸に到着してしまうので、北半球の大陸でラムダ様のお手伝い係としてダンジョンを潰して回りなさい。次のダンジョンの近くに転移させます」何気に能力が上がっている2号さんだった。私も2号さん付きの三人称であったら…


地面の上でジタバタしたりモゴモゴしたりするのを続けていたスカルダーが気付いたのは、馬車にひかれてからだった。御者ぁ、馬ぁグッジョブ~  馬に撥ねられ車輪に頭をひかれたスカルダーのねじりゴブ皮紙はついにちぎれた。思えば土のなか2回、海の中、宇宙、といったいつちぎれてもおかしくはなかったのだが、ついにちぎれた。ついでに後続の馬に二人乗りで2騎、2頭と4人が矢を構えながら、あれ、えっ、爆散した。    ちっ


何だったのだとでも言わんばかり…でもなく無言で立ち上がった。少し立ち上がるのがうまくなったような気もする。これで顔に車輪の後でも残っていればよかったのに、なんだかちょっとかっこいい。

   ぐぬぬ


「あれ~スカルダーじゃん、久しぶり」

「マ、マイゴッド、これは違うので」

「お前もこの茶番、見に来たのか?あっもしかして、分かった何も言うまい。ラムダとともに見届けよう」

「私は戻りたいです」ラムダはダンジョンメーカ-としての面白さに目覚めていた。

「そんなこと言うなよ、一緒に見ようぜ。ずっと地下の穴倉にこもってるとドワーフになるって誰かが言ってた」


 そう言って二人は目の前から消えた。


「なんだったのだろう」


 子爵領でこの日、義賊が釜茹での刑に処されるとのことでちょっとした祭り状態となっていた。門番さえもいない。この門からまっすぐ行った先で大釜の下の薪に火が付いた。窯の中には下っ端臭がするちっさいおっさんが叫んでいる。俺じゃねぇと叫んでいる。


 少しでも対抗しようとしている別国の子爵だった。捕まっているのは初めて盗みを行ったものだから、すぐに捕まったコソ泥だった。この町の住民の数を大きく超える人々が群れを成してこのショーに観客として参加している。


 噂では隣国が総力を決し魔王のもとへと向かう決起集会が行われていた、何でも人知れず港町の下にダンジョンがあったらしくそれが圧壊し、表層の港町は港の機能、都市としての機能も停止する事となりその国の収入に大きなダメージを負わされたとのこと。それを引き起こしたのが魔王本人だというのが大義名分となってしまった。


 今は森となっている地も昔は広大な自国の領土であったというのは、取り戻そうとする現王の悲願となっていたのだが、そこにあった王国は邪竜と呼ばれる事となる黒竜が王家ともども亡国としたのである。


 今代の王は当然その事実を知らない世代となっており実はここにあった王国の属国となって生き延びていただけの小国がこの国を奇跡的に復活させたから。国土の大半は森となってしまったが属国ではなく立派に王国と名乗るに値する国へと変貌を遂げていた。


 北半球はドーナツを二口かじり取ったような大陸とその間にある広大な広さの海で、できており現在は黒竜の庭と呼ばれていた場所ですら平和な国として存在できるほどには平和すぎる大陸であった。


 その先には十数年前に異世界より勇者を召喚し、ドラゴンや魔王といった世界の敵認定していた魔物達と戦わせるための捨て石を拾い上げたつもりが、肝心の勇者がいない多人数召喚となってしまった聖国がある。


 彼らのほとんどが26~7歳となり、発明王を名乗る者達やA級冒険者PTとなったりパン屋さんから始め、今では北大陸1のチェーン店を営む者まで、残念ながら全員が生き残っている訳ではない。武器を作ることもないのに鍛冶屋を選んだ者は今では大陸一のギャングのボスであったり。うっわ~もろに伏線臭のする文章とかいやになっちゃう。動けよスカルダー、私は結局お前次第って事っぽいよ。


 そんな中途半端な時だった。どこか懐かしくもあり切なさげでもあるトランペットの音が響き渡る。


ぱ~ぱらららぱらっぱ~ぱらららぱらっぱ~ぱ~ ぱ~ぱらららら~ぱららら~ぱらrrrあ~~もう、スカルダーなんだその登場は、日曜日の洋画劇場でも始めるのか?注目は集まったよ注目は、目的は何よっ、ん?もうやめろっ、長すぎだよ、何してんだよ。


 そのぶかぶかなコートで右手を左胸に叩きつけたりとかして、え?まさか、ここで?お前が左半身の機能を使ったのか?使えるようになったのか?


 音はまだなってるし、へぼいじゃん、いや音楽は悪くないよ。でも主人公登場って感じの音楽ではないよね、ね。しかもその動作はもしかして止めようと思ってるのにって事か?あ~おかえりスカルダー君はそのポジションだ。どーぞその音を続けてください。だってほら、みんなお前を見て固まってるじゃん。


 自分の身代わりにしてはひど過ぎるとでもいうかのように、大釜からちっさいおっさんの口を押さえて助け出してるやつがいるし、いい感じみたいよ。こういう話ってのは都合よくできてるものだろう。風とか吹いてそのコートの背中ほっかむりが取れたりするんだろ。あっ表主人公の馬鹿笑いキックがスカルダーを弾き飛ばした。いや普通にダメじゃんそれ。


阿鼻叫喚とは正にこの事。誰かが言ったんだ、魔王じゃねえのかって。たぶんあの助っ人。背中ほっかむりが取れて巣のスカルダーの顔が民衆に見られた。大鎌は大釜の下まで飛んで行き絶賛薪状態。スカルダーが這う、捕まる大釜ひっくり返る。火が消える。ずぶ濡れのスカルダーの音楽も止まる。コートも体もやけど一つない、だが大鎌は短くなった。全然表情は変わっていないのにいいこと考えた感がその場に蔓延した。


ひっくり返った大釜をもう一度戻して己が入った。ん、ん、ん?よくわかんない。っで~~~進んだ~~~。壮大な大釜泥棒が爆誕した。


「これはいい」


口笛でも吹きだしそうな満足感に満たされたスカルダーは門の方向へと帰っていった。人がスキップするくらいの速さで。大釜に乗って。逆に問いたい、今まで使い続けた大鎌、その柄。なんでこれまで無事だったのか。燃えたよ、あっさりと。大鎌㏌大釜。


「待ってくれ~」


馬車が追いかけてくる。半球状の大釜は前部が若干ウイリー状態となって進んでいた。底は浮いている。振り返るが大釜は意外にも大きいそして深い。仕方なしに後ろを向いてから立ち上がると、何だか見覚えのある馬車が追いかけてくる。そりゃそうだろう、何ならお前は轢かれたんだし。


「は~追いついた、あんた魔王なのか?」

「いいや違うが」


 短くなった大鎌を持ち戦闘態勢に入るが、


「待て、待ってくれ。あんたどこか目的地があるのか?この辺は詳しいぞ俺。道案内もできる」

「この近くにダンジョンはあるか」

「ああ、あるぞあるぞ、送ってやるよ」

「ふむ、では頼もうか、とでもいうと思ったか、バカめ」

「着いたんですかぁ」

「誰だおまえ」

「何だおまえか、どこから出てきた」

「兄さんの馬車の中ですが」

「いつ入った、鍵が掛かっていたはずだ」

「鍵ならほらこの通り」

「勝手に俺の身代わりで捕まったくせに荷物はカラだけど貴様はやっぱり盗人か」

「違いますって、ただの鍛冶屋ですよ。この鍵、俺が作ったカギだもの」

「ライアーはシーフのビギニングって誰かが言ってたぞ」


「お前たち仲良しなのだな、見逃してやるからダンジョンの方向だけ教えろ」

「いや、ちょっと待ってくれ、俺も連れて行ってくれ何かと足手まといになるぞ」

「…」

「あんちゃん何言ってんだか、手伝える事があるってんならわかるが」

「それだ、こっち来てから言葉を覚えるところから始めたんだよ。難しい言葉はまだまだだ」


「お前たち仲良しなのだな、見逃してやるからダンジョンの方向だけ教えろ」

「え~、おんなじセリフかよ。コピペだろそれ」

「そっちの恐ろしげな旦那は何者なんですかね」


「…」

「こっちが先に名乗れってことだろ。俺は朝日川、違う、う~、ショパン3世だっ。義賊はもうやめだ。今日から俺はショパン3世だ」

「俺は、五右衛門ていうんだ。無職だ」

「却下だ、お前みたいなちっこいおっさんが名乗っていい名ではないっ。お前はゴロえもんでいい」


「私はスカルボーグ種のスカルダーという。先日まではダンジョンマスターだったが今はダンジョンバスターだ」   うっわ、びっくりした、急にふるなよな。あんたたちのやり取りが詰まんないから休んでたのに。まぁいい、スカルダーそれはつまらねぇぞ。はいはいおしまいおしまい。



不定期連載となります。ここまでありがとうございました。

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