0001-プロローグ
初投稿です。
俺の名前は鈴木斗真職業は配信者、とは言ってもチャンネル登録者一桁の底辺配信者にすぎないが。
だがしかし、七人しかいない登録者が配信に来てくれるのを待つのも、登録者が一人増えただけで踊り狂って喜ぶのも今日で終わり…かもしれない。
何故かって?それは俺がとあるVRMMORPGのβテスターに選ばれたからだ、そのゲームの名前は「endless possibility online」略してEPO、名前は単純だがその分期待が持てるゲーム名だ。
実際このゲームのβテスターの定員は日本は1000人だったのだがβテスター応募人数はなんと200万人超という凄まじい倍率なのだ、もちろんこんな人数になったのには理由がある、このゲームを発売する会社は以前とてつもないクオリティのVRRPGを発売していて、その際製作会社へのインタビューで「このゲームの数倍のクオリティのVRMMORPGを制作中なので発売時にはそちらも是非」と答えていたのだ。
あれから5年、その会社がついにそのゲームを発売するとなれば人が集まるのも当然というものだ、かくいう私もせっかくならと応募した一人でもあり、倍率200倍という中βテスターに見事選ばれた幸運の持ち主でもある、もちろん当選発表の日には思わず叫んでしまい隣の部屋の住人にキレられてしまった、だがそんなことがどうでもいいと感じるほどこのβテスターというのは凄まじいものなのだ。
まず第一に、今回のβテストはあくまでも大人数がサーバーに入った際の不具合がないか確認するものであり、早ければ一週間、遅くても1ヶ月程度で正式リリースするとのことであり、その関係でβテストではあるが動画撮影や配信などがなんと許可されているのだ。
俺が調べたところ今回のβテストに参加する配信者は約90名、これほどまでに注目されているゲームの配信なんてしないわけがなく、それを狙って多くの人がβテスターの配信者を探すということになり、そこで、最初の話題に戻るわけだ。
そう、つまりそもそも配信者の数が少ない以上、底辺配信者である俺の配信にもある程度は人が来てくれるということだ!ここで爪痕残せればこれからの配信活動に大いにプラスになるに違いない、だから俺は決めた、元々俺は働いてないので人より時間がある、だからβテストの間は睡眠時間も削り、限界まで配信をし続けようと、きっと配信し続ければ人も来てくれる。
というわけで、俺は色々と準備を重ねてきた、まずは配信で上手く話す練習をしようと家の中では常に話題を考え、壁に向かって大きな声でハキハキしゃべる練習もしたりした、お隣さんには怒られたけどこれくらいなら許容範囲内ってもんだ。
残り少ない貯金を削りボイストレーニング教室なんてものにも通ってみたり、配信するときに疲れないよう体力をつけようとジムにも行ってみたりした。
抽選発表からβテストまで約2ヶ月、俺は必死に努力した、そして今、βテスト開始まで残り1分というところまで来ていた。
「大丈夫だ俺、落ち着け、深呼吸しろ〜」
30分ほど前に枠を立てたのだが今は800人もの人が集まってきている、VRゲームの配信なので配信設定などを仮想空間の中で行うのだが、そのせいで余計に緊張してきた。
ゲームを開始するとコメントなどは視界の隅に流れるようになるが、今は目の前でコメントが流れるのをみれるのだが、中々に散々な言われようだ。
[EPOの配信だから来てみたけどこいつ誰だよ]
[底辺配信者か…面白くなかったら他いこ]
[βテスターってだけで800人か、配信者ってちょろいな]
そんな散々なコメントの中で俺はあるコメントを見つけた。
[トマちゃんねるさん頑張って!]
トマチャンネルはおれのチャンネル名だそしてこの人は最初に俺のチャンネルを登録してくれた人だ!なぜだろう、このコメントは物凄く心に染みる気がする。
大丈夫、こんな俺を応援してくれる人がいる、それだけで頑張れる!
「よし、運命の配信、スタートだ!」
「」は主人公のセリフで[]はコメントです
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