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名前の消える村 — 昼は多数決、夜は人狼 —  作者: マルコ


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第4幕 第16話 穴

 朝の点呼を終え、民宿裏手。

 長谷川が膝をつき、懐中電灯を床下へ差し込む。濡れた土と古木の匂いが熱を失って漂う。


「外通路から床下に入れる隙が二ヶ所。どっちも昔の配管痕だな。人一人は――横向きなら通れる」


「犬が吠えないのは、地面沿いだから」

 俺は図を描く。外通路→床下→戸口の床下。

 かぐらが板を指で叩き、耳を澄ます。


「この板、夜に一度だけ軋む場所です。十呼吸の間にここを通る音がした」


 午前のうちに決める。

 床下の封鎖――灰と粉を撒き、針金で鈴を仕込み、薄紙の旗を立てる。

 置き提灯の検証――詰所の下辺に白が走る角度を再現し、犬の反応を確かめる。


 昼。

 議題は短く、票は散る。共有の二票が同票を割る役を果たし、処刑は一人に定まる。

 霊媒は今日も沈黙。

 狩人の指針は繰り返す。「連続護衛なし/自分護衛なし。黒が出たら優先」


 夜。拍子木×2 → 鈴×2。

 停電が落ちる。

 俺は床下の鈴に意識を集中する。――ちり。

 続けて、薄紙の旗がふわりと倒れる音。

 戸口の下で一度だけ軋み。

 鈴が二度、今度は遠くから重なって夜の終わりを告げた。


 朝。点呼。

 相馬 みなと――返事がある。

宮守 かぐら――返事がある。

 長谷川が床下の旗と鈴を拾い上げ、無言でテーブルに置いた。


「――来ていた」


 紙の端に、俺は書く。“底は繋がっている”。

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