0031-中ボス発見
俺はフォレストエリートビーを倒した後、更に奥へと進んでいた。
所々部屋があって、中に何かあるかもしれないので中を覗きながらゆっくり進んで行く。
道中出てくるフォレストビー達を薙ぎ倒しつつ先へ進んでいくと、他の部屋とは雰囲気が違う部屋を見つけた。
中をのぞいてみれば奥に下へ続いていそうな道があった。
「でも、なんか居ない?」
部屋の中にはエリートビーでもフォレストビーでもない新しい敵がいた。
フォレストナイトビーLv19
HP 500/500
「あれ、キングより強そうじゃない?こいつ」
見た目は人型の虫で、手と足があるように見える、さらに手には針が付いていて、背中には羽もある。
[三種類目の敵?]
[中ボス的な感じかもね]
キングビーの第二形態みたいな見た目だ、腕は2本少ないけど。
「どうしよう、挑んでみようかな?」
もうそろそろ6時間経つし、最後に挑むのも悪くないか。
「行ってみるか…」
コイツがキングと同じくらい強かったらかなり厳しいけど…
俺はメイスをしっかりと握り、ナイトビーの前へと出て行った。
「ふむ、其方が侵入者か…」
キィェエシャベッタァァァィア!
「話せるのか…?」
まじかよ、喋れるぐらいの知能があるってことか?
[モンスターが喋った!?]
[モンスターも喋れるんだ]
「我は女王の護衛兵、同胞とは違うのだ」
うわ、設定からして強そうだなぁ。
「もう話は終わりか?なら、いくぞッ!」
穏やかな雰囲気から一転、ナイトビーは襲いかかってきた。
「うおっと」
鋭い突きが喉元に飛んでくるが、後ろに跳ぶことで回避する。
「不意打ちかよ…」
なんか武士みたいなこと言ってるから正々堂々くるかと思ったのに…
「漢の戦いに、不意打ちなどない、隙を見せた方が悪いのだ」
………確かにそうか、じゃあ俺も不意打ちしよ。
俺は喋ってるナイトビーの首にできる限りの速さでメイスを振ってみる。
「むっ!」
ナイトビーは俺のメイスを手で掴んで止めた。
「ヤバッ!」
「なかなかいい一撃だったぞ、だがまだ甘いな」
武器を掴まれ動きを止めてしまった俺は、胴体をナイトビーの針に貫かれてしまった。
「グフッ……」
体を貫かれ、地面に捨てられる俺。
「終わりか…他愛もない」
俺を倒したと思い、こちらに背を向けるナイトビーー。
完全に油断していたので、背中にメイスをフルスイング。
「グゥァァァ!」
「油断するからだぜ」
「なぜ、確かに腹を貫いたはずだ!」
簡単な話だ、腹を貫かれると同時に隠し持っていた低回復薬を飲んだだけの話。
「俺は不死身なんだよ」
「くっ、今度はもう油断しないぞ!」
これでもう死んだふり通用しないだろう、それにHPも僅か6しかないし、完璧なピンチだ。
「何かする前に殺すッ!」
ナイトビーは完全に俺を警戒しているらしく、俺が攻撃をする暇がないほどの連撃を浴びせてくる。
[ヤバいんじゃないの?]
[大丈夫か?]
「右…」
俺が軽く呟くと、ナイトビーは右に意識を向けた、なので遠慮なく左から殴っておく。
「グッ、貴様!卑怯だぞ!」
「漢の戦いなんだから卑怯もクソもないだろ?」
言葉が通じる相手になら言葉を織り交ぜたフェイントが使える、なんなら下手に知能があるモンスターの方が弱いかもしれないな。
[今のはうまい!]
[天才だ!]
「次も右だ」
「くっ!」
もちろんさっきのことを警戒して左をみる、だから今度は右からだ。
「甘いッ!」
「貴様がなぁ!」
完全に捉えたと思ったのに、ナイトビーは高速で切り返し、手の針で弾いてきた。
「あっ…」
まさか一度で完全に対応してくるとは思わなかった…
「トドメだ、小さな戦士よ」
ナイトビーはそう言って蹴りを放ってきた。
「ッッ!俺はッ魔法使いだぁ!」
インベントリからミニタレントを倒した時のドロップアイテムである木材を取り出し、ナイトビーの蹴りを防ぐ。
「奥義アイテムブロックッ!」
ナイトビーの脚は俺が出した木材にめり込んでいる。
「さらにこれだ!」
俺はないとビーの体に植物油を投げつける。
「むっ!」
ナイトビーは避けようとするけど、木材にめり込んだ脚のせいで避けきれず、体に植物油を被った。
「なんだこれはッ!」
「それは油だ、よく燃えるんだぜ?」
ナイトビーはそれを聞くとすぐに脚を固定している木材を叩き壊し、油を落とそうと動き始める。
「もう無駄だぜ?」
俺は手に持っているメイスにも油を注ぎ、火打石で火をつける。
「だが、食らわなければいいだけの話よ」
俺は火をナイトビーに引火させるべく攻撃を仕掛けていく。
俺が攻撃し、ナイトビーが避ける、さっきとは真逆の構図になった。
本気で避けに徹するナイトビーは素早く、なかなか攻撃が当たらない。
だが、上手く場所を誘導し、狙いの場所にナイトビーを行かせることができた。
「おい、そこの地面はすでに油まみれだぜ?」
ナイトビーは油を被った状態で動き回っているんだ、油が落ちて、地面に溜まるのは必然というものだ。
「やめろぉ!」
ナイトビーは止めようとするが、もう遅い。
俺は地面にメイスを押し当て、火をつけた。
そしてその火は油を辿りナイトビーにも引火する。
「ギャィィィィヤァ!」
ナイトビーのHPがみるみる減っていく。
「やっぱ虫だもんな、火には弱いか…」
そして、ナイトビーのHPが100を切った時、ナイトビーが弾けた。
「なんだッ!」
こいつ、第二形態あるのか?ボスじゃないのに!?
「お前は一人の戦士だ認めよう、そしてここからは本気で行かせてもらう!」
第二形態に入ったナイトビーは全体的に小さくなっていた。
「小さくなった?」
「これが私の本気の姿だ、行くぞ!」
次の瞬間、俺は壁まで吹き飛ばされていた。
「カハッ…」
避ける暇も、声を出す暇すら無かった、それほどまでに圧倒的なスピード。
どんどんと視界が霞んでいき、最後には真っ暗になる、目が覚めればいつもの場所だろう。
だから俺は完全に動けなくなる前に最後の攻撃をした。
最初に貰った短剣をナイトビーに投げる。
もちろん簡単に防がれるが、それでいい、次は倒す、諦めない。
そして、また俺は死に戻ったのだった。
ダンジョンは、基本的にそのエリアの数段上の強さの中ボスとボスが居ます。
ナイトビーは中ボスですね。
修正
指摘があったのでそれについて説明します。
0003-チュートリアルにて武器の二刀流はできないと書きましたが、武器のステータス補正が付かなかったり、スキルが使えないだけで持つこと自体はできます。




