0026-ミニクエスト
シャドウウルフにやられたのと、夜の森が怖すぎて、もう夜の探索をする気分じゃなくなったので、街の中でできそうなことをしていく。
「ギルド行けばクエストとか受けられるのじゃ」
今まではクエストをあんまり受けてなかったけど、今は時間あるしやってみよう。
「夜の街の雰囲気は好きなのじゃ」
普段は騒がしいメインストリートも今は静まり返っていて、いつもの場所がいつもとは違うように見える、それに、中世チックな街並みも相まって幻想的な風景に見える。
だらだら雑談しながら歩いていると、すぐに目的地に着いてしまった。
「もう着いた、もう少し雑談したかったのじゃ」
前から思ってたけど、この街だいぶ小さいんだよね、端から端で2kmくらいしかない。
俺はギルドのドアを開けて中に入っていく。
「さて、どんなクエストがあるかな?」
クエストボードを見れば、いろんなクエストがある。
「えーと、ゴミ拾いに迷い犬探し、あとは落とし物の捜索…え?ここ冒険者ギルドだよね?」
[公民館の掲示板だろ]
[冒険とは?]
「でも、やってみたら案外敵が出てきたり!」
………しませんでした。
あれから2時間ほど、迷い犬を探したり、落とし物を探したり、ゴミ拾いをしたりしてみたが、何かあるわけではなかった。
「雑談タイムには丁度良かったけど…なんか違ったのじゃ」
依頼主に感謝はされた、でも冒険感は無かった。
こういうのもたまには良いのかもしれない。
「何か倒したいなぁ、最悪そこら辺のNPCでも…」
[おい!]
[それやったら普通の犯罪者だぞ]
[いや、すでに一人殺ってるんですよ]
「流石に冗談なのじゃ、弱い奴を倒しても面白く無いのじゃ」
それにこのゲームはNPCが非常に賢い、NPCを一人でも倒したら街を永久追放!なんてこともあるかもしれない、流石に試す気にはなれない。
「次のクエストで最後にして、今日は終わるのじゃ」
普通に作業してて疲れたので、もう一個クエスト受けたら終わりにしよう。
「次はこれにしよ、図書館の清掃」
この街図書館なんてあったのか、俺はまだ見たことないけど、丁寧に地図までついてるし、行ってみるか。
俺は図書館の清掃クエストを受けて、図書館に向かった。
図書館は、入り組んだ路地裏の奥にあった。
「これ、地図ないと来るの無理なのじゃ」
地図があっても軽く迷うくらいに入り組んでいた、なんでこんな場所に図書館建てたんだろ。
図書館の見た目は大きな屋敷みたいで、窓があんまりないみたいだ。
「とりあえず、入ってみるのじゃ」
中に入って俺は驚いた、まずその広さに、そして本の多さに、中はとても広く、天井も高い、そして天井まで本棚がびっしりと並んでいる。
上の方の本を取るために、大きな梯子が取り付けられている、下にタイヤがついているようで、移動もさせられるようだ。
気になったので近くの本を手に取り、軽く読んでみる、俺が手に取ったのは料理本だったみたいで、料理のレシピとかが書いてあった。
「これ、全部中身あるんだとしたら、とてつもないか作り込みなのじゃ」
少なくとも今手に取った本は中身までしっかりと作られていた。
[すげぇ]
[本の中身も作られてるのか]
周りを見ながら奥へ進んでいくと、司書さんがいた。
別に司書ですと言われたわけではないが、見ただけで司書だと分かる雰囲気のおばあちゃんだ。
「おや、こんな時間に何か御用ですか?」
とても丁寧な物言いだが、少しこちらを警戒しているように見える。
当たり前か、こんな深夜に急にやってきた幼女なんてホラーすぎるし。
「冒険者ギルドから図書館の清掃依頼を受けて来たのじゃ」
俺がなぜ来たのかを伝えると、司書さんは警戒を解いたようで、近づいて来た。
「あら、そうだったのね、じゃあ早速頼めるかしら?」
「私に任せるのじゃ」
「この歳になると、高いところの掃除が大変でね、上の方を掃除してくれるかしら?」
「わかったのじゃ」
俺は司書さんに布切れを渡された。
「これで、棚を拭いてくれれば良いからね」
俺は早速、梯子を使って、上の方の掃除を始めた。
「あんまり埃溜まってはないのじゃ」
布で拭けば少しは汚れがつくが、あまり汚れているわけではなさそうだ。
俺はどんどんと棚を拭いていく。
一回降りて梯子を移動させるのが面倒くさかったので、棚の横を掴んで、力で無理やり動かして作業を続ける。
[梯子の使い方違くない?]
[乗りながら動かすの危ないだろ]
なんか言ってるが気にしない、俺は今棚を拭くので忙しいのだ。
俺は1時間ほど、雑談しながら本棚の清掃を続けた。
そして、次の棚を拭こう、といったところで司書さんがやって来て言った。
「こんなにたくさんお掃除してくれてありがとう、後は私がやるわ」
どうやらここでクエストは終わりらしい。
後はギルドに戻ってクエスト報告をすれば報酬がもらえるのだが、少し気になるので図書館を探索してから帰ろうと思う。
「図書館の地下にはお宝が眠ってるのはテンプレなのじゃ」
どこかの本を動かしたり、謎を解けば地下への道が現れるに違いない!
そう思ってみて回ると、普通に地下への階段を見つけた。
「普通にあったのじゃ」
[www]
[お宝あるかもな?w]
いや、まだ諦めるな、さらに地下があるに違いない!
「地下行ってみるのじゃ!」
地下への階段は螺旋階段になっていて、結構暗い、それに階段自体がだいぶ長い気がする。
「どこまで降るのじゃ?」
1分ほど階段を降り続けると、やっと開けた場所に出た。
「普通の図書館なのじゃ」
地下も地上と変わらず、広い図書館があるのみだ。
「一応探すかぁ…」
もう何もないだろうな、と思いつつも何かあるかもしれないので辺りを捜索してみる。
しばらく捜索していると凄いものを見つけた!
「禁書エリア!こんなのがあるのか!」
俺が見つけたのは、禁書エリアと書かれた看板がかかっている扉だ。
扉には鍵がかかっていて入れないけど、何かがあると言うのは発見できた。
「入れないけど、発見は発見なのじゃ!」
実際、禁書なんて物の存在を確認できただけでも値千金というものだろう。
俺はこの情報で満足し、ギルドへと向かうことにした。
[本当になんかあった]
[普通の図書館に禁書置くなよ…]
今日はシャドウウルフに倒されて、そこからボランティアみたいなクエストを受けまくってと、あまり面白い発見とかは無かったけど、最後にいいものを見つけられて満足だ。
図書館を出る時に司書さんに挨拶してから出る。
「また来るのじゃ」
すると司書さんが興味深いことを言った。
「次は奥まで行けるといいね?」
「!?それはどう言うことなのじゃ?」
詳しく聞きたいが、司書さんはそれ以上答えてはくれない、後は自分でどうにかしろと言うことだろうか?
何はともあれ、俺は図書館を後にして、ギルドへ向かい、クエスト報告をして報酬を受け取った。
元々このクエストを終えたら配信を終わる予定だったので、このまま配信を終わることにする。
「これで今日は終わりにするのじゃ」
[今回は雑談メインだったな]
[お疲れー]
「それじゃ、また明日ー」
配信終了。
図書館の地下にはロマンが溢れてます




