月夜の庭園と夢
ディナーの後、夜の静けさが広がる庭園へと足を運ぶことにした。月明かりが幻想的に照らし出し、周囲の木々や花々がその光を受けて、柔らかな影を作っている。涼しい風が、肌を優しく撫で、心地よい冷たさが夜の空気を引き締めている。
マリアは軽くドレスの裾を持ち上げ、ふわりとした足取りで歩き始めた。夜の庭は昼間とはまた違う魅力を放っていて、昼間の花々とは異なる、夜咲く白い花の香りが漂っている。歩きながらその香りを深く吸い込み、思わず笑顔がこぼれる。
「まるで夢の中にいるみたい。」
マリアは小さく呟きながら、視線を上げて月を見上げた。その月は、まるで絹のように柔らかな光を放ちながら、庭全体を照らしている。
空には星がちらちらと輝き、その光もまた、夜の静けさを深めていた。
ふと、庭の一角に足を運ぶと、木製のベンチが見えてきた。腰を下ろすと、月明かりがちょうど自分の肩に届き、まるで魔法のように幻想的な光景が広がっている。静かな夜の空気と、そっと耳を澄ませば、遠くで小さな虫の音や、木々が風に揺れる音が聞こえてくる。
「とても静かで、穏やかな夜。」マリアはふとつぶやき、ゆっくりと息を吐きながら目を閉じる。家族との温かな時間、そして美しい自然に囲まれて、心が安らぐのを感じていた。
少しだけそのまま座って、夜の空気を全身で感じる。月明かりに照らされた自分の影がベンチに落ち、夜の静けさと相まって、時間がゆっくりと流れているような感覚に包まれる。
「今日は本当に"素敵な1日”だったな。」マリアは心の中でそう呟きながら、再び立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。夜の散歩は、これからの眠りをさらに心地よくするような、安らかな時間だった。
ーーーー
夜の散歩から戻ると、少し体が冷えていた。執事の案内で浴室へ。メイドたちが準備したバラの香り漂う浴室は、まるで夢の世界のようだ。浴室の扉を開けると、ふわっと甘く上品な香りが鼻をくすぐり、柔らかな光が灯る中、白い泡が満たされた大きな浴槽が見える。お湯はほんのりピンク色を帯びており、まるでバラの花びらが浮かんでいるかのような美しさだ。
「お嬢様、お風呂の準備が整いました。」メイドが静かに声をかけ、マリアはうなずきながら浴室に足を踏み入れる。足元には温かな湯気が立ち上り、心地よい暖かさが全身を包み込む。肌に触れるお湯の温かさが、冷えた体を次第に溶かしていく。
浴槽の縁に寄りかかると、メイドがやさしく髪を引き上げ、シャンプーとコンディショナーで丁寧に髪を洗い始める。手のひらで泡を立て、指先で細かく揉み込むその感触が心地よく、マリアは目を閉じてそのひとときを楽しむ。髪を流すたびに、バラの香りがふわっと広がり、夢見心地のような気分にさせてくれる。
「お嬢様、オイルもお付けいたしますね。」とメイドが言うと、次に髪全体にゆっくりとオイルを馴染ませ、指先で丁寧に揉み込んでいく。その度に髪がしっとりと輝き、心も体もリラックスしていくのがわかる。
お風呂の中で過ごす時間は、まるで一日の疲れを溶かしてくれるようだ。心地よいお湯に包まれ、ふんわりとした泡が肌を撫でる感覚は、マリアにとって何よりの癒しであり、リラックスできるひとときとなっている。
その後、メイドが丁寧に体を洗い流し、優しくボディマッサージをしてくれる。マッサージの手のひらが肌を滑るたびに、筋肉の緊張がほぐれていき、体が軽くなる。お湯に浸かることで、すべての疲れが溶けていくようで、自然と心も穏やかになっていく。
「お嬢様、どうぞお上がりください。」とメイドが言い、マリアはゆっくりと浴槽から上がる。白いバスタオルが渡され、その後にふわふわのバスローブを羽織ると、まるで雲の上にいるようなふわりとした感覚に包まれる。美しいローズの香りをまとい、心地よい余韻を残しながら浴室を後にする。
ベッドに向かう途中、ふと夜空を見上げると、月が高く輝いているのが見える。ひと息ついた後、柔らかなベッドの上に身を横たえ、心地よい眠りへと誘われるのだった。