第3幕 第15話 穴
共有が一人になった朝は、広間の木目が冷たく見えた。
かぐらは姿勢を正し、声を絞る。
「占いは本日以降、白のみ伏せます。黒が出たら出ます。
共有は私ひとり。護衛は……自由で」
昼の紙が回り、票は散る。同数になりかけ、最後の二票が片方へ寄って止まる。
処刑は、詰所の鍵管理の緩みを指摘された若者へ。
霊媒は、まだ沈黙。
夜。
拍子木×2 → 鈴×2。停電が落ちる。
扉の鍵の紙は落ちない。
床下で一度だけ軋み。
窓の外、神社の小道は白にならない。代わりに、民宿の裏手でごく弱い白が二度。
提灯の匂いが、廊下に薄く流れる。
十呼吸が明け、灯りが戻る。鈴×1。
朝。点呼。
相馬 みなと――返事がある。
民宿の女将――返事がない。
胸の中で、名前の穴が広がる。
役割しか言えない相手が、いなくなった。
広間に、誰も声を出せない沈黙が落ちる。
かぐらは視線を落とし、短く言う。
「……民宿の裏手の外通路、見ます。床下も」
俺は頷き、ペンで丸をつける。
扉・床下・窓――三系統のうち、床下が抜け道だ。
提灯は、裏手で一瞬使われた。犬は吠えない位置。
この村の夜の穴が、ようやく形になった。
読了ありがとうございます。周回3前半は、共有者の同時COで同票の穴を塞ぎ、ついに詰所の灯り=床置き提灯(下から白→犬は吠えない)を特定、さらにかぐらの黒結果で神谷勝を処刑まで進みました。
一方で共有が片落ちし、民宿裏手→床下→戸口という抜け道仮説が浮上。夜の“十呼吸”の内側に物理ルートがある気配です。忘却は進み、**女将の“名前”**も危うい。
次回は床下ルートの実地検証と封鎖、そして**“白夜”の作り方を逆用**して盤面を取り返します。




