0034-巨大樹の森のエリアボス
初めて感想を貰いました、これから毎日読み返そうと思います。
本当にありがとうございます。
俺は新武器スパスパ君をモーマンから受け取り、巨大樹の森へきていた。
「本来の目的はエリアボス討伐で、元々蜂の巣ダンジョンは寄り道だったのじゃ」
そう、昼間はずっとダンジョンに潜っていたけど、今日の目的はエリアボス討伐なのだ。
「今までの傾向的に奥の方に進めばボスエリアがあるはずなのじゃ」
今までのボスエリアは結構わかりやすい感じであったので、このエリアも分かりやすいといいんだが。
ボスエリアを探して歩いていると、ノーマルボアが出てきた。
「丁度いい、スパスパ君の鯖にしてくれるのじゃ」
あの牙切れたら最高だよな。
[金属じゃないから錆びないぞ]
[武器の名前とは思えない…]
ノーマルボアはどの個体もまず突進してくる、いつもは避けて、後ろか横から攻撃するのだが、今回は正面から迎え撃ってみよう。
「さぁ、こい!」
短剣を逆手持ちで構え、タイミングを合わせ、突進が俺に当たる瞬間、俺は短剣を振り抜いた。
「どうだ!?」
俺の一撃は真っ直ぐノーマルボアの牙に向かい、その牙を綺麗に両断した。
しかも牙だけでは止まらず、ノーマルボアの頬も切り裂いている。
「うっわ、斬れ味やばぁ」
[斬れすぎだろ]
[鋭すぎ]
スパスパ君、最強武器だわ。
その後も何度かノーマルボア相手に試してみたが、牙ぐらいなら問題なく切断できることがわかった。
それから、ミニトレントとも戦ったが、木の幹を一撃で断ち切ることもできた。
「スパスパ君はチート武器かもしれないのじゃ…」
あまりにも強すぎる、ボスの素材を使ったとは言えだ、この強さはおかしいだろ。
[でもマウンテンバードには効かなそう]
[そのレベルの武器がないと今後厳しくなるんじゃない?]
確かに…裏を返せば序盤でこんな強さの武器が手に入るぐらいこれから先の難易度が高いとも捉えることができるな。
言われてみればスパスパ君がマウンテンバードに通用するかと言われると、怪しいし。
「まぁ強い分には困らないのじゃ」
そんな感じでスパスパ君の強さを確認しながら歩くこと数十分、ボスがいそうなエリアを発見した。
「大きな洞穴って感じ?」
見つけたのは、巨木が1本生えた広場、そして巨木の根元には洞穴があり、その中に巨大なモンスターがいるのが見える。
「ここからだと遠くて鑑定できないのじゃ…」
少し遠いので、鑑定ができない。
でもなんとなくボスエリアっぽいし、あれがボスで間違いないと思うんだが。
「ここから見た感じ、大きな猪かな?」
今までも、そのエリアの雑魚敵の上位種がボスなことが多かったし、このエリアの場合だと、トレントの上位種かボアの上位種だと思っていたのだ。
「みんな、あれ倒せると思う?」
少し自信がないので視聴者に聞いてみよう。
[いけるいける]
[倒せるはず、スパスパ君を信じろ]
みんなを信じるとするか。
俺はスパスパ君を手に、ボスエリアへと足を踏み入れたが、ボスが動き出す気配はない。
「なんで反応しないんだ?」
鑑定してみる
ヒュージボアLv17(睡眠)
HP 500/500
「寝てる?」
動かないと思ったら、どうやら寝ているらしい。
「これは、チャンスか?」
短剣術のスキルであるバックスタブを使えば不意打ち時のダメージ1.5倍だ、ボスにも使えるなら大チャンスだと思い、起こさないようにゆっくりと近づく。
ボスまで後数メートルと言うところまで近づいた時、俺は地面の小石を蹴ってしまった。
「あ………」
前を見ればヒュージボアが立ち上がるのが見えた。
[何やってんだ]
[ベタすぎるだろ]
起き上がってからこちらを確認し、威嚇のつもりか、足を地面に叩きつけらるヒュージボア。
「仕方ない、真っ向勝負なのじゃ」
おれもそれに合わせて短剣を正面に逆手持ちで構える。
ヒュージボアはノーマルボアと同じように、まず突進してきた。
正面から見たら分かるが、牙の1本が俺の体よりも太い。
この太さでは流石に切り落とすのは無理そうなので、回避を選択する。
スパスパ君を装備している俺のAGIは200を超えている、ただの猪如きの突進が避けられないわけがない。
突進を軽く回避して、後ろから切りつける。
「スパスパー」
武器が軽いから短い時間で多くの攻撃ができる。
3度目の斬り返しをしようと言うところで、ヒュージボアの後ろ蹴りが迫ってきた。
「あっぶね…」
ギリギリで避けたが、この巨体からの後ろ蹴り、当たったら只じゃ済まなそうだ。
「プギィィィィィ!」
お、ボアの鳴き声初めて聞いたわ。
「今のでHPが1割削れてるな」
今の数回の攻撃でヒュージボアの残りのHPは447になった。
「そこそこ、耐久があるみたいなのじゃ」
体が大きいからかな?硬いな気がする。
でも身体は軽いし、AGIのおかげで速度も速いから、ガンガン攻めていける。
ヒュージボアの攻撃で今の所分かっているのは突進と後ろ蹴り、体の大きさ的に、横に潜り込めば攻撃し放題な気がする。
なので、突進を躱す際に横腹の毛皮を掴み、背中に乗ってみた。
「これで攻撃し放題やろ!」
後はスパスパ君で攻撃するだけ、と思っていたのだが、そう上手くはいかなかった。
ヒュージボアが闘牛のように暴れ出したのだ。
「あっ、やばい」
俺はスパスパ君をヒュージボアの背中に突き刺して
なんとか耐えようとするが、凄まじい揺れで、耐えていられそうにない。
「ぐえぇぇ」
俺は耐え切れずに地面に投げ出されてしまった。
「これ、上乗ったらダメだ、耐え切れる気がしない」
室内遊技場とかにあるロデオマシーンとは比べ物にならないぐらいの揺れだった。
しかも、今のでヒュージボアが怒ってしまったらしく、さっきよりも動きが激しくなってしまった。
「普通に戦うのじゃ」
まぁ動きが激しいとはいえ、基本的に直線的な動きが多いので、動きは読みやすい。
突進を躱しつつ攻撃、隙を見て攻撃、攻撃を受けないことだけを意識して、戦いを続ける。
そして、しばらく戦っていると、ヒュージボアが突進の際、木にぶつかって隙ができた。
「ここだ!」
俺はその隙を見逃さずに、ヒュージボアの脚をスパスパ君で切りつけた。
「フゴォオォァ」
完全に切断はできなかったが、だいぶ深く切ったので、もう突進はできないだろう。
「ここからはメイスでいこう」
スパスパ君の斬れ味と使い心地がわかったので、後はメイスで派手に終わらせよう。
「ヒュージボアの残りHPは120」
いつもなら大体残り100くらいで第二形態に入る、なので第二回形態に入らないうちに大ダメージを与えておこう。
脚を切られたヒュージボアはまだ動かないでいるので正面から近づく。
「行くぜぇ?ストロングアタック!」
これは新スキルである戦棍術の技の一つだ、効果は基礎攻撃力×1.2!
今できる最高の一撃を、ヒュージボアの鼻先にぶち込むッ!
スキルを併用した俺の一撃は真っ直ぐヒュージボアの鼻先へと突き刺さり、ヒュージボアのHPを残り13まで削っていた。
「流石に一撃は無理だったか…」
と、ここでヒュージボアが第二形態に入り、体を赤いオーラのようなものが覆っていく。
「えい」
なので第二形態に入られる前にトドメを刺す。
[あ…]
[変身シーンに攻撃はマナー違反だろ!]
「勝ったぜぇ!」
(ボス)ヒュージボア を1匹倒した!
獲得経験値600
獲得ゴールド7000
素材 ヒュージボアの討伐証×1
巨猪の毛皮×1
トマ Lv14
経験値 614/900
所持金 66890ゴールド
ステータスポイント20
HP 68/81
MP 34/34
STR 207+70
INT 3
VIT 49+10
MGR 69
AGI 124+20
DEX 21
LUK 33
「一回振り落とされたせいでHPはちょっと減ってるけど、及第点でしょ」
初見のボスと戦ってこれならいい方だろう。
[スパスパ君は名前以外は完璧だったね]
[武器が強い]
「そしたら、次のエリアもちょこっと見てみようかな?」
俺はボスエリアを後にして、さらに奥へと歩いて行った。
ステータスが上がり、武器も強くなり、徐々に戦闘が楽しくなってきた主人公なのでした。




