表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/34

救護体制は、万全に

 「クッソ……、ヒデェー目にあった……」

 撤収開始から2時間後。

 ひとまず撤収はすべて終了したとはいえ、予報に反して案の定雨が降ってきた。

 濡れた袖をハンドルに置きながら、宏太は自分の車の中で悪態を吐く。


 「せんせー……、大丈夫?」

 「まぁ、濡れたのも袖の方だけだから、とりあえずはな」

 絢音の心配の声に、宏太は両手首を自分の太ももに擦る。

 「それよりお前らは大丈夫か?」

 後ろに座る絢音と美鈴に声をかけると、

 「私は大丈夫!」

 「私もへーきだよっ」

 絢音と美鈴はルームミラー越しに、口々に返事を返した。


 するとそのタイミングで、宏太のスマホに着信音が鳴る。

 画面に表示されているのは、【校長】の二文字。

 宏太は応答ボタンを押すと、

 「はい?」

 『宏太君、雨は大丈夫だったかい?』

 「”大丈ばない”です。袖が濡れて風邪ひきそう」

 貞夫の心配する声に、宏太は美鈴たちに答えた正反対の返事を淡々と答える。


 『それは大変じゃないか……。まぁ確かに、タープの雨水を被れば、無理もないね……。なら早めに、温浴に行こう。入り放題にしておいて、本当によかったよ』

 「そ、そうっすね……」

 まるで宏太を口実に、早く温浴に行きたそうな口調の貞夫の声に、宏太はため息交じりに肯定する。

 『とりあえず、私たちはもう受付の中にいるから、先に行っているよ。宏太君は女子二人をよろしくね』

 「はいはい」


 こうして電話が終わると、

 「校長せんせー、なんだって?」

 「風呂に早く行きたいから、早く来いだと」

 身を乗り出して聞いていた美鈴に、宏太はスマホを濡れたポケットにしまいながら答えた。

 「とりあえず、俺らも行こうぜ」 

 言いながら車を降りる宏太に、美鈴と絢音も続いて車を降りる。

 ひとまず各々温浴でひと心地ついて、雨で冷えた身体を温めなおすと、メンバーはそのまま受付に併設されたショップ内に再集合した。


 「みんな、揃ったようだね」

 遅れて集合場所に戻った女子たちの姿を目に留めると、貞夫は腕時計を確認する。

 「うん、ちょうどいい頃合いかな。とりあえず、ショップ内でも軽く見学しながら、笹川さんのご両親を待とうか」

 時刻は12時半を回った頃。

 約束の時間までの残り三十分を、貞夫の提案に乗って、メンバーは狭いショップ内を、思い思いに見て回る。


 「おい……、椅子二脚で三万て……」

 と、あまりの現実離れした価格帯に驚かされながら、あっという間にその時が近づいてくる。

 そして約束の時間が過ぎ、それから10分が経った頃。

 「あっ……」

 窓越しの駐車場に目を向け続けていた絢音の方が震えた。


 「ん?」

 宏太も同じ方向に視線を向けてみる。

 そこには入り口から一台のランドクルーザーが見えた。

 黒塗りのボディのそれは、窓越しでも分かるほど野太いエンジン音をバラまきながら、大型の車体を大きく揺らして滑り込んでくる。


 「アレが、お前の……」

 宏太がつぶやくと、

 「どうやら、お出ましのようだね」

 いつの間にか隣にいた貞夫も、神妙な面持ちで漏らした。


 「それじゃあ、みんなでエントランスに出て、お出迎えでもしようか」

 言いながら貞夫は、自然と身体を出口の方へと向ける。

 遅れてつられるように、残りのメンバーもフィールドスパの入り口に集まっていった。


 「いよいよ、だね……」

 宏太の隣に立った由奈が息をのむ。

 一方の宏太は「あぁ……」とただ漏らすと、こちらに向かって歩いてくる2人の男女に少し険しい視線を無意識に送るのだった。

 



 

 予定時刻を少し過ぎて、約束のフィールドスパに到着した夫婦が、貞夫たちの前で足を止める。

 「それで、アンタが……?」

 開口一番、威圧的な雰囲気を隠そうともしない父親と、隣で縮こまるようにして疲れた顔をしている母親。

 

 そんな初対面の相手から向けられる歪な視線を、真正面から受け止めながら貞夫は、

 「えぇ。悠久高校の校長をしております、長瀬 貞夫です。この度はご心配をおかけし、申し訳ございませんでした」

 深々と頭を下げながら、彼ら――絢音の両親を出迎えた。

 貞夫に倣って、宏太と由奈もそろって頭を軽く下げる。

 

 (うわぁ……、俺より目つき悪ぃ奴じゃねーかよ……)

 一瞬視界に移った絢音の両親に、宏太は冷や汗を浮かべながらお辞儀を続けた。

 明らかに疲れが顔に出ている父親と、少し化粧を厚くして疲れの色を誤魔化している母親。

 特に母親は、まるで絢音が年を重ねたような見た目だが、髪型がセミロングと長いことを差し引いても、その雰囲気は窶れているようで、どこか生気が感じられなかった。

 

 やがて、絢音の父が侮蔑するような口調で、

 「ふんっ、この二人は?」

 「笹川さんのクラス担任と、アウトドアサークルの顧問をしています、新田です」

 「同じく副担任で、副顧問をしています、長瀬 由奈です」

 宏太と由奈はまっすぐと身体を向けると、はっきりとした口調で名乗った。

 

 「はぁ……」

 「まぁまぁ、とりあえず立ち話もなんですから、レストランに行きましょう。予約していますので、どうぞこちらへ」

 まるで値踏みをするように宏太たちを睨む絢音の父親――それを制するように、校長は頭を上げてそう言うと、先陣を切って建物の中へと二人を案内した。

 温浴と同じ地下フロアの飲食店まで足を進める。

 

 「予約している、長瀬です」

 「長瀬様ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

 タブレット型のレジ前に立つ店員に一声かけると、店員はラミネートされた資料をいくつか手に取り、一行を屋外スペースの方へと案内した。

 

 「うわっ……」

 「なにこれ……」

 「すごい……」

 美鈴と爽、そして絢音の生徒3人がほぼ同時に声を漏らす。

 店員に案内された席は、半屋外タイプの開放的な席だった。

 

 L字型の4人掛け席が二組セットされた、最大8人がゆったりと食事できるスペース。

 テーブルは2つ用意されていて、それぞれの卓にはオードブルスタイルで盛り付けられた大盛りの肉が2つずつと、人数分の食器が用意されていた。

 さらに卓の中央には、実際に売っているキャンプギアのガス式グリルが鎮座している。

 よく見ればコップやトングなど、それらはどれもこのキャンプ場のメーカーのギアたちをそのまま使っているようだった。

 

 「流石お膝元……、抜かりがねぇな……」

 宏太が素直な感想を漏らすと、

 「それじゃあ、とりあえず皆さん座りましょう。私と笹川さん一家は同じ席で、新田先生たちは隣の席でどうかな?」

 「待った」

 貞夫の提案に、絢音の父が異議の声を上げた。

 「家内は一度置いといて……。ぜひ、担任の先生ともお話ししたいですね。娘も同席で」

 「分かりました。ご希望とあれば、そうしましょう」


 こうして席は決まり、大人の卓についたのは奥から順に、絢音の父、絢音、貞夫、そして宏太。

 反対の傍観者組は、爽、美鈴、絢音の母、そして由奈の順となった。


 全員が席に着くと、しばらくして店員が再び姿を現して、

 「今日は雨が降っていますから、雨粒が入り込んでくることもあると思いますので、注意してくださいね」

 いいながら、それぞれの卓のガスグリルに火をそっと入れていく。

 

 「お飲み物や他のお食事もご注文いただけますので、その際はレジでご注文ください。時間は2時間制となっておりますので、ラストオーダーは30分前とさせていただきます」

 簡単な注意事項を事務的に口にすると、女性の店員はそのまま頭を下げて、そそくさと店内へと戻っていった。

 

 屋外の飲食スペースは、天気のせいもあってか、今は貞夫たちのグループしか人の姿はない。

 普段あまり見ることがないような組み合わせのグループに、店内からは店員が奇異な視線を向けているが、誰もそれを気にする余裕はなかった。

 

 「それじゃあ、早速頂いましょう。そっちのテーブルも、好きなように飲み食いしてほしい。追加注文があったら、領収書だけ学校の名前で切ってね」

 貞夫が言うも、すぐに声は上がらない。

 「ひとまず、いただきます」

 遅れて他のメンバーも各々言う。

 だが、誰もすぐには箸を伸ばそうとはしなかった。

 

 「そ、それじゃあ、とりあえず焼いていきますね……」

 気まずい表情を浮かべながらも、下座に座る宏太が先陣を切ってトングを持つ。

 一枚一枚、妙に厚く感じさせる肉を鉄板に乗せながら、会話の動向を耳だけで伺い続けた。

 しばらくして隣の卓からも、肉を焼く音が響き始める。

 

 するとその刹那、

 「それで、うちの娘は何故、入部していないはずの部活動に参加を? しかも、親の同意なしに外泊まで」

 不機嫌さを隠そうともしない男の声が、宏太の右の鼓膜を刺激した。

 同時に絢音の肩がキュッと跳ねる。

 

 会ってすぐの言葉遣いよりも幾分かマシだが、その声音は明らかに確定した罪を糾弾しているようなものだった。

 ――”弁論の余地があるなら言ってみろ”

 言外にそう言っているのだろう。

 

 その問いに真っ先に口を開いたのは、

 「はい、そのことですが――」

 「私が、言ったの……」

 貞夫――に続いた、絢音だった。

 

 「はっ?」

 「私が行きたいって、言ったの!」

 キッと、隣で鋭い睨みを利かせる父親を見据えて、絢音は再びはっきりと口を開いた。

 

 普段はこんなふうに、父親に言い返すことなどなかったのだろう。

 宏太は肉を鉄板の端に寄せると、今度は野菜を乗せ始めながら、焦げるには程遠い食材たちに視線を向け続ける。

 

 しばらく食材が焼ける音だけが響いた後に声を上げたのは、

 「……絢音、とりあえずお前は黙ってろ」

 絢音の父の苛立ちが籠った声だった。

 

 「なんで――」

 「聞こえなかったか?」

 「っ……」

 言い伏せるような父親の圧に、絢音は身を縮こませてしまう。

 そして絢音の父は何事もなかったかのように、

 「それで、お答えいただけま、す、か?」

 まるで謝罪以外の言葉を認めない、と言わんばかりに答えを急いだ。


 「えぇ、それは構いませんが……」

 貞夫は一言挟むも、

 「その前に笹川さん、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 「……どうぞ」

 苛立ちを隠しもせずに言いながら、宏太が端に寄せた肉を箸で取り、無言で咀嚼した。

 


 「その……、普段、娘さんとのコミュニケーションはーー」

 「はっ?」

 「いえ、他意はありません。ただ事実確認としてーー」

 「なんで学校の校長様に、んなこと指図されないといけないんだッ!」

 貞夫の些細な問いに、絢音の父親はほぼ感情に任せて声を上げる。

 

 「お、お父様、少し落ち着いて……」

 「副担任がなんだッ! お前も、そこの目つきが悪いお前もッ! 所詮は赤の他人だろッ!!」

 貞夫が割って入ろうとするも、その声は絢音の父親には届かない。

 隣の卓で肉をむさぼる美鈴の視線が、痛いほど突き刺さってきた。

 

 (ありゃりゃ……、こりゃだいぶ”前よりも沸点低くなってる”みたいだねぇ……)

 貞夫は内心で焦りながら、宏太の方へと視線を向けてみる。

 案の定そこには、苦虫を嚙み潰したような表情で怒りを堪える、宏太の表情があった。

 (あぁ……、これは不味い……)

 貞夫が察するや否や、

 「おい、人が下手に出て黙ってりゃーー」

 口が悪くなった宏太が、トングを握る手に力を込めながら、絢音の父親に視線だけで噛みつくように睨んだ。

 これに貞夫は間髪入れず、

 「新田先生、落ち着いて」

 そう制止すると、宏太の方は聞き訳がよく、一呼吸おいて腰を下ろす。

 

 貞夫は内心でホッと一息つくと、

 「笹川さん。確かに私たちは、あくまで別家庭の一教育者です。ですが、教育者であるが故に、預かる生徒ーーそのご家庭の教育方針にも寄り添った教育をしていくのが、私どもの責務だと考えております」

 「責務?はんッ」

 まっすぐと真剣な表情で、学校の教育方針を口にする貞夫の言葉を、絢音の父は短く鼻で笑い飛ばす。


 「人の子供攫っておいて、よく言いますねぇ。親の意見も碌に聞かずに、そんな御大層な教育論語られましてもねぇー」

 「そうですね、そう思われても仕方ないでしょう。ですがーー」

 何処か挑発するように語尾を伸ばす絢音の父の言葉に、貞夫は自嘲気味に瞼を閉じる。

 

 そして瞼を開くと、心の底から教育者としての真剣な説教と言わんばかりに、

 「まずは貴方自身が、娘の声に耳を貸すべきではないのでしょうか?」

 ーーバンッ!!

 「調子乗ってんじゃねーよッ!」

 絢音の父は両手を強くテーブルを叩くと、その顔面を真っ赤に染めながら勢いよく立ち上がった――その時だった。


 「うっ……」

 絢音の父親は突然表情を曇らせると、短い呻きと共に一瞬その場で硬直する。

 そして貞夫が声をかけようとした次の瞬間、

 

 ――バダンッ!!

 

 呼吸を荒く乱しながら、その場に倒れ込んだ。


 「笹川さん? 笹川さん!!」

 それまで肉を頬張っていた美鈴が、テーブルのソースを倒しながら、絢音の父の元へと駆け寄る。

 ほぼ同時に貞夫も近寄るが、美鈴は服の袖をソースで汚しながらも、絢音の父の胸元に耳を当てはじめていた。


 「心音は大丈夫そうだけど……。アヤ!AEDを持ってきて! 新田せんせーは救急車をお願い!」

 美鈴は真剣な表情で、次々に声を上げながら指示を飛ばす。

 「わ、分かった!」

 「お、おうっ!」

 絢音と宏太は慌てて、美鈴の指示を素直に実行に移す。


 現場は貞夫たち関係者しかいないが、店内の方からも、ざわりとした視線と足音が集まり始めていた。

 「美鈴ちゃん、僕は何かできること、あるかな……?」

 爽が手伝いに名乗りを上げると、

 「爽くんはとりあえず、店員事情を伝えてもらえると助かる!」

 「わ、分かった!」

 爽は店員に事情を話しに飛び出していく。

 

 そんな教え子の勇敢な姿に、

 「美鈴ちゃん……、頼りになるね……」

 「由奈せんせーッ!」

 「はひっ!?」

 由奈は呆然と独り言を溢すと、美鈴の突然の声に声を裏返させる。

 だが美鈴は気にした様子もなく、

 「由奈せんせーは毛布と枕になるものをお願い!」

 容赦なく由奈にも役割を振ってきた。


 一方でやるべき役割を美鈴にほぼ奪われた貞夫は、

 (糸川 美鈴さん……、流石は医者の娘、といったところ……、なのかな……?)

 絢音の父の上半身を脱がせながら、静かに感心していた。

 

 それからしばらくして、絢音がAEDを持ってくると、念のため貞夫が付属の手順書に沿って、絢音の父の身体に電極を取り付けていく。

 程なくして起動前の診断が実行されるも、

 『電気ショックの必要はありません』

 その無機質な音声に、誰もが一瞬、言葉を失った。

 

 「よかった……。とりあえず、回復体位にして、救急車の到着を待つしかないみたいだね」

 貞夫は言いながら、そのやけに痩せた男の体制を変えていく。

 触れた手先から伝わる絢音の父の身体は、妙に皮膚がひんやりとしているようにも感じられた。

 由奈が持ってきた毛布を上からかけて、貞夫たちはしばらくその場で静かになった彼を見守る。

 やがてストレッチャーを持った救急隊員三人が、店員の案内にされてやってきた。


 簡単な状況確認と意識チェックを終えると、隊員によって手際よく絢音の父はストレッチャーに乗せられ、ヘルメットをかぶった隊員が残されたメンバーに説明をしてきた。

 「病院でちゃんとした検査をしてみない事にははっきりしませんが、恐らく過労と極度の睡眠不足、それに伴う急な血圧変動による失神が疑われます。受け入れ先の病院はこれから順次当たっていきますが、付き添いの方を2名までお願いできますでしょうか」

 

 隊員の指示に、貞夫たちは思案気に考え始める。

 「本当なら、笹川さん2人が妥当なのだろうけど……」

 貞夫は言い淀むように、絢音の母に視線を向ける。

 

 「えぇ……、付き添いたい気持ちはあるのですけど、その……、車の問題がありますよね……」

 申し訳なさそうに言いながら、絢音の母は視線を下に落とす。

 本当なら、家族の一大事に蚊帳の外なのは耐えられないはずだ。

 とはいえ、あれほどの立派で大きな車を預かるのは、大人サイドはもちろん、温浴施設側も難しいだろう。

 

 無理からぬ事情に、真っ先に声を上げたのは、

 「なら俺が行きますよ。由奈、わりぃけど、俺の車お願いできねぇーか?」

 「うん、おっけーだよ」

 宏太が名乗りを上げ、由奈がその代行を了承する。

 由奈は宏太の車を何度か過去に運転しており、しかも彼の車は小回りが利きやすい軽自動車だ。

 少なくとも、保護者の大切な高級車よりも幾分かマシだろう。

 

 話が教員側でまとまると、

 「ということですが、いかがでしょうか?」

 「ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ないです……」

 貞夫の確認に、絢音の母親は頭を深々と下げながら、

 「夫と娘のこと、よろしくお願いいたします」

 「はい、任されました」

 宏太はまっすぐと絢音の母から向けられた謝意と代理を受け止めた。

 

 「それではお二人とも、救急車へお願いします。一応確認ですが、関係者同士の連絡先の共有はお済みですか?」

 「代表者ともしていますので、大丈夫です」

 救急隊の人からの確認に、宏太は貞夫に目配せをしながら答える。

 貞夫も深く頷くと、

 「分かりました、では行きましょう」

 とうとう宏太と絢音は、救急隊員に付き添われて施設の出口へと出て行った。

 

 残されたのは、貞夫、由奈、絢音の母親の大人三人と、爽と美鈴の生徒二人。

 まるで嵐のような喧騒はすっかり鳴りを潜めていたが、大量の毛布や残されたAEDが、ただ物々しさだけを残していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ