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静かな図書室と高鳴る胸

ランチを終え、心地よい余韻が残る中、マリアはお茶会の準備をしばし忘れて、図書室に足を運んだ。屋敷の一角にひっそりと佇むその部屋は、静かな時間が流れ、深い木の香りが漂っている。巨大な書棚に並ぶ本は、どれも貴族としての教養を深めるための書物ばかり。大きな窓からは柔らかな午後の日差しが差し込み、床の絨毯を照らしていた。


マリアはさっと手に取った本を開き、ページをめくる。あらかじめ今日の社会学の宿題を済ませるつもりでいたのだ。宿題の内容は、最近学んだ社会学の概念についての簡単なレポート。マリアはその難しい課題にもかかわらず、集中して取り組むのが得意だった。


「社会の階層についてか…」と、目を細めながら考える。彼女は、内容を理解するたびに、少しずつ自分のペンを進めていった。言葉を紡ぐたびに、社会の仕組みや歴史に興味が湧いてきて、あっという間に一ページを終わらせた。


「次は…この部分かな」マリアはしばし、参考になる書籍を探して棚を一通り眺めた後、ひときわ大きな本を手に取る。それは貴族社会について記された古い書物で、読み進めるうちに内容がますます面白くなり、しばらくはそのページに引き込まれていた。時折、ペンを走らせ、メモを取りながら、無意識のうちに時間が過ぎていった。


「この部分を使えば、レポートも面白くなるかしら…」と独り言をつぶやき、マリアは筆を進めた。宿題を終わらせた後も、学び続けることへの楽しさが感じられ、少しずつ課題に対する自信がついていった。


気がつけば、時折見上げると、窓からはもう少しだけ強く光が差し込んでいた。宿題を終えると、マリアはペンを置き、心地よい疲れとともに一息ついた。「さて、そろそろリリアが来る時間ね」と、心の中で時間を確認しながら、最後に自分の手元を整えてサロンへ向かう準備を始めた。


マリアは心を躍らせながらドレッサーの前に向かった。サロンでの楽しいお茶会を心待ちにし、まずはそのためのドレスに着替えることにした。


ドレッサーの上には、上品で華やかなピンク色のドレスが置かれていた。そのドレスは、上質なシルクで作られており、胸元には精巧なレースとフリルが施され、肩には細やかなリボンがあしらわれている。裾は優雅に広がり、気品あふれるデザインだった。


「今日はこれにしよう」とマリアはそのドレスを嬉しそうに手に取る。メイドたちが手伝いながらドレスを着せてくれると、ドレッシーでありながらも可憐な印象を与えるそのドレスは、マリアの可愛らしさを引き立ててくれた。ウエストには細いリボンが結ばれ、フリルが胸元や袖に施され、華やかでありながらも上品さを保っている。


次に髪型を整える番だ。マリアはリリアとのお茶会にぴったりな髪型を選ぶことに決めた。髪はふわりとしたカールをつけたポニーテールにまとめ、トップに小さな金色のリボンを飾ることで、上品さを引き立てる。髪全体が自然にふんわりと広がり、優雅にゆれる。


「これで完璧」とマリアは鏡を見つめ、微笑む。ドレスと髪型が一体となり、まるでおとぎ話の中から出てきたような美しい姿になった。鏡の前で少しだけその姿を眺め、リリアとのお茶会が楽しみでたまらない気持ちを胸に、サロンへと向かう準備を整えた。


マリアはリリアを迎えるためにサロンへと歩み出した。

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