0004-最初の街
会話パート多めです
森を出たあとは特に敵に遭遇することもなくゆっくりと草原を歩き、街にたどり着くことができた。
「最初の街にしてはでかいなぁ、城壁?なんて言ったらいいのかわかんないけど壁もあって街って感じするわ」
[たしかに頑丈そうだな]
[城ないから外壁?]
「よし、街に入るか」
俺は多分あるであろう武器屋とか道具屋とかに期待しながら門を潜ろうとして…
街の衛兵らしき人に捕まった。
「ちょっと君!困るよ勝手に入っちゃあ」
「え?」
「ちゃんとお金払ってね?身分証があれば無料だけど、ないなら500ゴールドだよ」
「…金……あり……ん」
聞こえなかったのか聞き返してくる衛兵
「何だって?」
「お金、ありません…」
「何ゴールド持ってるの?」
「170ゴールドしかないです……」
「………はぁ〜仕方ないなぁ今日は特別に後払いにしてあげるから、後で払いにくるんだよ?」
「はい……すみません」
なぜ街に入るだけでこんなに面倒なことになるのか?
[怒られてて草]
[他の人の配信見たけど最初の箱にお金入った袋あったみたいだよ?]
どうやらお金が入った袋を見逃していたらしい。
「なんであんな哀れな子供を見る目で見られないといけないんだ…」
まぁ視聴者は盛り上がっているからよしとしよう。
「これが肉を切らせて骨を断つ…ふふふ」
[なんか言ってる、キッッ]
[独り言…うん]
[え?]
おっと、口に出してしまった、もっと注意していかねば!
「とりあえず、狼の牙と皮、売れば多分お金は手に入ると思うし、まずは物売れる場所的なの探そうかな」
それにしてもさっきの衛兵、NPCにしては流暢に喋ってたよな、最新技術すげぇ。
「で、さっきの話に戻るけど、家の壁薄くてさぁ」
[その話まだ続いてたのか…]
[壁好きだなこの絶壁]
そんなかんじで雑談しながら歩くこと数分、明らかにここ冒険者ギルドですよ〜みたいな建物があったのでやってみることにした。
外観はよくある中世チックな見た目でレンガが主に使われてるみたい、大きな盾と剣が書かれたエンブレム?が扉の上に飾ってある。
俺は恐る恐る扉を開けて中に入る、が中に人はあまりいないようだ、俺はそのまま受付っぽい場所に向かった。
「すみませーん、だれかいますか?」
俺が呼びかけるとゴツイおっさんが奥から出てきた
「冒険者ギルドにようこそ、何か御用ですか?」
「狼の素材って売れますか?」
「売れますが、冒険者ギルドに登録が必要です」
「登録したいです!」
「では500ゴールドになります」
………どうやらここでもお金が必要らしい。
[どこ行ってもお金いるやん]
[世知辛いなぁ]
「あの〜今手持ちがなくてですね?先に素材売ることってできませんか?」
「その場合だと買取額は70%となりますがよろしいですか?」
どうやら一応売れはするらしい、紛らわしいこと言いやがって!
「大丈夫です」
「では素材を出してください」
俺はインベントリから狼の牙と皮を出した。
「こちらの牙は品質1、皮は品質2ですね…合計490ゴールドになります」
「品質?」
「お客様は鑑定スキルをお持ちではありませんか?」
鑑定スキル!そんなものがあるのか。
「もってないです」
「鑑定スキルは鑑定士から教えてもらえます、そちらのクエストボードにも貼ってあります、冒険者をする上で必須スキルとなるので時間があるようでしたらぜひ」
なるほど、スキルには人に教えてもらえるのもあるのか、とりあえず冒険者登録しとこうかな、スキル覚えるのにもなんか使いそうだし。
「じゃあとりあえずこれで冒険者登録お願いします」
俺は500ゴールドを渡す。
「ではこちらのカードをお渡しします、こちらはお客様の身分証にもなりますので無くさないように注意してください」
「あれ?特にランクとかがあるわけでは無い?」
「ランク制度などはございません、ですがお客様のレベルに合わせた依頼しか受けられないのでご了承ください」
なるほど、そういうパターンか。
「ありがとうございました〜」
俺は冒険者ギルドを後にして門に向かった、さっきとは逆方向の門に。
「とりあえずさっきの門に行くのは気まずいから違うところから行こう」
[おいw]
[ちゃんとお金払えよ]
「とりあえずお金稼がないと!そしてスキルを覚えるんだ」
さっきチラッと見てきたが鑑定スキルを覚えるためには5000ゴールドいるらしい、他にも色々面白そうなスキルやクエストがあったが、レベルが足りなくて受けられないし、モンスターを倒すしか無いようだ。
「まずは鑑定スキルを覚えることを目標にしていくぞー」
俺は今度は身分証があるため止められることもなく無事に門の外に出ることができた、さっきとは逆方面の門から出てきたからか景色が全然違う。
目の前には広い平原が広がっていて、ところどころに林があるのが見える、どうやら自然豊かな地域らしい。
「こんどはどんなモンスターが出てくるのかな、やっぱ定番はスライムだけど」
[ゴブリンとか?]
[角生えてるウサギとかでてきそう]
「やっぱメジャーなやつが出てきそうだよねぇ」
なんて話してるうちに視界に入ったのは予想通りのアイツ、青くてプルプルしてるいかにも弱そうなやつ、そうスライムである。
「スライム、キタァァ!」
[定番だよね]
[出てこない作品見たことない]
「こいつは楽勝だぜ!喰らえ、投げ短剣!」
俺は前回の戦いで学んだ投擲を試してみた、俺の投げた短剣は見事スライムに命中し……
0ダメージ!
「え?」
なぜかダメージが通らなかった。
「あれか?核を狙えてきな?」
そう思ってよく見るがそんなものはない、どうしたらいいのか?
[これは、あれか?]
[これもよくある設定だよねぇ]
「視聴者のみんなどういうことかわかってるなら教えて!」
[いやぁ]
[これはもう、諦めろとしか]
はぁ?一体なんだってんだ!だかがスライム、やってやらぁ!
「もういい、殴ってぐちゃぐちゃにすれば流石にダメージ入るだろ!オラァ!」
[あ]
[あ(察し)]
俺の拳はスライムにめり込み、そのまま体も引き摺り込まれていく。
「うわぁ、ちょっ待って、待…」
そのまま俺はスライムに丸呑みされて……
気がつけば俺はギルドの前にいた。
「俺、死んだ?スライムに負けた……?」
[多分物理無効だよなぁ]
[間違いなく物理耐性持ってるな]
「物理、無効……?俺倒せないやん」
[他の配信見たけど、攻撃効いてるぞ?]
[多分スキル攻撃なら効くはず]
[魔法使いなのに魔法覚えないのが悪い]
「まじかよ」
ちなみに主人公もスライムを一応倒せます。
スライムの能力は魔力を纏わない攻撃の無効化というもので、杖術のマインドブレイクには発動する瞬間杖に魔力を纏う性質があるので、その一瞬でスライムを殴ればダメージが入るので倒せます。もちろん主人公はそんなこと気づくはずもないのでこれはただの詰み要素ではないよという補足です。