第3幕 第12話 整理と再設定
――最初の夕方。
ワイパーが藁の線を描き、縄が道をふさぐ。ノートの先頭ページに太字で書く。
周回3・方針
① 共有者がいるなら同時COで「同票=処刑なし」の穴を埋める
② 詰所の灯りを外側二地点で同時観測
③ 停電十呼吸の内側に入る動線を扉・床下・窓の三系統で切る
朝、神社。鈴が鳴り、名簿が読み上げられる。
「――早見 しゅん」
返事はない。同じ朝から始まる。
広間に移り、宮守 かぐらが進行をとる。民宿の女将――名前が喉に引っかかったが、出さない――は静かに配膳を片付け、席に戻った。
「昼は多数決、夜は人狼。投票内訳は非公開。同票のときの扱いですが……」
俺は手を挙げる。
「村長が不在になれば“処刑なし”が続く。なので――共有者がいるなら二人同時に名乗ってください。
互いが人であることを朝の段階で確定できれば、二票の束として同票の膠着を崩せる」
ざわめきが広がり、すぐ収まる。
長谷川が短く頷く。「夜の護衛は共有者ではなく、占いの黒が出たときを優先する。共有のCOは本日限定で」
沈黙。
視線が円を回り、二人が同時に手を上げた。古谷 清と――かぐら。
「共有者です」
二人の声は重なり、広間の空気が少しだけ温度を上げる。
狼にとって噛みやすい“二枚”が表に出た。その代わりに、昼の同票の穴は埋まった。
「では、昨夜の居場所三行と、詰所の灯りの外側観測の係を決めます」
俺は続ける。「詰所の前と、坂下の丁字路――二地点で同時に見る。犬の反応も拾う」
午前のうちに役割を配り、紙と時刻表を回す。
初日の多数決は処刑ありで進み、票は直売所の子に寄って止まる。
共有2票が最後に一方へ寄り、同票は回避された。鈴が一度鳴り、昼が終わる。
夜。窓辺。
拍子木×2 → 鈴×1。停電は来ない。
詰所の障子は一瞬白く、丁字路側の観測から犬は吠えず。
俺はペンで印をつける。“白いのに、犬が吠えない夜”。




