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水浴びしただけなのに災厄竜扱いされています

作者: 花竜
掲載日:2026/01/13

はじめまして。

ドラゴンが主人公の勘違いコメディです。

本人はただ普通に過ごしているだけなのに、

なぜか毎回「災厄」扱いされてしまいます。

重く考えず、

気軽に読んでいただければ嬉しいです。

暑い。


とにかく暑い。


翼の付け根が蒸れて、

鱗の隙間がむずむずする。


こんな日は決まって――水だ。


俺は空を滑るように飛び、

眼下に広がる湖を見下ろした。


青く澄んだ、いい感じの水面。

深さも十分。


誰もいない。


「よし」


俺は翼をすぼめ、

水浴びのつもりで

空高くから湖へダイブした。


ドゴォォォン!!


水柱が天まで跳ね上がり、

衝撃波が周囲を薙ぎ払う。


湖岸の木々がなぎ倒され、

遠くの畑が水に飲まれ、

さらにその先――


村があった。


俺は湖から顔を出し、

鱗についた水をぶるりと振り払う。


「あー、さっぱりした」


その瞬間。


――ゴゴゴゴ……。


地鳴りが響いた。


湖の水が異様な勢いで岸を越え、

川となって流れ出していく。


「……あれ?」


遠くで、

鐘の音が鳴った。


しばらくして、

湖畔に人間たちが集まってきた。


槍。

剣。

弓。


妙に光る武器や、

怪しい装備まである。


俺は首を傾げた。


(なんだ? 歓迎か?)


代表らしき男が前に出て、

声を張り上げる。


「災厄竜だ!!

 湖を踏み割るものが現れたぞ!!」


「いや、踏んでないが?」


言った。

ちゃんと言った。


だが当然、

通じるはずもなかった。


次の瞬間、

矢が飛んできた。


……当たった。


が、

特に痛くはない。


「ちょ、待て待て。

 俺が何したってんだ」


一歩、前に出た。


その瞬間、

人間たちが異様な連携で散開した。


(なんでそんな動きいいんだよ)


火球が飛ぶ。


結界が張られる。


誰かが祈っている。


「え、ちょ……

 強くない?」


嫌な予感がした。


俺は反射的に翼を広げ、

後ろへ跳んだ。


「これ、

 もしかして本気で討伐?」


答えは、

槍の雨だった。


「無理無理無理!」


俺は本気で逃げた。


空へ飛び立つと、

背後から人間たちの声が聞こえる。


「災厄竜を退けたぞ!!」

「村は守られた!!」


勝利宣言までしている。


俺は上空で旋回しながら、

納得がいかずに呟いた。


「水浴びしただけなんだが?」


その日から、

俺にはいくつもの名前が付いたらしい。


《湖を踏み割るもの》

《近づくと村が壊れる竜》

《意思疎通不能の災厄》


……最後のは、

ちょっと失礼じゃないか?


俺はただ、

暑かったから泳ぎたかっただけだ。


こうして、


**災厄竜《アウル=ヴァルグラディオス》**の、

最初の誤解が生まれた。

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